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虫ん坊 2015年1月号 特集1:いのちを守るロボットを作れ! さがみロボット産業特区 海老名駐在事務所に潜入!(1)

虫ん坊 2015年1月号 特集1:いのちを守るロボットを作れ! さがみロボット産業特区 海老名駐在事務所に潜入!(1)

「世界で一つのアトムの信号機が、神奈川県のとある街にあるらしい!」というニュースは、皆さんすでにご存知かもしれません。
 実はあの信号機は、さがみロボット産業特区を一般の方にもっと知っていただくためのPRの一環として特別につくられたもの。
 ところで、さがみロボット産業特区って、そもそもいったいなんだろう?
 虫ん坊では、さがみロボット産業特区海老名駐在事務所に伺い、さがみ産業特区推進センター センター長 依田孝志さんと、神奈川県産業労働局 副主幹 神谷洋邦さんをたずね、お話をうかがいました。




●アトムの信号機を探せ!

11月11日にとある場所に設置されてから、ネット上やテレビなどで話題になった信号機は、さがみロボット産業特区のなかのどこかにあるらしい! 虫ん坊では、まずはそのウワサの信号機を実際に見てみよう! ということで、信号機の設置場所に赴きました。


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こういう乗り物があります。


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さがみロボット産業特区のWEBサイトに、場所のヒントがあるよ

道路交通法の規則上、普通の道路への設置は出来ない、こうした特別な信号機。アトムの信号機は、とある公園内に設置されています。
サイクリングコースと歩道が交わるところにあり、土日はサイクリングを楽しむ子供たちでごったがえすそうです。みんな、信号を守って走行をたのしんでいるそうですよ!


虫ん坊 2015年1月号 特集1:いのちを守るロボットを作れ! さがみロボット産業特区 海老名駐在事務所に潜入!(1)

虫ん坊 2015年1月号 特集1:いのちを守るロボットを作れ! さがみロボット産業特区 海老名駐在事務所に潜入!(1)

ヒントの中でも紹介されていた「空中散歩」からみた風景。



●さがみロボット産業特区推進センター・海老名駐在所に潜入!

信号機が本当に(?)あることを確認した後、さがみロボット産業特区の広告拠点でもある、推進センター・海老名駐在所にお邪魔しました。


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「さがみロボット産業特区推進センター」という表札がかかっています。文字は神奈川県知事・黒岩祐治氏の揮毫によるもの。


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プロモーションムービーを流しているモニターです。


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神奈川県産業労働局産業・観光部産業振興課 さがみロボット産業特区推進センター・センター長 依田孝志さん。

さっそく、依田さん・神谷さんにお話を伺いましょう。

——さがみロボット産業特区とは、ずばりどのような場所なのでしょうか?

依田孝志さん(以下、依田): 2011年8月に施行された総合特区法に基づいて、国の支援や規制緩和を受けながら、ロボット産業を盛り立てている地域です。
 特区に指定されているのは、神奈川県相模地区の10市・2町で、神奈川県と対象市町が力をあわせて、ロボットの開発・普及に向けての様々な取り組みをしています。

——どうして、神奈川県でロボットなのでしょう? 神奈川には他にもいろいろな「得意分野」があると思うのですが…。

依田: 県知事の黒岩が政策課題として、「いのちを守る」という政策を打ち出しています。では、県民の命を守るには、具体的にはどうしたらいいのか?
 実は神奈川県は、全国的に見ても少子高齢化がもっとも進んでいる自治体の一つです。高齢化の問題は、日本のどこの自治体も頭を悩ませている問題だと思いますが、若い人が徐々に減ってゆき、高齢者が増えていく未来に対して、県として何ができるのか、を考える必要がありました。特に介護現場にとっては、人手の不足が切実な問題となっています。そういう中で、ロボット産業というのが注目されています。
 それから、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大きな災害を経験してきた中で、この日本に住んでいる限りは、大きな自然災害が避けられないという実感を皆さんお持ちだと思います。自治体としては、大規模災害の際にどのようにして住民の「いのちを守る」かが大きな課題です。災害時の救護や、災害予防の分野でもロボットの力が期待されています。
 特区に指定されているエリアを調べてみると、県内でもロボット産業に関わる企業や要素技術を作っている工場が集まっていることが分かりました。さらに圏央道——私たちは、さがみ縦貫道と言っているのですが、神奈川を縦に貫く大きな道路ができました(2013年3月)。これが出来ることによって、東名高速道路と、中央高速道路と、関越自動車道がこれによって縦につながり、群馬や千葉といった地域から東京を通らずに直接神奈川に来ることが可能になりました。
 いままでたとえば群馬からなら、関越をとおって練馬のほうから入ってこなくちゃならなくて、神奈川にいくのは面倒だと思っていた人が、鶴ヶ島のあたりからぐぐっと回ってダイレクトにこれちゃうわけです。ものを運びやすくなったり、首都圏に近く大消費地を持っている神奈川に立地してしまったほうが得なんじゃないか、と考えてくれる企業が多くなることを期待しているんですね。
 しかも、特区制度によってこの地区では全国に先駆けて、ロボット産業に関する規制緩和を受けることが出来ます。ほかではできないことが、ここでは出来るというメリットもあります。


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——研究開発に力を入れている生活支援ロボットとは、どういうロボットでしょうか?

依田: 生活支援ロボットの定義はかなり広いのですが、われわれの生活の中に深くかかわっていくロボットたちのこと、と言うのが一番分かりやすいと思います。
 たとえば、電車の自動改札機とか、温度や人の有無を見分けて温風を調節する機能がついているエアコンなどがすでにありますが、あれもいわばロボットの一種です。そういうすでにわれわれの生活に入り込んでいるロボットに加えて、今後、少子高齢化で労働人口自体が減ってゆく中、医療現場や、介護の現場でロボットがやったほうが便利だなと思うことをやってくれるロボット、災害の現場で今でも人間がやるには危険なことや無理なことに従事してくれるロボットが、生活支援ロボットです。
 いずれも、キーワードは知事の唱えている政策である「いのちを守る」ということだと思うんです。そういう目的のためのロボットの象徴として「鉄腕アトム」はまさにぴったりだ、と考えたわけです。

——他のキャラクターは検討しなかったんですか?

依田: 子供や若者に人気があって面白いキャラクターはそれこそたくさんいると思いますが、それだけじゃだめなんですよ。命を守ってくれる存在でないと、マッチしないですよね。ロボットで、人間を助けるために一生懸命なアトムはぴったりだったんです。
それに、おじいさん・おばあさんの世代も知っている、というのが今になってメリットになってきています。孫世代にしか知られていないキャラクターだと、そこで話題が途切れちゃいますが、アトムだと高齢者の方でも分かっていただける。家に帰ってそういう世代の方が、ご自身のお子さんやお孫さんに、「アトムってこういうことをやっているらしいよ」というようなお話をしてくださるのがありがたいです。イベントのプレゼントに作った缶バッジなんかも、子供向けのプレゼントだったんですけれども、おじいさん・おばあさんも「孫に上げるんだ」なんていってうれしそうにもらってくれるんです。

神谷洋邦さん: 世代を超えて人気があるキャラクター、というのは、まさに、アトムの信号のニュースをお知らせしたときに実感しました。僕らもはじめは、40代以上の方からは、「子供の頃に見ていた」というようなお声を聞くので、その世代以上には人気があるだろうという予測はついていましたが、子供世代にはどれぐらい認知されているのだろう? というのが肌感覚で分かっていないところもあったんです。でも、イベントなどを通じてさまざまな世代の方と触れ合っていると、小学生くらいのお子さんもアトムの絵を見ると「あ、アトムだ!」って駆け寄ってくれるんですよ。聞いてみると、みんなアトムを知っている。学校の教材などで触れる機会があるんでしょうね。世代を超えるキャラクターなんだな、というのを改めて、実感できました。


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 次回は、いよいよインタビュー後半、鉄腕アトムの「七つのチカラ」と、生活支援ロボットの意外な共通性や、具体的な取り組み事例などをご紹介します!


(つづく)


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