今年は「火の鳥」連載60周年! ということで、今月のオススメデゴンスでは『火の鳥 黎明編』をご紹介します。
不朽の名作「火の鳥」シリーズをはじめて読む方は、この序章にあたる黎明編からがおすすめです!
昔読んだという方でも、改めて読み直してみると新たな発見があったり、キャラの印象がまた違ってみえたりするかもしれませんね。
(手塚治虫 講談社刊 手塚治虫漫画全集『火の鳥(12)』あとがき より)
死とはいったいなんだろう?
そして生命とは?
この単純でしかも重大な問題は、人類が有史以来とりくんで、いまだに解決されていないのだ。ある人は宗教的にそれを解決し、あるいは唯物論的に割り切ろうとする。
生命が物質なら、それらにも霊魂があるのだろうか?
人間は何万年も、あした生きるために、きょうを生きてきた。あしたへの不安は死への不安であり、夜の恐怖は死後の常闇の世界の恐怖とつながっていた。
人間の歴史のあらゆるときに、生きるためのたたかいがなされ、宗教や思想や文明のあらゆるものが、生きるためのエネルギーにむすびついて進歩した。
「火の鳥」は、生と死の問題をテーマにしたドラマだ。古代から未来へ、えんえんと続く火の鳥——永遠の生命とのたたかいは、人類にとって宿命のようなものなのだ。
(後略)
手塚治虫自らが「ライフワーク」と語っているように、作品自体は昭和29年から「漫画少年」でスタートしていますが、特に広く読まれ、その名声を高めたのが、昭和42年から雑誌「COM」に連載されたこの「火の鳥・黎明編」から始まるシリーズです。
「黎明編」の舞台は、古代のヤマタイ国で女王ヒミコが権力をふるっていた頃の日本。侵略・戦い・虐殺の中、「永遠の命」をもたらすという火の鳥をめぐる、人間達の生と死と欲望のドラマが描かれています。手塚ファン必読の作品であるのはもちろんのこと、特に「最近面白いマンガに飢えている」という方に、壮大な物語の序章としても、また史実に基づいた歴史作品としても、心からおすすめしたい一作です。