鉄腕アトム「地上最大のロボット」

1964-65年

世界最強のロボット・プルートウと、アトムをはじめ、名だたるロボットたちとの戦いを描く傑作ですが、その根底には戦争に対する鋭い批判が込められています。

 マンガ 鉄腕アトム「地上最大のロボット」より

 マンガ 鉄腕アトム「地上最大のロボット」より

マンガ 鉄腕アトム「地上最大のロボット」より

【解説】

1964年から65年にかけて雑誌『少年』に連載された『鉄腕アトム』第55話目のエピソード。国を追われた元サルタン(王)がアブーラ博士に命じて作らせた世界最強のロボット、それがプルートウである。

 

プルートウは世界最強を証明するために世界中の名だたるロボットたちに戦いを挑んでそれを片っ端から破壊していく。

その標的には日本のアトムも入っていた。

アトムはプルートウに戦うことの無意味さを必死で説くがプルートウは聞き入れない。

憎しみのない相手とも戦わなければならない空しさ、サルタンの抱く権力欲とロボットへの差別意識など、人間とロボットの様々な思惑が渦巻く中でアトムはプルートウとの最終決戦に臨むことになる。

 

当時雑誌『少年』誌上で『アトム』と並ぶ人気を博していた横山光輝の『鉄人28号』に対抗して描かれたロボットバトルマンガだったが、その根底には手塚の戦争に反対する鋭い批判精神が込められており、単なるロボットプロレスの域を大きく超えた傑作となった。