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虫ん坊 2017年1月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム アトム復活の巻』

はじめに:

 「月刊ヒーローズ」に絶賛連載中!  永遠のヒーロー「鉄腕アトム」誕生までの物語、『アトム ザ・ビギニング』が2017年春にNHK総合テレビでアニメ化が決定しました!

 原因不明の大災害に見舞われた近未来の日本を舞台に、ロボット開発に全てを懸ける若き日の天才科学者・天馬博士とお茶の水博士が描かれています。ストーリーの軸であるアトム誕生秘話も気になりますが、お互いを認め合い切磋琢磨していた親友のふたりがなぜ、原作の『鉄腕アトム』では袂を分かってしまったのかも重要なキーポイント!

 2017年最初のオススメデゴンス! では、『鉄腕アトム アトム復活の巻』をピックアップ!

 アトムをめぐって、原作の天馬博士とお茶の水博士が久々の再会!
 破壊されてしまったアトムを前にふたりは……!?


解説:

「鉄腕アトム アトム復活の巻」は、月刊誌「少年」昭和41年3月号~5月号に連載されました。


マンガwiki作品紹介:

キャラクターなど詳しい情報はこちらから



読みどころ:

 あのアトムが悪い子になった!

 というとちょっと語弊があるかもしれません。でも、この「アトム復活」のポイントを一言で表すとまさにそんな感じ。思春期の少年の反抗期のように、アトムがついに人間にそむいてしまうお話なのです。

虫ん坊 2017年1月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム アトム復活の巻』

 前の「青騎士」の巻で、さんざんなキズを負ったアトム。お茶の水博士の手で科学省に運び込まれ、修理されることになったのですが、どのように手を尽くしても元のようには戻りません。お茶の水博士の腕ではアトムのような芸術品は直せない、と、ついに天馬博士が登場、アトムを自分の研究室に連れ去って生みの親自らの手で修理しようとします。そのかわり、アトムの家族を解体することを約束させます。ためらうお茶の水博士でしたが、それでアトムが完全復活するなら、と決心して天馬博士に修理を頼むのですが…

虫ん坊 2017年1月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム アトム復活の巻』

 「青騎士」からこの「アトム復活」、「メラニン一族」、「ミーバ」までは、ひとつの中編物語としても読めるような構造になっています。人間の身勝手さに反旗を翻すロボット達をえがいたこのシリーズでは、これまではお茶の水博士やその他の人々を助けたり、悪者を懲らしめたり、という活躍が主だったアトムが、初めて人間の意志にそむき、自分の判断で行動をするようになります。

 素直でいい子なアトムが好きな読者諸兄にとっては、いささかショッキングな巻でもあります。ともあれ小さな子どもだっていつまでも素直でかわいいままではなく、いずれ反抗期を迎えるように、アトムだってたまには人間に愛想を付かすことがあったって自然なことのように思いますけれど、やはりこのアトムは不人気だったとみえ、次の「メラニン一族」のラストでは、すっかりもとの素直な姿に戻っています。

虫ん坊 2017年1月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム アトム復活の巻』

 それよりも純粋にアトムファンとしてショッキングなのは、お茶の水博士が何度修理を試みても壊れてしまうアトムの姿。中にはくるって暴れだしたり、火を噴いたりする姿まで! 怖いもの見たささえ感じられるこの「アトム暴走百態」、ある意味ではこれもこの作品の大きな見どころかも!?

虫ん坊 2017年1月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム アトム復活の巻』


注目の一コマ:

虫ん坊 2017年1月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム アトム復活の巻』

 科学省のメンツに掛けてアトムの修復を試みるも、全くうまくいかず、苦脳する現・科学省長官のお茶の水博士の姿が描かれた一コマです。
 アトムの生みの親でもある天馬博士の力がどうしても必要になりながらも無理難題を押しつけられ、お茶の水博士は反発し一度は突っぱねますが、どんなに力を尽くしても結局アトムをもとにすることはかないません。
 失望のどん底で思い浮かぶのはアトムではなく、あざわらう天馬博士の姿。
 もしかしたら、生みの親には結局敵わないという劣等感がそうさせたのかも知れません。現在のふたりの関係性を印象的に物語っています。


作中の名セリフ:

虫ん坊 2017年1月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム アトム復活の巻』

「さあ、わしをおとうさんと呼んでくれ」

 科学省を追われ、不遇の時代を過ごしながらもロボット科学のために日々うちこんでききた天馬博士はロボットが人間にかわって世界王者になると豪語し、アトムを世界の支配者となるロボットに修復・改造しますが……。
 目を覚ましたアトムに向かって「おとうさんと呼んでくれ」と話掛ける天馬博士。
 このセリフには、屈折した愛情の中にも、ただひとこともう一度そう呼んで欲しいという天馬博士の本心が込められています。
 続いて「メラニン一族」、「ミーバ」と読み進めると、よりいっそう天馬博士がどのような人物なのか、その内面に迫ることができるはずです。





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