バリトン工場事件

1943年

ヒゲオヤジを主役としたマンガ2作目は、戦時中の社会状況やスパイ活動への警戒心を背景にした、まさに当時ならではの作品です。

マンガ「バリトン工場事件」より

マンガ「バリトン工場事件」より

【解説】

『オヤヂ探偵』から3ヵ月後の1943年6月に描かれたヒゲオヤヂ(ヒゲオヤジ)主演のストーリーマンガ第2弾。

手塚が当時仲間とともに結成していた“動物同好会”の肉筆回覧会誌に掲載された。

 

バリトン工場に納められたタヌキの石像が暴れだして金庫破り事件を起こす。

呼び出されたヒゲオヤジ探偵が調査を開始すると、事件の背後にはO国のスパイ団が関わっていることが分かった。

 

当時“防諜”という言葉は国民にスローガンとして広く浸透していた。

太平洋戦争開戦直前の1941年秋には、当時のソビエト連邦のスパイ活動に関わっていた人物が一斉検挙されるという事件(ゾルゲ事件)も起きている。