オヤヂ探偵

1943年

14才の手塚が初めてペンとインクを使って描いたマンガ。日本が戦況で苦しくなり始め、物不足・食料不足などが深刻になりつつある中、厳しい現実をコミカルに描いています。

マンガ「オヤヂ探偵」より

マンガ「オヤヂ探偵」より

【解説】

ノートに描いて友人の間で回覧された全13ページの短編マンガ。

太平洋戦争開戦からおよそ1年3ヵ月後の1943年3月、中学3年に進級する直前に描かれた。

 

ある日昼寝をしていたヒゲオヤヂ(ヒゲオヤジ)が何者かの悲鳴を聞きつけ、その悲鳴の正体を探って探偵活動を開始する。

 

戦況はこのころすでに日本が劣勢に転じており、2月には南太平洋の軍事的要衝だったガダルカナル島から撤退(報道では“転進”と言い換えられた)。

国内の物不足・食料不足も深刻になりつつあった。

 

マンガの中ではヒゲオヤジが隣人にふるまわれたまんじゅうを口いっぱいにほおばる場面や、巨大なサツマイモが登場し、食べ物に執着していた様子がうかがえる。