皆様、突然のお邪魔申し訳ございません。
今回虫ん坊の「北京写楽訪問記」の記事を提供させて頂いたモノですが、
自己紹介をさせて頂きたいと思います。
初めまして、蒋(ショウ)●(クン)と申します。
年齢:毎年変わっておりますが、今の時点では20代でございます。
性別:雄
(※●は王編に君)
中国東北地区出身で、中国の大学で手描きアニメを専攻しました。
大学を卒業後、北京でアニメーターを務め、アニメ、特に日本アニメへの憧れが高じて、2009年に東京へ留学に参りました。
2013年日本の大学院で「映像プロデュース」研究専攻を卒業し、宝くじが当たるような運で、手塚プロダクションに入社しました。
部署:営業一部に所属しております。
担当事業:「雑用の鬼」と自称したいですが、中々雑用の仕事さえも出来ないことも多いです。
2013年11月、「虫ん坊」でも紹介しましたが、1980年版「鉄腕アトム」の中国語版アフレコに立ち会った後、手塚プロダクションの北京スタジオ、北京写楽有限公司に訪問しました!
北京写楽に足を踏み入れるのは、僕も初めてです。
初めて記事を書かせて頂きましたが、お見苦しい部分があるかもしれませんが、
平にご容赦頂いたいと思います。
北京写楽は1991年に手塚プロの支社として設立されました。
業務内容は主に日本の手塚プロダクションの仕事の下請けをしています。
北京市から北の郊外、昌平県の小湯山にあります。
周辺は荒涼とした所で、突然ヨーロッパ風のお城みたいな建物があるので、少し場違いな感じもします。
日本の漫画家のスタジオなのに、デザインは日本風ではなく、ヨーロッパ風なのがちょっと不思議な感じです。
雨の降る夜に何も知らずに行き着いたら、怪談の舞台のようにも見えるかも・・・?
スタジオ本館のビルは4階建てです。
■ 2階
アニメーターと仕上げの研修生の育成教室になっています。
中国は国産アニメの製作を政策に掲げ、政府もアニメ産業に力を入れています。
産業が拡大するとともに人材不足などの問題も出てきました。各大学もアニメに関する専攻を立ち上げていますが、やはり教育方針が未熟だったり、教師や施設の不足などの原因で、卒業してすぐアニメ会社に入って仕事が出来る卒業生はまだまだ少ないです。
北京写楽は手塚プロの支社なので、中国国内では日本のアニメ現場に最も近い会社といえます。日本人のアニメ監督も来訪して、日本で培ったアニメ技術のノウハウを学べますから、アニメ会社に勤めたい学生がたくさん写楽に来ているようです。
はじめ、アニメ教育に熱意を入れていた写楽は、場所や施設、先生などを提供し、無償でで学生達にアニメ技術を教えていました。ところが、学生達は日本式のアニメ現場を経験すると、「厳しい」、「難しい」と感じて続かず、ほとんどの卒業生が他の会社に転職してしまったそうです。沢山のお金や時間をがかかるため、仕方なくアニメ研修は有料になりました。
現在在籍する研修生の二人ファンさんとタンさんに簡単なインタビューをしました。
——以前、写楽以外の場所でアニメ制作の授業を受けたことはありますか?
ファンさん(以下、ファン):
私は中国のアニメ専門学校でCGアニメ学科を卒業しましたが、経験も知識もまだまだ足りないと感じます。
タンさん(以下、タン):
私は両親のつよい勧めで旅行管理専攻の大学へ行き、両親の望み通り学位を取りました。でも、旅行管理の仕事がいくら安定していて給料が良くても、私はアニメの仕事をやりたくなくてしょうがないんです。アニメの仕事をしたくてここにきました。
——どうして写楽を選びましたか?
ファン:
手塚治虫先生は評判も高いし、写楽は水準の厳しいといわれる日本のアニメスタジオの子会社ですから、
評判も、アニメ制作レベルも考え合わせると一番いいと考えました。写楽の求めるレベルに達していれば、他の会社の要求にも叶うはずだと思っています。
タン:
友達が教えてくれました。今色んなアニメ会社がアニメ制作研修生を募集していますが、実際は研修費を稼ぐためだけにやっているところも多いようです。写楽みたいな日本人の先生がきちんと作画を教えてくれる本格的な会社は実は少ないのです。
——お二人はどのようなアニメが好きですか?
ファン:
私がよく見るアニメはピクサーのアニメですが、作りたいのは新海誠さんが作ったアニメのような作品です。
タン:
私の好きなジャンルは幅広くて、少年アニメも好きですが、少女系、萌え系、BL系も好きです(最近では「黒子のバスケ」などがそれっぽいですね〜笑)。でも一番好きなのは最近中国で大ヒットした「十万個ダジャレ」や「屍兄」ですね。制作は日本アニメと全然違うレベルですけど、でもストーリなどはとても面白いです。中国アニメが台頭してきたよいケースだと思います。
■ 3階 作画部
休憩中の作画部スタッフAさんにも話を伺いました。
——古株社員として、写楽にはどのような感想をおもちですか?
Aさん(以下、A):
私はまだ5年目なので古株社員ともいえませんが、そろそろ写楽にも慣れてきました。知識も技術も沢山身につけられていますし、日常も楽しいです。
——なぜ写楽を選択しましたか?
A:
安徽省出身で、大学はアニメデザイン専攻でした。卒業して研修生として安徽のアニメ会社に勤めました。でもその会社はあんまり繁盛していなくて、アニメの仕事は少なかったです。その会社内で一度選考があり、合格者は写楽に勤めることができる、というので、受験したところ合格し、写楽にインターンとして入りました。来てからもさらに研修生として技術を勉強し、もう一度試験があって、それに合格して入社しました。
その後さらに3ヶ月の「研修期間」がありましたが、これは、自分自身の観察期間のようなもので…。多くの人がアニメやゲームが好きでアニメの仕事にあこがれますが、アニメは趣味だけで続けていける仕事ではないですね。アニメ制作というのは、実はとても味気ないところのある仕事だと思います。多くの人が、この「研修期間」後にアニメ制作の道に進むことを断念しました。
——今はどんな仕事をしていますか?
A:
動画マンをしていますが、動検もしています。
大体一ヶ月に一回、原画やLayoutの勉強もしています。このような勉強は、直接制作進行中の日本アニメを使って行われます。先生の指導に従って課題を仕上げ、検査を通ると実際のアニメ作品に使ってもらえます。
技術の勉強にもなるし、給料も上がります。
——写楽での生活はどうですか?
A:
とても快適です。生活施設は全部揃っていますから、心配することも全然ありません。現在は、北京の家賃はとても高いのです。4階にアニメーター用の無料で住める寮がありますから、貯金している私のようなスタッフにとってはとてもありがたいです。家に帰る心配をしなくてよいので、残業も楽ですしね。ネット回線やWifiも完備されており、隣のビルにスタッフ食堂もあります。
本館ビルを出た後ろは大きな庭になっています。
庭にいろんな種類の木が植えてあります。地面に近いところの木の枝はあまり切り整えられていないようですが、かえって自然豊かな雰囲気がします。スタッフ達は仕事が終わったあと、庭で散歩したり、ベンチで音楽を聴いたりするそうです。自然が好きな手塚先生もここを気に入ると思います。
食堂の食材に使われる野菜もたくさん植わっています。
第1回めの訪問レポートはこれでおしまいです。
写楽にはまだまだ面白いところがたくさんあります。
また皆さんにご紹介できればうれしいです!
情報:
北京写美品有限公司
住所:北京市昌平区小山小山大街西路南
電話:86-10-61782154
HP:http://www.xiele.com.cn/