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ストーリー

『ダリとの再会』は、機械と人間の心のふれあいを描いた短編作品です。「ダリ」と聞くと、芸術家のダリを最初に思い浮かべる方も多いと思いますが、実は全く関係ありません。
暴走族のボス・ウルフは、バイクで信号無視をした際に、トラックと衝突してしまいます。同乗していた恋人は死亡、ウルフ本人も入院しますが、その間に暴走族は解散し、仲間もバラバラになってしまいました。ケガと孤独で自暴自棄になったウルフに、看護用のロボット「D・A・R・1号」、通称「ダリ」がテストとしてあてがわれます。最初はダリを気味悪く思ったウルフでしたが、その献身的な看護に、やがて心を開いていくのです。
この作品は、日本の高齢化社会とそれに伴う看護の人手不足という、非常に現実的な問題が根本的なテーマとなっており、『ブラック・ジャック』の変形・発展型の一つともいえます。また興味深いのは、ダリの姿が、まるで現実に存在するかのごとく、非常にリアルに描かれているということです。何しろ、他の手塚作品に登場する召使いタイプのロボット達と比べ、ダリのデザインはあまりに機械的。描かれたのが1982年ということを考えると、SFにもこの程度のリアルさが必要だと判断したのでしょう。「看護には人型である必要はない」というメカデザインが、それを端的に物語っているように思えます。
なお、『ダリとの再会』には、SFならではの心温まるラストが用意されています。読後は、ウルフとダリのその後について、あれこれと想像してみるのも楽しいのではないでしょうか。

(タイガーブックス8巻収録)

解説

1982/03/31 「週刊少年マガジン」(講談社) 掲載

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  • タイガーブックス (8)

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