手塚治虫は中学校時代に飛鳥地方の古代遺跡を訪ね、そこで大きなカルチャー・ショックを受けました。この世には常識や科学だけでは解き明かせない不思議な領域が確かに存在している! というショックです。その時の印象をマンガの中に再現しようとしたのが『三つ目がとおる』で、だから主人公の写楽には中学生の詰襟学生服が着せられています。ふだんは赤ん坊みたいに弱々しいイジメられっ子だけど、ひとたび額のバンソウコーがはがれて第三の目が現われればものすごい超能力と頭脳のひらめきを発揮する写楽保介。この役には手塚治虫のイジメられっ子だった少年時代の憧れが重ねられています。どんなに頼りない子供でも、その個性の中には驚くようなパワーが隠されている。誰かが彼の封印を解いてやれば、きっとそのパワーが世界を変える。そんな思いを託された写楽は、作者の意図をしっかりと読み取った名演、怪演で読者を楽しませます。べつの作品『ブッダ』でもやはり未来を見通す超能力少年の役を演じていましたね。手塚治虫がイメージする超能力者、それが写楽なのです。自信に満ちた人間ではなく、静かにひっそりと身を縮めている赤ちゃん。そんな役柄を強調するのが、相棒役を引き受けている和登さんです。男勝りのお転婆娘なのに、妙にセクシーな女っぽさを持つ彼女は、現代版のサファイヤ姫をのびのびと演じていました。
1974年三つ目がとおる
1974年ブラック・ジャック /ある教師と生徒
1974年ブラック・ジャック /純華飯店 (純華飯店店員?)
1975年ブラック・ジャック /サギ師志願 (力)
1975年鉄腕アトム /アトム二世 (通行人)
1976年ブラック・ジャック /U-18は知っていた (患者)
1976年わかっちゃいるけどむずかしい
1978年ブラック・ジャック /動けソロモン
1979年NEC広告
1981年七色いんこ /修善寺物語
1981年七色いんこ /タルチョフ (空港客)
1983年1983年にはこんなことがおこる