特集1でご紹介した神田織音さんによる講談、放送が楽しみですね! 「オススメデゴンス」では、放送に先駆けここで一つ、『鉄腕アトム』を復習してみよう! ということで、『鉄腕アトム』より「ホットドッグ兵団の巻」をご紹介します。
このお話の主人公は、実はアトムじゃなくて、ヒゲオヤジの愛犬、ペロ。愛犬家ならきっとキュンとなる、「忠犬ハチ公」並の名犬・ペロの可愛さが要チェックです!
「鉄腕アトム ホットドッグ兵団の巻」は、月刊誌『少年』昭和36年3月号から10月号にかけて掲載されました。
ヒゲオヤジの愛犬ペロが、謎の女に囚われてしまいました。落胆するヒゲオヤジの元に、ある日ロケットに乗って、宇宙人ともロボットとも付かない、真っ青な顔をした怪人がやってきます。ところが、怪人は特にヒゲオヤジに何をするでもないまま、帰ってしまいます。怪しんだアトムは、シクロノメーターを怪人のロケットに仕込み、行く先を調べました。ロケットはベーリング海峡の小島にある、「雪の女王」のお城のような秘密基地に帰っていたのです…。
この「ホットドッグ兵団の巻」は、『鉄腕アトム』の中でもとくに印象深い一編です。ページ数をふんだんに使った中編で読み応えがあるということもありますが、何よりも北国の雪に閉ざされた秘密基地や、美しくも冷たい心の女王に従う謎の軍団という道具立ては、ちょっと少女漫画のようにロマンチックでありながら、ホットドッグ達はパイロット服にスカーフと言ういでたちでロケットを乗りこなし、少年が喜びそうなかっこよさも備えています。ベーリング海峡の氷の海から、月までを舞台にして繰り広げられる活劇はまたダイナミックで、読み応えがあります。
敵役のホットドッグ兵団の隊長、「44号」は、中でも特に魅力のあるキャラクターです。2001年の映画『メトロポリス』でも、ロボット刑事として登場しています。彼はロボットのようでありながら実はロボットではなく、そのために悩みを抱えています。その正体が明らかになるシーンが、この作品のクライマックスになっています。実はヒゲオヤジと浅からぬ縁のある44号とはいったい何者なのか、その後どんな運命をたどることになるのか、それは本編をぜひ読んでみてください。