12月といえば、やっぱりクリスマス。
クリスマスネタで1編、手塚治虫作品でなにかないかなー、と探してみたところ、ちょっとヒネったこの作品がありました!
「クリスマス? 特に予定ない……」という人ほど胸がすく!? ナンセンスギャグマンガです。
『くるします・いぶ』は、『漫画サンデー』1969年12月31日号に掲載されました。
おなじみの主人公・フースケがクリスマスの夜にサンタ(といっても、聖なる大学のゲバ学生サンタ)からもらった馬は、人のツケを追い回す「ツケウマ」でした。最初は閉口していたフースケも、共同生活を続けるうちに、この「ツケウマ」の有効な使い方を思いつきます。それは、競馬に出してツケのある騎手を追わせ、必ず2着になる競馬馬に仕立て上げる、というアイデアでした。
『フースケ』シリーズといえば、これといった特徴もない主人公・フースケの日常に、とんでもない非日常が飛び込んでくる、というのがよくあるパターンですが、この「ツケウマ」などは、そもそもクリスマスプレゼントに馬をもらう、という違和感からしてもうナンセンス。そして、どうせなら…とそれをギャンブルの道具にしてひと儲けしようとするフースケの浅ましさなどは、まさに『フースケ』シリーズの笑いどころであると同時に、そのいじましさにどことなく共感を覚えるような、何とも大人向けらしいほろ苦さがきいています。
なお、冒頭であえてダジャレについて取り上げたのは、この作品のラストがやはり大ネタのダジャレで締められるからです。よってここは、素直に日本人であることに感謝しつつ、このナンセンス・マンガを楽しんでもらいたいと思います。