今月のオススメデゴンスは、『ヤングブラック・ジャック』TVアニメ化記念ということで『ブラック・ジャック』をご紹介いたします。
ブラック・ジャック最大のライバルであるドクター・キリコ。その父親が患者役の「弁があった!」では、ブラック・ジャックとキリコが共に患者と向き合いながらもそれぞれの想いが交錯、ひときわ対照的な存在として描かれています。
「弁があった!」は『週刊少年チャンピオン』昭和50年6月30日号に掲載されました。
気管に空いた穴から体の中に空気がたまる「縦隔気胸」の患者が、女性に付き添われてブラック・ジャック邸に運ばれてきました。この女性はキリコの 妹・ユリで、患者は父親だと言います。何度手術をしても治る見込みの無い父親を安楽死させようとするキリコから逃げてきたのです。
「胸を開いて気管の穴をふさげばいい 簡単な手術だぞ それがなぜだめなんだね!?」とたずねるブラック・ジャックに、キリコの妹は答えました。「どこをさがしても穴がないんです!!」そしてこの後、ブラック・ジャック邸に乗り込んできたキリコとブラック・ジャックによる、患者の生死をかけた対決がはじまります。果たしてこの「穴がない縦隔気胸」の正体とは!?
このエピソードは、あっと驚くアイデア(病気の正体)が最大の見せ場ですが、それを発見するまでの緊張感の盛り上げ方や、キリコが垣間見せる人間性なども、ぜひじっくりと味わってほしいところです。そして、読後にこのエピソードのタイトルを読み返せば、きっとあなたは「なるほど!」と思うことでしょう。
なお、キリコの妹・ユリは、この後に「99.9パーセントの水」というエピソードで再登場しています。