映画『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ ——終わりなき旅——』も公開間近、ということで、今月は1月10日に行われた完成披露記者会見・舞台挨拶のもようをレポートします!
パリ・ルーブル美術館で1月27日に行われたワールドプレミアについても、写真レポートがありますよ!
多くのお客様があつまった完成披露試写会では、上映前に出演者の舞台挨拶がありました。
登壇されたのは、キャストではマーヤ天(シッダールタの母)役の吉永小百合さん、タッタ役松山ケンイチさん、スッドーダナ王(シッダールタの父)役の観世清河寿さん、ビンビサーラ王役の大和田伸也さん、そしてシッダールタ役の吉岡秀隆さん。スタッフでは監督の小村敏明さん、テーマ曲で尺八を演奏された藤原道山さん、そして前作の監督であり、今作ではエグゼクティブプロデューサーを務めた森下孝三さんです。
『ブッダ1』では、堺雅人さんと親子になりまして、どれいの母の役を演じました。そして、今回はなんと、シッダールタの、吉岡さんのお母さんの役をやっています。役者冥利、またお母さん冥利に尽きております。まだ少し気は早いですが、『ブッダ3』ができることになりましたら、ぜひ、松山ケンイチさんのお母さんをやらせていただきたい、と思っております。大変すばらしい、才能のある俳優さんが集まって、心を込めて演じております。これは、やはり手塚治虫さんの作品ならでは、『ブッダ』ならではのことだと思います。たくさんの方に見ていただきたい、と思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
(吉岡さんの印象を尋ねられて)
画面を見ていると、本当にシッダールタと吉岡さんのイメージが重なるように、本当にぴったりで、アフレコの吉岡さんのブッダを聞くことで私自身、とても心が洗われるような気がしました。なかなかアフレコだけでこんな気持ちになることも少ないので、そんなお芝居ができてよかったな、と思いました。
吉永さんが僕のお母さんになってくださることを、僕も切に願っております(笑)。僕の演じるタッタは、『ブッダ』の中でも特別に思い入れのあるキャラクターです。『ブッダ』という作品そのものも、深く考えさせられるすばらしいマンガだと思うのですが、その中でタッタは、はじめは愛する人を亡くした悲しみから復讐に燃えていたところに、シッダールタと出会い、ともに生きてゆくうちに、復讐よりも前を向いて生きていくことの大切さに気づいて、復讐という気持ちがなくなってゆきます。その後、今回のお話ではまだ描かれていないエピソードですが、再び戦争に巻き込まれて人を殺し、自分も命を落としてゆく、という非常に悲しいのですが、人間くさいところが僕の中で非常に印象に残っていて、大好きなキャラクターになります。そんな役をやらせていただき、とてもうれしく思いますし、また皆さんにもぜひ見ていただきたいと思っております。
(普段のお芝居と、声優のお芝居との違いを尋ねられて)
何もかもが、普段のお芝居とは違ったように思います。しゃべるタイミングだったり、衣装を着ないことだったり、メイクしないことだったり、僕にとって、ドラマなどに出るときは、メイクと衣装は非常に重要な役割を持っていて、それらがないと、「この役なんだ」という説得力を自分に持たせることが難しい、と思ってしまうのですが、今回はなかなか、そうはいかないわけで、……タッタなんて、ほとんど服着てないですからね(笑)。まあ、なんとかがんばってやりました。あと、台本を持ちながらせりふを言うということがすごく難しくて、ぼくは覚えて言ったんですけれども、普段の自分の演っているかんじでやろう、と思ったのですが、やはり難しくて。そこは監督にたすけていただきながら、「ここはもう少し強く」とか「もっとやさしい感じで」というふうに、アドバイスを受けながらチャレンジして、その難しさも楽しめたように思います。
スッドーダナ王を演じさせていただきました。私どもの携わる能楽は、古来より鎮魂(レクイエム)の芸術と呼ばれております。手塚先生の作品に描かれる、普遍的な人間の生と死のドラマとも相通ずるものがございます。この、すばらしい完成度の高い作品を、ぜひ皆様方、ご家族連れで観にいっていただきたいと思います。
普段は私は指導する立場なのですが、録音の際にはなるべくスタッフの方々にご迷惑をかけないよう、初心に戻る心持で、挑ませていただきました。
(お能の声の出し方との違いについて)
お能にはすべてせりふに節がついておりまして、普通のせりふのように読むことはありませんから、その点から難儀をいたしました。前作同様、森下先生についていただいて、いろいろご指導をいただきながら挑戦しました。前回の反省を踏まえて、新劇の方がやるように、台本の読み込みをしたうえで挑みました。
アニメの声を演じるのは、『ライオン・キング』のムファサ役、『鉄腕アトム』の天馬博士に続いて3回目なのですが、『ブッダ』は私も大好きな作品で、全巻を愛蔵していたほどですが、そんな作品に出られると言うことでとてもうれしかったです。
私の演じる王様は、30年後に息子に殺される、と言う予言をされてしまい、これからの30年間をどうやって過ごそうか、と悩む役です。私自身、二人の息子がおりますので、とても考えさせられました。
前作では、少年期から出家にいたるまでということで、心の中にさまざまな葛藤を抱えていたシッダールタですが、今作ではついに、さまざまな人々とのかかわりを経て悟りを開き、ブッダを演じさせていただいたのですが、僕自身は、アフレコの際に常に、ブッダが演じられるのだろうか、と心の中で悩んでいたのですが、そのシーンのアフレコの際、吉永さんが聞きに来てくださって、マーヤ天の力を借りて、ブッダになることができた、と思っております。映画が完成したことをとてもうれしく思います。そして、かつて手塚先生の作品で多くの人が救われたように、この作品を見た方が、明日もがんばってみよう、と思ってくださるような作品になっていると思うので、ぜひ多くの人に見てもらいたいと思っています。
(吉永小百合さんの印象について)
吉永さんはまさに、スクリーン上で生きている方だと常々思っているので、初めてお会いしたときは、「本当にいらっしゃるんだな」と…(笑)。
今作では、前作で出家を決意したシッダールタが悟りを開いてブッダになるまでを描きます。キャストの方々には、物語の中でシッダールタに悟りのきっかけを与えるような、いろいろな行動をとっていただくような芝居をお願いするところがありました。ですから、アフレコの時にはけっこう無理なお願いをするような場面もあり、何回か取り直したところもありましたが、そのかいもあって、とてもすばらしい作品に仕上がったと思っています。
本作も無事、完成の運びとなりました。『ブッダ2』は、世界の方へ向けて発信したい作品です。『ブッダ2』では監督を小村監督におゆずりしたのは、ぜひ、この作品を世界のかたがたに見ていただきたい、私自身はその活動に専念したいと考えたからでした。それにはまずは日本でのヒットが不可欠です。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
開場前の様子。通常企画シンポジウムや講演会などのイベントなどが開かれるオーディトリアムを貸し切ってのプレミア上映となりました。スクリーンの前に椅子やハープなどが並んでいるのは、上映に先立って大島ミチルさん指揮・オペラ座トップミュージシャンによるミニコンサートが行われたから。
スッドーダナ王の声も担当された、能楽観世流二十六世家元・観世清河寿さんによる能の「羽衣」仕舞も披露されました。
その後、ホテルムーリスに場所を移し、記者会見も行われました。各出演者のコメントは、こちらで詳しくご紹介しています!
記者会見での森下さんのキャスト・主題歌とも、「手塚治虫作品が好きな方」ということで人選されたそうで、特に松山さんはタッタの役作りに関しても「1ヶ月滝に打たれたつもりでがんばりました!」と、ユーモアを交えてコメントしています。
また、その前日(26日)には、ギャラリー・バルビエ&マトンの展覧会「漫画の神様:手塚展」の内覧会と記者会見も行われました。
こちらでは、松谷孝征手塚プロダクション社長、森下孝三さん、小村敏明さんが記者からの質問に答えました。