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虫ん坊 2015年2月号 オススメデゴンス!:「ドラキュラ登場」(『ドン・ドラキュラ』より)

 祝!舞台化! ということで、今月は手塚治虫のドラキュラもの、『ドン・ドラキュラ』をご紹介いたします! 

 『バンパイヤ』は実はドラキュラものじゃないんですが、この『ドン・ドラキュラ』は吸血鬼もの。しかしながらホラーではなく、ギャグ漫画です。 
 ちょうど先日映画『シェアハウス・ウィズ・バンパイア』も封切となりました。今年はまたも、ドラキュラがの時代が来る!? かもしれません!

 



解説:

 (手塚治虫 講談社刊 手塚治虫漫画全集『ドン・ドラキュラ』3巻あとがき より) 
 「ドン・ドラキュラ」は、ぼくの読者の評価やぼくの作品の中の位置づけは別にして、こんなに描いていてたのしい作品はありませんでした。これが半年の連載で終わってしまったのは「ブラック・ジャック」のあとの作品で、なにかにつけて比較されたからですが、ぼく自身としては十分のって描いたつもりです。こういうムードのコミカルなドタバタがぼくにはピッタリあうのですね。 
 この作品が登場する前後から、たまたま世界的にドラキュラ・ブームが来て、映画は来るわ芝居は上映されるわ、トランシルバニアのドラキュラ城の観光ツアーまで行われる始末で、偶然ながら、そのブームに便乗した形になりました。しかし決して便乗したわけではなく、たまたま幸運にも重なっただけのことです。 
 (中略)
 フランケンシュタイン、狼男、透明人間とこのドラキュラで、ハリウッド映画おなじみのモンスター達は全部ぼくの作品に登場したことになります。しかし、中でもこの「ドン・ドラキュラ」には中途半端で終わっただけにとくに愛着があるのです。



読みどころ:


虫ん坊 2015年2月号 オススメデゴンス!:「ドラキュラ登場」(『ドン・ドラキュラ』より)

 怪奇ものもぐっと多彩になって、さまざまなモンスターが手を変え品を変え登場する昨今ですが、ハリウッド黄金期から活躍しているミイラ男やドラキュラといったスタンダードなモンスターもやはり根強く人気があるようです。映画でもCGを駆使したミイラ男ものの『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(何せ原題が「THE MUMMY」です)がヒットしたり、ドラキュラのライバル、ヘルシング教授を主人公にした『ヘルシング』が封切られるなど、老舗の貫禄を見せています。




虫ん坊 2015年2月号 オススメデゴンス!:「ドラキュラ登場」(『ドン・ドラキュラ』より)

  『ドン・ドラキュラ』は東京都練馬区に引っ越してきたドラキュラの話。なぜまた日本なんかに越してきたのか、しかもまたなんで練馬なのか。とにかくも練馬の森の中のたたずむ洋館に、召使のイゴール、娘のチョコラとともにひっそりと隠れ住んでいます。とはいえ時代錯誤で頑固、プライドの高い四百歳のヨーロッパ紳士が現代日本にすんなり溶け込めるはずもなく、日々さまざまな事件を引き起こしてはひたすらドタバタするたのしいコメディ作品です。
  「ドラキュラ登場」は連載第1回目作品ということもあって、キャラクターの顔見世も兼ねたエピソード。手っ取り早くドラキュラやチョコラ、イゴールの人となりが覗ける作品で、初めて読む方ならばぜひ、この作品から読んでいただきたいと思います。

 



虫ん坊 2015年2月号 オススメデゴンス!:「ドラキュラ登場」(『ドン・ドラキュラ』より)

  ご馳走を食べにいこう、と外出するドラキュラ父娘。もちろん吸血鬼ですから、いく先は17階のマンションに住む美女の元。ところが、17階分の階段や夜食のにんにくに四苦八苦、なかなか血を吸うことができません。そのうちその女性が交通事故にあってしまって大騒ぎに。ますます血を吸うチャンスを逃してしまいます。

 血を吸うどころか、散々な目にあうドラキュラ伯爵はそれでもとても生き生きとしていて、本家本元のドラキュラの、陰鬱な雰囲気はかけらもありません。実に生活臭がぷんぷんする、どこにでもいそうな頑固親父という感じ。細かいギャグネタの積み重ねでそういうディテールが演出されています。ギャグ部分は時代を問わないスタンダードなドタバタで、今でも充分に楽しめます。 
    





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