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虫ん坊 2018年4月号 特集1:新宿ご当地七味 「アトム七味 / 高田馬場」ができるまで

虫ん坊 2018年4月号 特集1:新宿ご当地七味 「アトム七味 / 高田馬場」ができるまで


 新宿・高田馬場に新名物爆誕?!

 時は江戸時代、新宿発祥で江戸全域に大ブームとなるも絶滅した「内藤とうがらし」が江戸の伝統野菜を復活させたいという人々の想いから約400年振りに復活。この度、新しい新宿の名物として、「内藤とうがらし」を使ったご当地七味「アトム七味/ 高田馬場」が誕生しました。
 「内藤とうがらし」の歴史を追いながら、「アトム七味」の誕生秘話やコラボのきっかけ、こだわりなどを内藤とうがらしプロジェクトのリーダー・成田重行氏に語っていただきました。


成田重行(なりた・しげゆき)さんプロフィール:
 新宿内藤とうがらしプロジェクトリーダー。
 1942年生まれ。常務取締役を務めたオムロン(株)退職後、地域開発プロデューサーとして全国30以上の市町村の支援を行っている。中国茶や蕎麦にも造詣が深い。著書に「男のためのそば打ち入門」「中国茶自由自在」(NHK出版)「情熱の!内藤とうがらし―新宿名物誕生物語―」(JG-mook)等がある。



新宿の伝統野菜、「内藤とうがらし」について

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―――成田さんが「内藤とうがらし」と出会うまでを教えてください。
どうして新宿ゆかりの幻の伝統江戸東京野菜「内藤とうがらし」に着目したのでしょうか。


もともとコンサルタントとして、地域の文化や経済を活性化しようと街おこしを行っていたんです。
 「六次産業化」というんですけど、宮古島の雪塩など、全国30カ所、「食」をテーマに地元の食材に着目し、地域ブランドとして商品化して販売を行い、更に都市に持っていくことで、よりたくさんのお客様の手元に届くようにしました。
 そのとき最重視したのは、必ず唯一性、オリジナルにこだわって作るということでした。地べたを歩いて地元の方の声に耳を傾けながら、地元の歴史や文化をいちから調べて食材を探し、昔からある食材を通し地元の文化として時代に合わせ再形成していく。そこにはストーリーがあり、付加価値が生まれる。
 新宿もその街おこしの流れなんです。新宿という街そのものは活性はしているかも知れないけれど、それは表面上で新宿発の特産物がなにもない。かつて新宿区長を務めていた方や近くの商店街の方々から、新宿に住んでいながら自分の足元はやってないじゃないって言われたのをきっかけに、同じパターンで新宿の歴史を掘り下げて出会ったのが「内藤とうがらし」でした。


―――「内藤とうがらし」とはどのような歴史を持つとうがらしなのでしょうか。


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くわしくは成田さんの著書『情熱の! 新宿「内藤とうがらし」 ~新宿名物誕生物語~』をチェック。

時代は江戸時代にさかのぼります。徳川家康が江戸の街に運河を作らせ、食糧を流通させたことにより庶民にも白米が行き渡るようになりました。しかし、「江戸わずらい」と呼ばれる脚気やリウマチが流行してしまいます。それを打開するために8代将軍・徳川吉宗が野菜作りを奨励します。
 「内藤とうがらし」は江戸野菜の一種として、いまの新宿一帯*には、とうがらしの赤いじゅうたんが敷かれていたと言われるほど盛んに栽培されていました。当時のそばブームも後押しし、薬味として一躍人気となりますが、更に辛みが強い鷹の爪が台頭、やがて作る人がいなくなり絶滅してしまいます。
 そのような歴史を2008年から2年程掛けて調べ、巻物にしたのがこちらです。

*東京都新宿区新宿一丁目から二丁目・三丁目あたりは「内藤新宿」と呼ばれる宿場町だった


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―――内藤トウガラ……!?


新宿区にある角筈図書館を中心に郷土史や文献から調べたのですが、江戸時代の名主さんが記録に残しているものが揃っていて、読み説いていくと地域の情報が全部載っているんですよ。
 例えば、どこかで火事があって、誰に手伝ってもらって、お返しに何をあげたとか、泥棒がどこに出たとか、何をどのくらい生産して出荷したとか、とにかく情報量がすごい。そのなかから、とうがらしにまつわるものだけを全部ピックアップしていきました。その作業が大変でしたね。
 2010年1月に新宿御苑で「内藤とうがらし」の展示会を開催したところ、2500人もの方が足を運んでくださいました。行政にも注目され、「内藤とうがらし復興プロジェクト」として本格的に活動する発端となりました。


―――絶滅した江戸の伝統野菜をどうやって甦らせたのでしょうか。


絶滅してしまったわけですから、まずは種を探すところからスタートしなければなりませんでした。
 まずは、江戸時代の天才・平賀源内が描いた「内藤とうがらし」のスケッチを持ち歩きながら、同じような形のトウガラシがあるかないかを探そうと試みました。「内藤新宿」は当時内藤藩主の領地だったので、内藤家のルーツをたどって探すにもなかなか見つからない。
 そこで、内藤家17代当主の内藤頼誼(ないとうよりよし)さんを訪ねてご相談したところ、「とうがらしを育てるなんて殿様の仕事じゃないし、小作人が勝手に作っていたんですよ」と言われてハッとしまして。内藤家ではなく、とうがらしそのもののルーツを知る必要があるといろいろ調べていったら、新宿には「八房」というとうがらしがもともと生息していたことがわかりました。


―――「八房」こそが「内藤とうがらし」だったのですね。


「八房」の原種を求め、農水省が管理する農産物資源研究所に足を運び、そこでようやく同じ品種のものにめぐり合えました。
 熱意を汲んでくださった担当者から、種を7粒いただき、八ヶ岳に持っていた畑の近くに植えました。
 実際に種を植えたら、平賀源内が描いたスケッチの特徴と同じように、すべての株で上に向かって八つの房が生っていて、外見上一致しました。
 1年目2年目と順調に育ち、3年目で一定した品種となり固定種と認められ、2013年にはJA東京中央より「江戸東京野菜」に認定されたことでブランド野菜となりました。現在、18件のブランド指定農家が3年毎に新しい原種を使い、栽培を行っています。


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「八房」が八ヶ岳・白州で実っている様子。


―――見た目も重要ですが、気になる味のほうはどのような方法で確かめたのか気になります。


江戸時代のとうがらし売りの口上のなかに「江戸は内藤新宿八つ房の焼き唐辛子」とあって、香りづけの唐辛子だと謳われています。当時の人は科学分析しなくても、味わいよく香り豊かなものだと知っていたんですね。
 実際に科学分析を行った結果、アミノ酸やうま味、甘味が他のとうがらしより際立って高いことが証明され、いただいた種は昔のものと一緒だということが立証されました。
 プロの料理人の方々にも使っていただいたのですが、辛さがすぐ消えて上品、うま味があって香りがあると高評価でした。


―――香り豊かというのが特徴なんですね。辛さもそこまでじゃないと。


辛さについては、ウィルバー・スコヴィル博士が考えた「スコヴィル値」という唐辛子の辛さをを計る単位があって、「内藤とうがらし」は3万くらいのスコヴィル値なんですよ。そこまで主張しない中程度です。
 ちなみに、世界一辛いとうがらし、キャロライナ・リーパーが300万あって、これはもはや致死量ですね(笑)。次に辛いブート・ジョロキアが100万、ハバネロが40万、鷹の爪で5万となっています。


―――見事、江戸時代から400年振りに復活した「内藤とうがらし」ですが、普及していくために実際どのような活動をされていますか。


まず、地域に浸透させるためには文化として根付かせることが重要です。
 地域活動の一環として最初にお話をさせていただいたのが新宿区の小学校でした。4年生を中心に1年間、新宿の歴史を知り、実際に栽培し、調理をして食べる。とうがらしを通して学ぶ、まさに「食育」ですよね。
 現在は高校、大学、専門学校とあらゆる学校で同様の活動が行われています。足掛かりとなればと、紙芝居や講談、「内藤とうがらし」の歌やマンガ、絵本も交えて教えていく。そういった活動から、知る・理解することで私たちもやりましょうと共感してもらえるんです。
 また、新宿区一帯の地域へも普及させていこうと、地域活動にも積極的に取り組んでいまして、2014年から毎年1回「新宿内藤とうがらしフェア」を開催。認知が段々と出てきました。いまや「内藤とうがらし」の関連商品は、調味料やチョコレートなどのお菓子類、麺類、ジャムなどの加工食品、化粧品や入浴剤など多岐にわたります。


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オススメの茨城産「燃焼系 ぬれ焼きせんべい」と新作の「とうがらし桜ゼリー」。どちらも大変マイルドな味わいで食べやすい。


―――意外な組み合わせのものが多いですよね。こういった商品はどのように生まれたのでしょうか。


新宿という街は、1日で347万人と世界一の利用人数誇る駅があり、昼間人口75万人を抱えているわけで、とにかく、超ビッグマーケットなわけです。
 これは使わない手はない。そこで、私が昔携わった地域の方々に、それぞれの特産品にどんな形でもいいから「内藤とうがらし」を入れて加工した商品にすれば、新宿区で販売できるよという話をしました。
 茨城県で作ったせんべいも新宿で販売できる。人口が3万人しかいないところでは売れなくても、新宿区でなら売れる。他の地方の小さな地域の街おこしにもつながる。
 そうやって、全国の小さなマーケットと組んだことで商品の幅が格段に広がりました。



「アトム七味」について

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―――今回、「内藤とうがらし」を使って作られた「アトム七味/高田馬場」が新宿ご当地七味として発売された経緯を教えてください。


もともと、手塚プロダクションの石渡正人さんと日高海さんから、「アトム通貨」の一環で、高田馬場エリアで内藤とうがらしを栽培したいという相談を受け、2012年からプロジェクトの協働をしておりました。現在このエリアでは100を超える企業や団体が「内藤とうがらし」を育てています。
 そうした素地がある中、2015年、東京富士大学で、“キャラクターを使って地域を活性化する”をテーマとした石渡さんの講演が開催されると聞き、足を運ばせていただきました。
 キャラクターの持つ面白さと物語性が地域活性化の動きを加速させる、という内容を耳にしながら、アトムを使って「内藤とうがらし」を広めたいという気持ちが強く生まれましてね。いまがそのタイミングなのではないかと感じたんです。
 アトムのような世界的キャラクターと地域の小さな動きがコラボすることで広がる可能性は1000どころじゃなくなる。手塚先生が作ったアトムというキャラクターがマンガの世界から抜け出し、街に飛び出して行ったときに思いもしなかったような広がりが起きる。
 そういう新しい地域創生のモデルになれたら、と誕生したのが「アトム七味」です。


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―――コンセプトやデザインなど、こだわった点があればお聞かせください。


使い勝手がよく、中身がなくなったらまた買いたくなる、新宿を代表するお土産を作りたいという思いのなか、一番こだわったのはパッケージでしたね。
 パッケージデザインは手塚プロダクションにお願いしましたが、文字の下にさりげなくとうがらしのイラストや山椒の実のイラストが入っていたり……。
 「内藤とうがらし」は江戸が原点。アトムは新宿未来特使に任命されています。
 僕はこのデザインをはじめて見たとき、江戸の歴史から飛びだしてきて未来に向かっていくアトムが描かれていると感じました。デザインのなかに物語が込められているんです。色合いもすべて本当に完成されていて、これぞプロの仕事だなあと感心しました。
 専用の缶ケースに関しても、缶に入れて販売すると賞味期限の問題があるので、中身と缶は別々に梱包して販売。価格も1000円以下に抑え、詰め替え用を別売りするなどいろいろ考えて作りました。


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現在、缶のパッケージは写真の2種類。左は「内藤とうがらし」で作った七味とうがらしで、他に陳皮、黒ごま、和山椒、けしの実、麻の実、青のりが入っている。特別缶仕様の「アトム七味/高田馬場」は820円(税別)で販売。


―――「アトム七味」の味はどのように調合して決めていったのでしょうか。


昨年の8月から、石渡さんや日高さんも交えながら調合師の方も招いて何度か会議を行い、中身を一緒に考え抜きました。
 はじめ、高田馬場はラーメン屋が多いので、ラーメンに合うとうがらしはどうかとニンニクを入れたものを提案したのですが、「内藤とうがらし」の香りを消してしまうので却下。これからはオリンピックも控え、海外の観光客も増えるし、場所やジャンルという枠に囚われるんじゃなく、ここは「和」で勝負しませんかと、逆に手塚プロダクションから提案いただき、日本を代表するキャラクター、アトムの色にちなんだものにしようというところに落ち着いたのです。
 「内藤とうがらし」の赤をアトムのブーツの色と見立て、ベルトは緑で山椒、パンツは黒なのでゴマ。この3つを調合した味にする運びとなりました。
 山椒も和山椒と中国の花椒があり、花椒は中華料理によく使われ、身体に良い利点があり安い。一方、和山椒は香りが芳醇だけど価格が高い。アトムは小柄だけど10万馬力を持っていますよね。和山椒も小粒だけれども、ピリッと主張する。共通しているんです。更に、『鉄腕アトム』は、はじめての国産アニメーション。すべて国産の素材を使おうとこだわりました。


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手塚プロダクション会議室で行われたアトム七味調合の様子。和山椒と花椒の香りの違いや、調合の割合による辛みバランスなどを検討。お湯を注いで香りの変化などもチェック。


次に、各素材の分量の割合を変えながらブレンドしていきました。どの素材を何割入れた場合がこれくらいの辛さで香りがこれくらいになる、とパターンをたくさん作って、お昼ご飯などに掛けて試すのを繰り返しながら、最終的に今の配合に収まりました。


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内藤とうがらし:和山椒:黒ごまの比率を様々なパターンで調合し、テイスティング。


―――「アトム七味」が合う食べ物や意外な食べ方をご存じでしたら、是非教えてください。


それこそいろんな使い方があって、うどんやそばなどの麺類はもちろん、お酒のおつまみの焼き鳥に振り掛けても美味しいし。オススメは味噌汁ですね。あとは、和風のパスタ。これはたまらなかったです。新しい発見でしたね。
 また、「内藤とうがらし」の実を丸々1本入れて炊く御飯も最高です。うっすら茶色の御飯が出来るんだけど、炊き込み御飯のような上品な味で是非試していただきたいですね。


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御飯に! そば・うどんに! 


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お酒のおつまみに!!!


僕なんかはこうして……(おもむろにポケットからなにかを取り出す成田さん)


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スッ


―――そ、それはなんですか?!


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これをね、ちょっと振って蓋を取ると……


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パッ


―――!!!!


お店で取り出すとみなさん、同じように驚かれます(笑)。ゆかりってご存知ですか? 三島食品の有名なふりかけでペンタイプも出ているんですよ。これが、持ち運びに便利なんですね。中身を内藤七味に入れ替え、外側もとうがらし仕様にカスタマイズして、毎日持ち歩いています(笑)。


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―――とうがらしのバンダナやピンバッジが目を引きますが、そちらは市販されているものですか?


すべて僕がデザインした特注品です。よく商品化を意識したパッケージのデザインを考えてはスケッチブックを広げて絵に描き起こしています。
 他にも「ピリッチ・カラッチ」というオリジナルキャラクターを作りまして、小学校で講演を行うときは着ぐるみも登場し、人気を博しています。僕自身も小学生から「タネジィ」と呼ばれて親しまれるようになりました(笑)。


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大学ノート丸々一冊に描き込まれたイラストの数々。とうがらしのネタ帳と言っても過言ではない。


食べ物は食べたら消えちゃいますけど、グッズは残りますからね。
 ペンタイプもバンダナもブローチも基本的に“遊び”なんですよ。“遊び”の感覚がベースにないと面白さが伝わって来ない。
 いま「アトム七味」は新宿区限定で販売しているのですが、あえて薬味の専門店ではないお店に置かせてもらっています。  一カ所は「アトムまんじゅう」でお馴染み、高田馬場の和菓子屋さん、青柳。石渡さんたちにご紹介され、手塚先生が実際に通われていた昔ながらのお店ということで是非にとお願いをしてみたところご快諾いただけました。
 もう一カ所は日本で2番目に出来た映画館の新宿武蔵野館です。つい最近、同系列のミニシアター、シネマカリテでも販売をスタートしました。


―――青柳さんはアトムつながりでなんとなくわかるのですが、なぜ映画館にとうがらしを置くようになったのか、とても不思議に思っていました。


新宿武蔵野館を作った創始者のお孫さんが自分たちになにか出来ることがあれば力になりたいと訪ねてきてくださったんです。
 まだ新宿が戦後の薄汚い街だった時代に、彼の祖父は本格的な映画館を作り、映画という文化を持ち込んだ。そのことによって新宿が一気に変わるわけです。 ご自身が病気になってはじめて、自分の父親や祖父がやってきた地域に文化を根付かせるという活動を自分はしていない、祖父のように地域に貢献しなければいけないと考えたそうです。
 僕たち、お店がなくて困っているんですよと相談したら、じゃあ、映画館に置きましょうとなり、いま、映画のチケット売り場の横に「内藤とうがらし」コーナーが出来ています(笑)。


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■御菓子司 青柳
 東京都新宿区高田馬場4-13-12
 営業時間:10時~19時 定休日:日曜日

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■新宿武蔵野館
 http://shinjuku.musashino-k.jp/


―――新宿にある伊勢丹などの商業施設でもフェアやイベントを積極的に行っていますよね。


新宿は、伊勢丹や新宿中村屋、新宿高野、紀伊国屋など代々続く老舗が多いんですよ。みんな、応援してくれています。なぜかというと、この頃、新宿の駅前は大手家電店とかチェーン店が多くなり、渋谷や池袋に行っても変わらない風景になってしまったから。
 そうじゃなくて、江戸時代のような新宿らしさを取り戻したい。“これぞ新宿”と誇れるものを発信して次につないでいきたい。老舗の方たちも気持ちは同じなんです。



今後の予定について

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―――店頭販売を行っている「青柳」では、大変好評だそうですね。


僕が感心したのは、辛いものが好きな人はもちろんですが、そうじゃない方々にも届いている点です。
 アトムが好きだから缶が欲しくて買う方にとっては、とうがらしはあとから付いてくるものなんですね。そこから美味しさに気付いてもらえる。
「アトム七味」が生まれたことにより、従来とは次元の違う、我々の範囲を超えた段階に来ていると感じています。


―――辛いものも好きでアトムファンの人にとっては2度おいしいかも知れません。私もマイ七味として手放せなくなりました。


「アトム七味」をきっかけに新宿を代表する野菜があることをまず知ってもらい、さらに新宿を代表するお土産として定着させたいですね。そのためにはどうPRしていけばよいのかが今後の課題です。
 あとはあれですね、とうがらしの自動販売機を設置する(笑)。新宿でお店を持つなんて大変ですから。豆からドリップして挽きたてが作れるように、とうがらしも同じようなことができないかなって。アトムのボタンを押したら、山椒・ゴマ・内藤とうがらしが調合されて、缶ごとスコンと出てくるような(笑)。


―――新宿区のいたるところに設置される日も近いかも知れませんね(笑)。
最後に「内藤とうがらし」の今後の活動について教えてください。


今後、「新宿内藤とうがらしフェア2018<春>」という販売イベントを新宿区内で数回に亘り開催していく予定です。
 5月1日、2日の午前10時から15時、新宿タカシマヤ2階JR口特設会場にて、内藤とうがらしの苗と加工品販売が決定しています。
 ここではアトム七味も販売いたします。
 他の販売会などの情報は決定次第、内藤とうがらしプロジェクトの公式サイトに順次掲載されます。たくさんの方に内藤とうがらしに接する機会を提供していければと皆で意気込んでおります。



関連情報

■内藤とうがらしプロジェクト|公式サイト
  最新情報はこちらから!
  http://naito-togarashi.tokyo/

■新宿ゆかりの幻の内藤とうがらしを使った「アトム七味」発売!
  http://tezukaosamu.net/jp/news/n_2320.html



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