1973年
戦争で負傷した兵士の治療を依頼されたブラック・ジャックは麻酔を使えない困難な状況で手術を成功させます。しかし兵士は再び戦場へ向かう運命にあるのでした。
マンガ ブラック・ジャック「アナフィラキシー」より
ブラック・ジャックに米軍の横田基地から手術の依頼が来る。
戦争で負傷した兵士を救って欲しいというものだった。
だが患者はアナフィラキシー(過敏症)で麻酔を一切使うことができなかった。
それにたとえ傷が癒えても、患者はまた兵士として戦場へ向かうだけである。
そんな空しさの中でブラック・ジャックはただ黙々とメスを取る。
戦争で負傷した兵士を治療してもその兵士はまた戦場へ行く。
戦時中、軍医になるための勉強をしていた手塚には医者としていつもそんな矛盾した気持ちがあったのだろう。
後年、自身の祖先を主人公とした『陽だまりの樹』(1981年~86年)の中でも、これと同じような状況に遭遇した医者の気持ちを描いている。