
手塚治虫を主人公にしたドラマ『手塚治虫の戦争』の制作が発表されました。
舞台は、1970年代の東京。自ら立ち上げたアニメスタジオ、虫プロダクションの倒産、新しい世代の台頭によって「もう古い」とみなされてマンガの仕事も減ってきていた手塚治虫は、そんな時期に自らの少年期の戦争体験をもとにした読切『紙の砦』を描きます。
苦しい時期に手塚はなぜ、戦争体験に向き合ったのか? ドラマという「物語」を通して、その問いに向き合います。

キャスト:
手塚治虫...高良健吾
大寒鉄郎(マンガ『紙の砦』の主人公、手塚治虫自身がモデル)...原田琥之佑
スタッフ:
作:桑原亮子
企画・演出:鈴木航
プロデューサー:田島彰洋
原作:
手塚治虫『紙の砦』『ゴッドファーザーの息子』
原作マンガはこちら!
『紙の砦』
『ゴッドファーザーの息子』

本作の制作発表会は、宝塚市の手塚治虫記念館にて行われました!
プロデューサーの田島彰洋さん、主演の高良健吾さん、原田琥之佑さんが登壇、質問に答えました。
田島さんのお話によれば、本作の原作となったのは、『紙の砦』のほか、『ゴッドファーザーの息子』。いずれも少年時代の手塚治虫の思い出から生まれた作品です。
高良さんは、本作で描かれる手塚治虫像について、自分の置かれた状況がどうであれ、マンガの執筆に向き合う精神を「闘争心」ととらえたそうです。
また、戦時中、禁止されてもマンガを描き続けた「原点」を、苦境に陥った時代に見つめなおしたのが、『紙の砦』という作品だったのではないか、とコメントしました。
原田さんは役作りとして、マルが基調の手塚キャラクターを描くためにマルを描く練習をしました、とのこと。大寒鉄郎の少年らしさや、一つのもののために時間を割いてでもとりくもうとする姿勢をうらやましく感じるそうです。

戦争については田島さんは3年前にもドラマで取り組んでいます。手塚治虫の視点を通して語ることで、より身近なものとして描ければ、と語りました。
「宝塚市がロケ地になる可能性は?」という質問には、田島さんが、「宝塚を含め、関西のいろいろな場所での撮影をかんがえています」と答えました。おなじみの場所が出てくるのか!? そんな視点でも楽しみな作品となりそう。
各キャスト・スタッフの公式コメントはこちら!
手塚治虫役 高良健吾さん

このドラマでは、手塚治虫先生の「虫プロ」が倒産する、不遇の時代も描かれます。その時代の手塚さんの苦しみは、愛するものを突き詰めるがゆえに生まれてくる苦しみで、その苦しみを乗り越える原動力もまた、自分が愛する漫画への信念や、闘争心だと思うんです。それを僕はドラマの中で演じ切りたいですし、皆さんが知らない手塚治虫先生の一面を描けたらと思っています。
僕自身もこの作品に携わることで見えてくる、手塚先生のいろんな面にとてもひかれています。役を演じる上で、当時の手塚先生の仕事ぶりと自分を重ねたときに、手塚先生は「漫画の神様」や「天才」と言われていますが、その言葉でまとめてはいけないのではないか、と思うんです。何かと闘う心、常に自分に向いている戦い方に尋常じゃない強さがあって、「これだけできる人っているか?」と僕は感じるんです。手塚先生は手塚治虫先生以外に、誰にも真似できないことをやり続けてきた方なんだと思います。
皆さんにとっても面白いドラマになると思いますので、楽しみにしていてください。
大寒鉄郎役 原田琥之佑さん

鉄郎はまわりの空気を無理に読もうとしないし、人にこびることのない男子中学生です。でもなぜか人から好かれて、周囲に人が集まる人です。「描きたいから描く」という、理由のない衝動的な漫画欲があり、「ただ自分が満足するために漫画を描く、描いても描いても描き足りない」という、漫画家にとって大切なハングリー精神をもっているところがとても魅力的です。そんな純粋な少年の遊び心を表現出来たら良いなと思っています。
今回のドラマで初めて戦時中を生きる役を演じるので、いまはその時代の人間として生きられるよう、たくさん勉強しています。漫画を描くシーンもあるのですが、手塚先生のペンの持ち方は独特だったそうなので、そのペンの持ち方で絵を描く練習をしたり、手塚先生から生まれるキャラクターは丸から出来ているキャラクターが多いので、丸をたくさん描いています。
僕は三年前に『軍港の子~よこすかクリーニング1946~』という特集ドラマに出演しましたが、そのときはまだ13歳で、自分が表現したかったことがあまり表現できず、悔しい思いをしました。このドラマで少しでもリベンジできたらなと思っています。

プロデューサー 田島彰洋さん
戦後81年。時代がどれだけ進んでも、世界から戦争はなくなっていません。手塚治虫先生が『紙の砦』を描いたのも、遠い国で戦火が続いていた時代でした。
少年時代、大阪で空襲に遭い、その光景を「これは漫画だと思った」と語った言葉に、私は強い衝撃を受けました。現実があまりにも過酷なとき、人はそれを物語として受け止めるしかないのかもしれません。
二度と同じ光景を繰り返してはならない――。子どもたちが大人になったとき、自らの意思で戦争を拒むことができるように。その思いを胸に、手塚先生は漫画を通して戦争と向き合い続けました。
その願いは、終戦ドラマという形でこの作品に向き合う私たちにも重なっています。このドラマが多くの方に届き、戦争が奪ってしまうかけがえのない日常の尊さに、少しでも思いを巡らせるきっかけとなれば幸いです。
作 桑原亮子さん
ベレー帽をかぶってニコニコしている、漫画の神様――皆さんが『手塚治虫』と聞いて思い浮かべるのは、このような像ではないでしょうか。
けれどもこのドラマは、そんなイメージの奥の、生身の人間・手塚治虫を追いかけます。人知れず悩み、苦しみながら、それでも生涯をかけて漫画で子どもたちを楽しませたいと願った人。その彼が、自身の戦争体験を元に凄絶せいぜつな漫画を描きました。そこに込められた、時を超えたメッセージを感じ取っていただけると幸いです。
企画・演出 鈴木航さん
手塚治虫さんの『紙の砦』という短編を知ったのは20年以上前のことです。忘れられない印象的なタイトル、漫画が大好きな少年が見た戦争、それが手塚節のユーモアで描かれますが、ユーモアで包み切れない痛切さが胸に刺さりました。戦争の中でも漫画を描くことを手放さない少年の姿は、決して遠い時代の話ではなく、巨大な暴力の中で私たち一人一人がどうやって正気を保つのか、心に"砦"を築くのかという問いを突きつけてきます。
手塚治虫さんが漫画家人生の苦境の時期に、あえてこの特別な作品を描いたことにも、私は強い意思を感じます。ご本人にとっても描かなければならなかったテーマなのではないでしょうか。
このドラマは『紙の砦』の執筆に挑む手塚治虫さんの姿と、手塚さんが戦時中の少年少女たちの物語を通じて、描き残したメッセージに迫ります。すばらしい脚本を手に、魅力的なキャストの皆さんと「手塚治虫」という高い山に挑めることをうれしく思います。今も戦争が止むことのない世の中ですが、そんな時だからこそ、多くの方にこのドラマが届くよう力を尽くします。



