『偉大なるゼオ』は、現代に突然出現した百万年前の巨大ロボットと、それに関わった人間達が織り成すSFドラマです。登山中に霧に囲まれ、洞穴に避難した村上兄弟は、氷漬けになった巨大な怪物を発見します。氷の中から掘り出された怪物は東京の街中へ運ばれますが、突然目を覚まして暴れ始めました。「ゼオ」と叫びながら破壊を続ける怪物は、自衛隊からの砲撃を受けてもビクともしません。業を煮やした人間達は、怪物を郊外へおびき寄せて、戦闘機で攻撃をすることにしました。しかし、攻撃作戦が進行する一方で、怪物が街中で破壊行為をした、その真の理由が調査によって明らかになりつつありました。果たして怪物・ゼオは人類の敵か?味方か?
1964/03/01 「少年サンデー」(小学館) 掲載
人類の英知を超えた超文明を手に入れながら、有効に使う事ができないために、逆に排除しようとしてしまう人間達。この図式は『魔神ガロン』にも見られたものですが、ガロンの場合は、その巨大な力を悪用しようとする人間達の愚かさも同時に描かれていました。そしてこの『ゼオ』では、その特殊な能力を恐れた権力者によって、優れた過去の遺産が破壊されるという愚かさが描かれています。いずれにしても、もう少し人間達に広く、やさしく、正しい心があれば…と思わずにはいられません。なお、ゼオ破壊の決定を下す大臣役は、おなじみのヒゲオヤジです。江戸っ子の彼にしては珍しく知能派の悪役を演じています。