人魚のピピが、海ガメのガボや、機械だけの島の王子で自動車のエンジリンらと共に、さまざまな冒険をするファンタジーです。
近い将来、地上が人間であふれかえることを予測したリーマン博士は、人間を人魚に改造する研究をしていました。そしてその実験台に、生まれたばかりの自分の息子を使い、息子を人魚にしてしまったのです。
博士は、息子を殺したと思われ、夫人と共に刑務所へ入れられてしまいました。
一方、海へ逃がされた息子は、海ガメのおばさんにひろわれ、ピピという名前をもらって育ちました。
ピピは、一緒に育った海ガメのガボと一緒に地上へ上がり、さまざまな冒険をすることになります。
1951/12-1953/05 「おもしろブック」(集英社) 連載
人魚のピピの物語は、もともとは単行本用に考えられたお話でした。しかしそれを描きまとめる前に、単行本『化石島』(1951年)の完成が遅れていたため、その中の1エピソードとして一部のアイデアを流用することになりました。 そしてその後、新たに連載作品として子ども向けの雑誌「おもしろブック」に発表されたのがこの作品です。 人魚は手塚治虫の好きなキャラクターのひとつで、多くの作品に登場しており、このピピちゃんも、ずっと後に『海のトリトン』(1969-1971年)の中で、ピピ子として再登場しています。