地球人と宇宙人の共存と対立をテーマとしたSFマンガで、アトムが初めて登場した作品です。
未来の地球……。ある日そこへ"もうひとつの地球"から、大移民団がやってきました。
そのもうひとつの地球には、日本もアメリカもあり、この地球人とまったく同じ顔をした人々がいたのです。
しかし、もうひとつの地球ははるか昔に爆発して滅んでしまい、そこに暮らしていた人々は、何千年もの間、宇宙艇に乗って宇宙をさまよっていたのでした。
地球人たちも、最初は彼ら宇宙人を歓迎していましたが、やがて食料難が起こり、各地で対立が起こるようになりました。
各地で宇宙人狩りが始まり、ついに地球人と宇宙人は全面戦争の危機に直面してしまいます。
そこで立ち上がったのが、地球人でも宇宙人でもないロボット少年のアトムでした。
単身、宇宙人の宇宙艇へと乗り込んでいくアトム大使。彼の交渉は果たして成功するのでしょうか!?
1951/04-1952/03 「少年」(光文社)連載
少年ロボットのアトムといえば、『ジャングル大帝』のレオと並ぶ、手塚マンガの代表的キャラクターです。そしてこの『アトム大使』は、そのアトムのデビュー作です。
しかし、初めは「アトム」というのはキャラクターの名前ではありませんでした。
当初、手塚治虫は、原子力を平和利用する国の話を描こうと思い、「アトム大陸」という題名の作品を構想していたのです。
そして、この『アトム大使』の中でも、アトムは脇役に過ぎませんでした。
ところが、このアトムを主人公にして次に描かれた『鉄腕アトム』は、そのキャラクターの魅力から空前の大ヒットとなり、永遠の名作となったことはよく知られている事実です。
この「アトム大使」は、その後『鉄腕アトム』の人気が出てから、手塚治虫自身が『鉄腕アトム』の1エピソードとして描きなおしています。
また単行本化の際に冒頭部分を加筆するなどしているため、いくつかのバージョンがありますが、講談社版の手塚治虫全集では、連載当時に近い状態に戻されています。