秋田県仙北市・あきた芸術村 わらび劇場の開場50年を記念し、わらび座による『ミュージカル ジャングル大帝レオ』の公演に先駆けて、同作品の取材会が行われました。
公演期間:2024/04/21-2024/11/24
公演会場:秋田県仙北市 秋田芸術村 わらび劇場
チケット:電話:0187-44-3939
オンラインチケット販売:https://www.e-get.jp/warabi/pt/
本作品は手塚治虫『ジャングル大帝』を原作としたミュージカル作品。脚本にはディズニー作品の翻訳や訳詞も多く手掛け、わらび座ミュージカルでは『いつだって青空』で演出の栗城さんともタッグを組まれた高橋知伽江さんを迎え、演出にはわらび座所属の演出家・栗城宏さんがつとめます。レオ役には『アトム』トキオ役や『火の鳥 鳳凰編』我王役などで手塚原作のわらび座作品に多く出演している三重野葵さん、子供時代のレオ役には『いつだって青空』で初主演を務めた久保田美宥さんがキャスティングされました。
取材会には高橋さん、栗城さん、三重野さん、久保田さんのほか、わらび座代表理事・今村晋介さん、手塚プロダクション代表取締役松谷孝征が出席しました。
以下、キャスト・スタッフによるコメントをご紹介します。
私は『鉄腕アトム』で育った世代で、子供時代は毎週1回、テレビの前で『アトム』を見ることを楽しみにしていました。そのころの私にとって手塚治虫さんは神様のようなもの。その神様の作品を今回ミュージカル化させていただくという光栄な機会をいただきうれしく思います。
原作は壮大な物語で、パンジャ・レオ・ルネの三代にわたるライオンたちの生涯を描かれています。手塚プロダクションからは唯一、「『ライオンキング』にはしないでください」とリクエストいただきましたが(笑)、全然似ていません。
『ジャングル大帝』は動物の一種としての人間と、他の動物たち、双方の物語が色濃く描かれています。動物と人間が力を合わせて地球というわが家の未来のために冒険をするお話です。人間であるケン一とライオンのレオ、ふたりの友情がこの物語の一つの軸となっています。
このミュージカルのもう一つの特色として、社会性の強いメッセージが込められていることが挙げられます。これは原作にも描きこまれたメッセージで、特別なエネルギーを発する石・ムーンライトストーンを探し求めるという地球のエネルギー問題を予見するような手塚先生の深い洞察が込められており、アフリカの開発問題のような要素にも触れられています。
もちろんミュージカルなのでエンターテイメント性も大切にし、子供のレオ時代のサーカスの楽しいシーンや、人間の言葉を教わるレオが早口言葉に挑戦するシーンなど、思わず笑ってしまうようなシーンもたくさんございます。
ぜひ、親子、ご家族、お友達同士で劇場にいらっしゃって、ご覧いただきたいと思います。
なぜわらび座が『ジャングル大帝』をやるのか、動物をどうやって演じるのか、アフリカのジャングルをどう表現するのか、ということがきっと皆さまには興味があるところだと思いますが、実は私自身が一番知りたいところで、どうすればいいのか、着地点を見出だせていないところです。果たして主演の二人がライオンに見えるようにできるのか、答えが見つかっていません。
私たちの本拠地のある秋田は、去年は水害があり、いまだにクマが市内に出没します。四季折々、素晴らしい自然に囲まれながら、地球の悲鳴もまた、肌で感じます。高橋知伽江先生とのオンライン会議の際に、「大人が地球の未来をあきらめちゃいけないよね」とおっしゃって、それにものすごく共感しました。この素晴らしい脚本を描き切り、骨太で壮大なスケールの物語を届け切ることに邁進したいと思います。
わらび座は、ミュージカルを手掛ける以前に日本の郷土芸能を73年前からずっと取り上げてきました。その身体性と、今回取り上げるアフリカの踊りとがどう違うのか、どう関係するのか、そういうところにも果敢にチャレンジしていきたいと思います。
手塚治虫さんの原作ミュージカルに3作、出せていただきまして、勝手ながらご縁を感じていました。今回、『ジャングル大帝』を取り上げる、と聞き、「おっ、俺の出番かな」と(笑)。
今までも半分狼の血が流れている人間の役とか、伝説の狐となった飛脚の役とか、動物に関する役は演じてきましたが、動物そのものというのは初めてで、どういうアプローチをしていったらいいのかな、と悩みましたが、人間とか動物かを考えること自体がアプローチの邪魔になると今は思っています。一つの生命体としてのレオとして、アプローチしていこうと思っています。
レオは劇中で人間の言葉を学んでいきます。そこには、レオ自身の人間のことを深く理解したい、自分のことも知ってほしい、という思いがあると思います。僕は、エンパシーという言葉が好きなのですが、異なる価値観や考え方を持った人々に対して、自己投影して理解し、前に進んでいく力が今の現代にはとても大事なんじゃないかと思っています。わらび座の伝統である民俗芸能なども生かして、わらび座の強みを生かしたミュージカルをつくっていきたいと思っています。
私にとっての手塚治虫さんとの出会いは、小学生の頃に見ていたテレビアニメの『ブラック・ジャック』でした。『ジャングル大帝レオ』を今回やることになり、初めて原作を読ませていただきました。
本当に面白くて、キャラクターもすごくキャッチ―だけれども、「人間とはなんだろう」とか、動物と人間との関係性とか、そうした深いテーマも語られており、そうした物語に自分が参加できることがすごくうれしいと思っています。
今は渡された高橋知伽江先生の台本を読んでいるところですが、私自身大切に演じたいところは、人間と、今生きている命とかどうかかわりあってゆくのか、というところです。
今の時代、動物とのかかわり方はこれでいいのか、動物と人間とのかかわりにもいろいろな問題があります。そうした問題を自分の中で咀嚼しつつ、身体表現としてレオの子供役としてのライオンを演じることで、考えなくてはいけないことが本当にたくさんありますが、自分の想像力を信じ、チームと一緒に作り上げることを大切にしていきたいと思います。
台本にはたくさんの楽しいシーンも盛り込まれていますので、私自身も楽しみながら舞台を作り上げたいなと思っています。
わらび座ミュージカル『ジャングル大帝レオ』は4月21日から11月24日 あきた芸術村・わらび劇場にて公演予定!
わらび座公式WEBサイト