虫ん坊

リニューアル後の手塚治虫記念館を訪ねる

2021/10/21

近年、2度にわたるリニューアルを終えた宝塚市立手塚治虫記念館。

実際に館を訪れ、河合晋一館長のご案内で、新しくなったところを紹介します!

■リニューアルオープン!

手塚治虫記念館では、2018年度、2019年度と2度、リニューアル工事をしています。

2度目の工事が終わり、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあってリニューアルオープンしたのは2020年の68日。それから早くも1年半ほどが過ぎました。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が明けたことで、10月某日、ようやく虫ん坊でも取材ができました。

今回は河合館長のご案内で、改めて新しくなった記念館の様子をご紹介していきます。

■河合館長の御紹介!

現・手塚治虫記念館の館長、河合晋一さんは滋賀県出身。宝塚市職員です。館長に就任されたのは2018年からで、就任から4年目、7代目の館長です。

「2階の手塚治虫ライブラリーがお勧め」とおっしゃる館長、記念館への愛も強く、コロナ禍以前には自ら記念館を案内するツアーを開催されていました。

 最近は3密を避けるため、そのようなツアーも中止していますが、お客様と交流する機会は今後も作っていきたいとのことでした。

 館長に会えるイベントが今後再び開催されるかもしれません!?

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記念館と河合館長。

■G階入口

G階は以前、宝塚ファミリーランドに直通する入口でしたが、2003年に宝塚ファミリーランドが閉園、その後跡地にオープンした宝塚ガーデンフィールズも2013年に閉園した後、長らく出入口としては閉鎖されていました。

 2020年6月に宝塚市立文化芸術センターがオープン、G階出入口も7年ぶりに再び出入口として使えるようになり、券売機も設置されています!(新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり令和310月末現在閉鎖中。記念館G階入口の開放および文化芸術センターの開館状況等はWEBサイトなどで御確認ください)

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G階エントランス利用再開にともなって、入ってすぐの所にあるジオラマに新しいしかけができました。

地図上に手塚先生がいらっしゃった当時の宝塚の様子を視覚的に見られるプロジェクションマッピングを投影、また、大型モニターが追加されましたので映像も楽しめるようになりました。

また、1階のメッセンジャー機にいたオサムシがこちらにお引越ししています。以前より間近で見ることができますよ。

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G階入口用の券売機もアトム風のラッピングが施されています。駅から記念館に来た方はだいたい正面玄関から入るかと思いますが、文化芸術センターでは敷石やキャラクター像なども見られますので、先に文化芸術センターを来訪した方はぜひこちら側の入口からご利用ください!(令和310月末現在、記念館G階入口閉鎖中)

■G階:アニメ工房

アニメ工房の手前に、もう一つアトラクションが追加になりました。

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こちらは「まねっこロボット」。モニタの前に立った人の動きを、モニタ内のロボットたちが真似してくれます。

もちろん、ただ真似をするだけではありません。

ロボットからポーズのリクエストがあったら、その通り真似をしてみてください! 上手くロボットたちとシンクロすると......。

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アニメ工房のシンボルともいうべき、手塚先生。いままでは常にみなさんを見守っていましたが、「先生の仕事は...?」という心配の声があり、手塚先生の様子に変化が。普段はこちらに背を向けて、ばりばり仕事なさっています。

でも、時折こうしてこちらを向いてくれるんです! 先生が振り向いている姿を目撃した方はけっこうレア! ぜひ写真を撮ってみてくださいね!

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「手塚先生とおしごと中」に使っていいよ!

■1階:メインエントランス

さて階段を上りまして、1階メインエントランスも見てみましょう。

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メインエントランスのおおきなリニューアルは、やはりエントランス中央奥・メッセンジャー機が最も目立つところでしょう。

G階にお引っ越しとなったオサムシがいたところは、大きなデジタルサイネージになりました。

 中で映される映像も、手塚プロダクション描き下ろしの手塚キャラクターが華やかに登場する新作です。

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「記念館の写真」というと必ず紹介されるエントランスのステンドグラスも、日焼けなどで薄くなってしまった色彩を復元しています。

受付カウンターにはベルベットの重厚なカーテンを設置して、よりすっきりとした印象に。リボンの騎士の王宮をイメージしたエントランス全体の雰囲気に合わせています。

新型コロナウィルス感染拡大防止対策で入口ではスタッフによる検温と手指の消毒のお願いの呼びかけをしております。ご協力をお願いします!

グッズ展示棚も一新しました。展示されていたグッズ類は、あとで御紹介する2階の展示ケースに移動。代わりにデジタルサイネージが設置され、企画展の情報や、手塚先生の簡単な紹介が掲載されています。

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 さらに、アトムビジョン横のメッセンジャー機も大きくリニューアル。モニタサイズが大きくなり、映像の内容も刷新しました!手塚治虫についてよく知る著名人の映像が追加されています。以前見たことがある方もぜひ、もう一度じっくり見てみてください。

 手前にある四角いものは椅子。今は密を避けるために数を減らしています。

■1F:常設展示

 常設展示は実は開館当初から一度も入れ替えていなかったのですが、このたびのリニューアルにて、流れは変えずに刷新をしております。

 海外からのお客様向けの英語表記を追加、見られないページやアニメーション作品をモニターにてスライドショーで紹介することで、より情報量が多くなりました。

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順路の案内図も新たに設置。

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キャプションは英語・日本語の二か国語対応。また、アニメ作品などはスライドショーで見せています。

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アイディアノートの開いていないページは下の液晶画面で見られます。

■1F:アトムビジョン

 ここでしか見られない「オサムとムサシ」や「都会のブッチー」、「手塚治虫伝 マンガ編」や手塚治虫実験アニメーションが見られるアトムビジョンはより見やすく、居心地がよくなりました。

 座席はすべて新しいものに交換し座り心地も向上、カーペットも張替えが行われました。さらに何と言ってもスクリーンが大きくなり、4K対応になったのは見逃せません!

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 上映作品も手塚治虫実験アニメーションが追加になっています。ちなみに10月の上映プログラムは、「手塚治虫伝 マンガ編」と「しずく」「たばこと灰」「創世記」の三本立ての実験アニメシリーズ。

 ラインナップは月ごとに入れ替わりますので、スケジュール等は以下のURLでご確認ください。

https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka/4000022/4000310.html

■2F:企画展示室

 さて、2階に行ってみましょう! まずは、1025日までと会期終了の迫った企画展「手塚治虫の名脇役展」を見学!

kinenkan_new_202110_20.jpg パネルが多く掲載された、にぎやかな展示になっています。

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 俳優プロダクション・手塚スタジオの事務所にお邪魔しているような雰囲気になっています!

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 企画展では、展示品を陳列する際に使うケースを新しくしました。展示物が外気の影響を受けにくくするために、より気密性を高めており、今までは展示できなかったような貴重な展示物も見ていただけるようになりました。

 原稿の展示が見られるのも記念館の企画展の見どころの一つですが、今回はオールスター出演作品として描かれた「ブラック・ジャック」第1回「医者はどこだ!」の全原稿が展示されています。会期はあとわずかですが、ぜひご覧ください。

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 次回の企画展の準備も着々と進んでおります。次回の企画展は「中原淳一」展。

 戦後の少女たちのファッション観を育て、宝塚とも縁の深かった中原淳一の世界が堪能できる展覧会です!

■2F:情報・アニメ検索機

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 手塚作品に関する情報を調べられるほか、ゲームやクイズなどを楽しめ、手塚アニメを見られるために人気の高かった情報・アニメ検索機ですが、現在は新型コロナウイルス感染症予防の観点から閉鎖中です......。

 収録作品を最新の情報に書きかえるなどのリニューアルが行われています。早くみなさんに楽しんでいただきたいです!

■2F:手塚治虫ライブラリー

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 一方、館長もお気に入りという手塚治虫ライブラリーは現在利用可能です。利用前後は手指の消毒をお願いします!

 着席スペースも沢山設けてありますので、どうぞみなさん、「密」にならないように手塚マンガをお楽しみください!

■ミュージアムショップ

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 ミュージアムショップでは企画展関連商品を中心に、定番のお菓子のお土産や雑貨や文房具が人気です。

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 一番人気はやはりお菓子! 地元宝塚の黄金屋とコラボした玉子煎餅と、記念館限定のおそらくもっとも多くのキャラクターがプリントされているお菓子、ラングドシャクッキーが人気とのことです。

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 文具メーカー・マルマンとのコラボ商品のスケッチブックも人気だそうです。いつでもどこでも絵を描ける小さくて持ち歩きやすいサイズで、裏表のお馴染みの表紙に、手塚キャラクターがたくさんプリントされています!

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 原作マンガがそろっているのもうれしいです。企画展などを見て、気になる作品があったらすぐに買えます。

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■2F:テーマ展示棚

 こちらも、日焼けなどをしてしまった単行本を入れ替え、宝塚時代に手塚治虫が描いた作品を時系列に紹介する展示になっています。「現地」でこの展示を見られると臨場感がありますね...。

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 さらにその奥には、1階受付付近の展示スペースに飾られていたグッズやフィギュアが飾られています。元の展示棚にあったものすべてではなく、時折入れ替えも行われるそうですので、よく訪れる方はチェックしてみてください。

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■コロナ禍での記念館のあり方について

 ここまで案内いただいた河合館長に再びお話を伺いました。

 ――2度のリニューアルを経た記念館ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響などもあり、大変な状況が続いているのではないでしょうか?

館長:そうですね。記念館では一度に入場できる人数を150人に制限するなどして対策にあたっています。入館された方には番号札を持って行ってもらい、退館時に返却いただくことで、人数を把握しています。

 また、入り口では必ず検温をし、マスク着用を確認の上手指を消毒していただいています。消毒液は手塚治虫ライブラリーにも置いてありますし、1時間ごとに注意喚起の放送を流すようにしています

 先ほど見てもらったように、情報・アニメ検索機などの一部利用を制限しているところもありますが、ライブラリーの利用を再開するなど、様子を見ながら、徐々に規制を緩めています。

 早く、新型コロナウィルス感染拡大が収まり、気軽に皆さんが来館できることを祈っています。

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 ――10月1日からは兵庫県の緊急事態宣言も解除になりました。

館長:まだ今後どうなるかは分からないので、ひとまずは状況を確認しています。

 113日の手塚先生のお誕生日など、毎年イベントを行っていたのですが、現在の所どうするかは未定です。今後の予定は決まり次第、記念館のWEBサイトに掲載します。

 ――まだまだ警戒が必要ですが、いらっしゃっていただくみなさんにひとことお願いします。

館長:市の公共施設としての信頼を裏切らないような徹底した新型コロナウィルス感染対策を取りつつ、ご来館いただいた皆さんの満足度を高めるよう日々模索しています。来館される方が安心して観覧頂けるようスタッフ一同務めています。

 お近くにいらっしゃった際はぜひ、手塚先生の功績をご覧に当館へいらしてください。

 河合館長、お忙しいところありがとうございました。


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