いよいよ、TVアニメ『アトム ザ・ビギニング』が放送スタート! また、コミュニケーション・ロボット 『週刊鉄腕アトムを作ろう!』の創刊、4月7日はなんたってアトムの誕生日と、アトムづくしの4月となったわけですが、ちょっと、アトムばかりがフィーチャーされすぎなんじゃないの?! ということで、コバルト推しのみなさま、お待たせ致しました! 今回は、アトムの大切な弟、コバルトに注目し、タイトルもずばり「コバルトの巻」をお届けします!
「鉄腕アトム コバルトの巻」は、月刊誌『少年』昭和29年6月号から9月号にかけて掲載されました。
皆さんはアトムの弟、コバルトを知っていますか?(虫プロ版のアニメでは兄です)
1980年や2003年に製作されたカラー版のアニメには登場しなかったため、妹のウランに比べて知名度は低いですが、原作ではさまざまなエピソードに登場しています。今回ご紹介する「コバルトの巻」は、そのコバルト初登場のエピソードです。
ある国の爆撃機が、水爆を積んだまま日本近くの深海に沈みました。しかも10日後には自動的に爆発し、日本に甚大な被害を及ぼすといいます。科学省は、この爆発を食い止めるため、ロボットを作って爆破装置を解体させようと計画します。このロボットこそ、アトム2世「コバルト」でした。
しかしこのコバルトは、アトムと同じ構造を持っているものの、機械の解体のような細かい仕事ができるほど精密ではありませんでした。そこで、すでに水爆の調査に向かっていたアトムと力を合わせて、解体作業をすることとなります。アトムの切れかけた真空管を自分の物と取り替えて、献身的にサポートするコバルトの姿は感動的です。後半、水爆を沈没させた国が真空管の切れたコバルトを拾い上げて分解し、ずうずうしくも日本のロボット技術を盗みますが、ある失敗をして自国のロボット技術を日本側にも知られてしまうことになります。この失敗というのがまさに自業自得で何とも面白いのですが、大事なオチのネタバレになるので、ここでは詳しく述べないでおきましょう。
優等生のアトムに対し、ちょっとおとぼけ気味な風貌と性格のコバルトですが、「ミドロが沼の巻」など、この後のエピソードでしっかりとアトムに負けない大活躍をして、存在感を示してくれますので、「コバルトの存在をはじめて知った」という方には、まずはこの登場編から読むことをおすすめします。
アトムがはじめて、コバルトの名前を呼ぶシーンがこちらです。力が尽きようとしているアトムを支えるコバルト。多くを語らずとも、ふたりの目の描かれ方や表情、しぐさなどから、なにか特別な感情が湧きおこっていることがみて取れます。
アトム:
M44号:
水爆を海の中へ落とした責任国のロボット・M44号とアトムの会話です。M44号も爆発をふせごうとやってきたのですが手に負えず、司令官たちの命令でコバルトを連れ去ります。そのことに怒るアトムに対し、わしだってべつだん悪者ではないと、コバルトのいる責任国の潜水艦へ案内しますが……。
いい名前ではないとはっきりdisるアトムの言葉を素直に認めるあたり、確かに悪者ではないのかも、と思えるシーンとなっています。