火星からやってきた男と、地球人たちの衝突を描いたSF短編です。チルチルとミチルという貧しい兄弟は、ある日、行きだおれていた謎の男を助け、金のタネをもらいました。実は、そのハリールと名のる男は火星人で、地球へ水をもらいにやってきたのです。しかし、地球人は会議ばかりしていてなかなか話が進まず、さらに、マルピギー博士という悪人が、ハリールの円盤を奪ってしまいました。チルチルとミチル、それにヒゲオヤジ探偵はハリールを助けて雪山で悪人たちと戦います。
1952/07 「少年画報」付録(少年画報社) 掲載
手塚マンガには、植物の宇宙人や人間がしばしば登場します。『ロスト・ワールド』(1948年)に出てくるあやめともみじをはじめとして、水を求めて地球へやってくる植物宇宙人というテーマでは『鉄腕アトム』の「植物人間」(雑誌掲載時サブタイトル「アルソア12星人」1961年1月)がありました。とくに鉄腕アトムの「植物人間」のエピソードは、雪山で始まるプロローグといい、この『火星からきた男』のイメージがかなり引用されています。