「何でも願いをかなえてあげる」——一度でいいからそんな気前のいいことを言ってくれる魔法使いか神様が目の前に現れたらいいなあ、と思った事がある人、「ロップくん」をオススメします。 ロップくんは、外見はかわいらしい少年型ですが、何でも作ることができるすごいロボットです。海に沈んでいるところを六ぺいくんに助けられ、以来六ぺいくんの頼りになる友達となります。「何でも作れる」特技のせいで悪人に狙われて、事件にまき込まれることもしばしばです。悪人達にとって、何でもできるロップくんは、まさに「金の卵」。あの手この手でロップくんを捕まえて言うことをきかせようとします。ロップくんは、ある時はそんな悪人達と戦ったり、またある時は六ぺいくんや友だちのお願いをかなえてあげたり、大活躍をします。ロップくんの作るものは、ケーキやおうちといった簡単なものから、恐竜ロボットや雪を溶かすロボットといった難しいものまでさまざまです。宿題をやってくれる手首、なんてものもあって、思わずほしくなっちゃいますが、ロップくんの作った機械はどれもちゃんと自分の意思を持っているからか、必ず暴走してたいへんなことになるので、取り扱いには十分気をつけなければなりません。こんな素晴らしいロップくんですが、実は大昔に地球にやって来た宇宙人の子供に飽きられ、捨てられたというあのアトムにも似た暗い(?)過去があるのですが、その割にアッケラカンとしているので、アトムは可哀想だからちょっと気軽に読めないや、という人も楽しく読めるロボットまんがです。 最後に、蛇足ながら。ぼくは/私は手塚作品にはちょっとウルサイよ、という方へ。『鉄腕アトム』の紹介にも、別の手塚キャラが顔を出すしかけを紹介しましたが、「ロップくん」のラストストーリーには、ある別の手塚作品のキャラクターが登場します。あの作品とこんな風につながっているんだ、なんて想像しながら読むと楽しい、ちょっとしたしかけですが、注意して読んでみてください。
1963/10-1965/09 「小学一年生」「小学三年生」(小学館) 連載