謎の中学生・天草鉄太郎が、国際的な陰謀に立ち向かう冒険活劇です。
映画「流星王子」でエキストラをつとめる、中学生・天草鉄太郎には謎がありました。
「流星王子」に主演する落ち目のスター・桂(かつら)龍太郎は、そんな鉄太郎に興味を抱きます。
一方、鉄太郎は、暴力中学に通う典雄少年と友だちになり、不良番長を更生させるなどするうち、典雄の兄・田島博士が国際スパイ団に狙われていることを知ります。
そこで鉄太郎は、田島博士を安全な自分の国へと連れていくことにしました。
実は鉄太郎は、南の島の小さな国・南十字(サウス・クロス)共和国の王子だったのです。
しかし、やがてその楽園にも、○国と△国の諜報員たちの魔の手が迫ってきました。
鉄太郎は、楽園を守るため、桂龍太郎らと共に立ち上がるのでした。
1955/04-1956/03 「中学生の友」(小学館) 連載
「流星王子」という題名の映画でエキストラを演じる少年が、実は本物の王子だったという、ひねりのきいた構成の活劇マンガです。 セリフの端々に、当時の日本の世相をしのばせる言葉が出てきて興味深いものがあります。 例えば、1948年の帝銀事件(帝国銀行椎名町支店で発生した毒殺強盗事件)や、1949年に連続して起きた下山事件、三鷹事件などの一連の謎の国鉄事故など。 また、このマンガが発表される前年の1954年に公開され大ヒットした怪獣映画『ゴジラ』の話題も出てきます。 ちなみに、お話の中で鉄太郎はエキストラと言われていますが、アルバイトとはいえセリフのある役を演じていますので、実際には、エキストラではなく立派な配役のひとりと言えるでしょう。