大阪から特急電車で2時間ほどのところにある、和歌山県有田郡有田川町。人口は約26,000人、山あいのまち、ということばがぴったりくる、温泉あり、みかんやぶどうなどの名産あり、近畿地方では日帰りの旅先としても人気ののどかな町です。
この季節なら有田みかんなどが全国のスーパーや八百屋さんにお目見えしており、それで名前を知っている、という方も多いかもしれませんが、じつは有田川町は「鳥獣戯画」を世に知らしめるきっかけとなった人物・明恵上人の生誕の地でもあります。
そんな有田川町で今年、手塚治虫と鳥獣戯画をテーマとしたスタンプラリーが開催されています! 主要な施設に設置された、手塚プロダクション新規描き下ろしの手塚キャラクターのスタンプ台の他、地元のグルメに特別メニューが増えた「鳥獣ギガEAT」も見逃せません!
これからみかんがおいしくなる季節、手塚キャラクターのスタンプ目指して、ぜひ有田川町までお越しください。
お話を聞いた方々:
有田川町
教育部 部長 細野正人さん(中央)
同社会教育課 文化情報班 副班長 福本光宏さん(左)
同主任 高垣信吾さん(右)
有田川「アニメの世界とボクらの未来プロジェクト」協議会
メンバー 小野田丈士さん
――有田川町では、もともと明恵上人を推していらっしゃいますね。
細野:そうですね。明恵上人のふるさと、生誕地として、史跡はもちろん、温泉や道の駅でも明恵上人のお名前を冠してアピールに取り組んでいます。今回の手塚治虫×鳥獣戯画スタンプラリーについては、以前からご縁のある栂尾山高山寺*(*明恵上人が開き、鳥獣戯画が保管されてきたお寺)ともお話をしながら進めてきました。
――ちょうど今年は東京国立博物館で特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」が4月~6月に開催され、大盛況で話題にもなりました。
小野田:明恵上人ご自身も面白くって、僕はこの協議会で勉強させてもらったのですが、調べれば調べるほど多彩な文化の足跡が残っているんです。たとえば宇治茶は、明恵上人がいなかったら始まっていなかった、と言われています。日本のお茶文化の発祥は宇治ですが、それを開いたのも上人だったりとか。
――地元での明恵上人の認知度はどれぐらいなのでしょうか? 全国的にはちょっと日本文化に詳しい人じゃないと、知らない人も多いかもしれません。
小野田:地元としては、たとえば遠足の行き先が明恵上人の史跡だったりして、幼いころから親しみを抱いている方は多いと思います。
高垣:全国から、明恵上人ゆかりの地を巡るいわゆる「聖地巡礼」をされる方もいらっしゃいます。あと、地元にも熱心なファンの集まりがあるんですよ!
高垣:漫画やアニメが文化として凄いと感じていたので、何か、「鳥獣戯画」を軸にご縁がつながらないかな、とあれこれ調べていたところに手塚先生が鳥獣戯画のことを好きだったという話を見つけました。スタンプラリーのような企画にするなら、今までの明恵上人・鳥獣戯画のファン層ともまた違った人たちへのアピールとして、手塚先生のお力を借りられればと。調べてみたらちょうどその時期、ライセンシングジャパン*(*東京ビッグサイトで行われるビジネスイベント。キャラクターやブランドなどを管理する会社とのビジネスマッチングの場となっている)に手塚プロダクションさんが出展されていて。
果たしてお話を聞いていただけるものか、直接事務所にお電話をしてコンタクトを取るべきか否か、などと会議をしていたところに出展されていることを知った時は、絶対、熱い思いを持っていけばお互いのメリットをご理解いただけると思ったんです。
――本キャンペーンは8月から開催されていますが、手塚治虫のキャラクターとコラボしたことによって、何かいままでとの変化はありましたか?
高垣:いままでも「鳥獣戯画」関連ですとか、アニメや漫画関連のイベントも有田川町で行ってきましたが、その中でもとりわけ認知度が凄くて、世代を超えてすごくいい企画だ、と言っていただくことが多いです。ほかの作品だと世代によって嗜好が違ったりするものですが、手塚先生の作品は本当に全世代に認知されている、と感じます。若い人から、ファミリー層、おじいちゃんが孫を連れて、「このキャラ知っちゃーるか!?」っておっしゃっていたり。
お客様の層や人数などを含め、目に見えて効果が出ていると感じます。
スタンプポイントは、2か所×3コースあるので全部で6か所!キャラクターのスタンプが押せるほか、各コースで2か所のスタンプを集めると3種類のステッカーがもらえます。
また6か所のスタンプを全制覇するとプレゼント抽選に応募できます。
このプレゼントもこだわりの逸品ぞろい。
小野田:本当は県内の素材で作ろうと思っていましたが、手に入らなかったので素材だけは県外産ですが、工房は和歌山の工房です(小林且弥革工房)。鳥獣戯画ということで鹿革にはこだわりました。
――結構大きさも大きいですね!
高垣:はい。大柄な男性が掛けてもゆったり座れるし、丈夫です。
その他の賞品は、紀州清水米 あらぎ島の米 120kg(!)、有田川名産のみかんをつかった、マルケンみかんジュース 賢宝 など、いずれも和歌山・有田川ゆかりの逸品となります!
さて、スタンプラリーの開催場所に行ってみましょう!
スタンプラリー会場は大きく3つのコースに分かれています。
Aコースは、「道の駅明恵ふるさと館」・「THE LIVING ROOM」(旧田殿保育所)。
Bコースは、「有田川町鉄道交流館」・「かなや明恵峡温泉」
Cコースは、「しみず温泉あさぎり」・「道の駅あらぎの里」
の各2カ所でクリア!
それぞれのコースを回ってスタンプを2つ集めるたびに、シールが一枚もらえます!
※各スタンプラリー会場には、必ず施設入り口に、新型コロナ感染症対策としてアルコールが設置されています。
高垣:周るなら絶対にマイカーがお勧めですが、近隣から電車でいらっしゃる方には、タクシーの一日チャーターが便利です。有田川町では周遊定額タクシー事業を平成30年7月~行っております。
レンタサイクルなどもありますが、有田川は坂が多いので......かなり体力に自信がある方向けかも。ロードバイクなどの長距離を乗れる自転車で挑戦してみてください。ママチャリだとつらいかな...。
1コース二つくらいなら楽勝!と思っていましたが、なかなかそうはいかないようです。
周遊定額タクシーは、小型タクシー(最大4人乗り)2時間5,000円~。ジャンボタクシー(最大9人乗り)2時間7,000円~。詳しくは以下URLをご覧ください。
https://www.town.aridagawa.lg.jp/top/kakuka/kibi/3/1/2/1282.html
有田川町金屋322-1 Tel:0737-32-9778
有田川町・金屋地域の農家が新鮮な自慢の農産物を直販しています。
この季節のイチオシはみかん! 取材時は早生みかんの最盛期とあり、すがすがしい青色のみかんがたくさん並んでいました。
品種によって糖度は様々で、早生みかん=酸っぱい、ということでもないようですが、地元ではある程度すっぱいものが好まれる傾向にあるとか。
12月ごろからは熟したみかんが並び始めます。
農産品の他にも、ジャムやしょうゆ、みそ、南高梅使用の梅干しなど、地元特産品がリーズナブルに手に入ります。
有田川町長田546 Tel:0737-53-3005
元保育所の建物がカフェとシェアオフィスに。隣接には地元のクラフトビールを楽しめるバー・GOLDEN RIVERもあります(自家用車でいらっしゃる場合はテイクアウトで!)。
GOLDEN RIVERではあとで紹介する「鳥獣ギガEAT」で特別メニューでも参加中ですので、周遊中のお昼ご飯にも。
町の「リビングルーム」に、というコンセプトの過ごしやすい雰囲気。キリンの壁画が目印。
2015年の地方創生プロジェクトにともない改築された建物で、現在オフィス入居者募集中とのこと。
有田川町徳田124-1 Tel:0737-52-8710
公園に隣接する鉄道交流館。かつて市内を実際に走っていた「キハ58003」・「ハイモ180-101」「フラワ1985」が展示されています。一部車両には敷地内のレールで乗車体験も可能(体験料100円)。
交流館には有田川町のジオラマが見られるほか、鉄道関連グッズの販売も。
取材当日は社会見学に訪れた小学生がたくさんいらっしゃっていました!
有田川町修理川81-3 Tel:0737-32-5526
露天風呂もついた温泉施設。フリースペースでは、明恵上人の紹介パネルも展示されています。レストランもあり、「鳥獣ギガEAT」に参加している鈴明も併設されています。明恵上人の紹介パネルを見た後、ひと風呂浴びて、「うさぎカレー」を食べて一休み、という利用がおすすめ。
地元の方も多く訪れる、地域に根差した温泉施設でもあります。
Cコースは市街地から少し離れ、蔵王橋・あらぎ島方面に向かいます。
国道480号線で約40分ほど、高野山方面へ。
道の途中の「あらぎ島」というのは何かというと、まるい形状がユニークな棚田(日本の棚田百選)。観光客のフォトスポットとして、蔵王橋とともに人気を集めています。
有田川町清水1225−1 0737-25-1181
2013年にオープンしたての施設で、レストラン・お土産販売所。温泉や宿泊棟もありますので、ここを拠点にするのもあり。
有田川町三田664−1 0737-25-0088
こちらもレストランが併設されている道の駅。人気のお土産は豆腐とこんにゃく、ぶどう山椒。あらぎ島最寄の道の駅です。
手塚治虫×鳥獣戯画スタンプラリーと同時開催中の、有田川町のグルメを楽しめる「鳥獣ギガEAT」。
参加店舗は先に御紹介したGOLDEN RIVERの他、以下の6店舗です。
有田川町長田546 0737-53-3005 営業時間11:00-22:00(LO 21:30) 定休日 火・水
有田川町徳田1533-2 0737-52-8036 営業時間 09:00-18:00 定休日 月・第1・3木
有田川町徳田420-3 0737-22-4500 営業時間 11:00-14:00(LO 13:30), 17:00-22:00(LO 21:30) 定休日 水(※土日の昼は慶弔料理のみ)
有田川町修理川81-3(かなや明恵峡温泉内) 0737-32-5701 営業時間 11:00-20:30(LO 20:00) 定休日 第2金
有田川町川口1055(有田巨峰村内) 080-7956-0479 営業時間 11:30-17:00(LO 16:30) 定休日 月・火(祝日は営業)※冬季休業有
有田川町清水337-7 0737-25-0371 営業時間 11:00-LO13:30,17:00-LO21:00 定休日 水(祝日の場合要確認)、第1・3木夜
今回はこの中から、「BOAT CAFE マルタガーデン」、「マンサダパン日和」にお話を伺うことができました。
――鳥獣ギガEATで提供中のメニューについて教えてください。
BOAT CAFE(以下、B):お店で通常出しているものの大盛メニューとして、「ギガキーマカレー」、「ギガオムライス」で参加中です。チラシを見てきてくださる方もいらっしゃいますよ。
――建物がユニークな感じですね。
B:もともと、丸太農園さんの使っていない倉庫だったんです。そこをお借りしてお店を開いて、今年で二年目になります。和歌山市内にあるボートカフェののれん分け店のような感じで、私もそちらから来ました。
――お店の魅力は?
B:巨峰村のなかにあるお店なので、ぶどう狩りのシーズンは、ぶどう畑を眺めながらお食事がたのしめるテラス席がお勧めです。また、ぶどうのみならず季節のフルーツをあつかったデザートが売りですので、そちらもお召し上がりください!
――鳥獣ギガEATで提供中のメニューについて教えてください。
マンサダパン日和(以下、マ):カエルとウサギのキャラクターパンのセットです。うちの人気のメニューの一つがキャラクターパンでしたので、そちらを食べやすいミニサイズにして、二つセットにしたものをご提供しています。
――有田川町にはパン屋さんがたくさんありますね。
マ:そうですね...ブームというのもあるかもしれません。パン屋さんが多く建つことで困ることはなくって、相乗効果的にお客様も増えています。
――こちらのお店は開店から何年目になりますか?
マ:今年で六年です。パン屋さんが増えたのはここ数年ですので、うちは中でも古いほうになります。
――お店のオススメは?
マ:ランチタイムに焼き立てのパンをお出ししています。キャラクターパンもいろいろ出しておりますので、ランチタイムにぜひお立ち寄りください!
これから冬の時期になると、山のみかん畑一面が、熟したみかんでオレンジ色にみえるほどになるそうです! まさにみかんの里、有田川はこれからが楽しみな季節!
スタンプラリーは12月31日までとなりますので、ぜひ冬休みを利用していってみてください。