アニメ化、マンガ化、舞台化と『どろろ』のメディアミックスが盛り上がっています!!
オススメデゴンス! でも、『どろろ』をフィーチャー!
どろろが百鬼丸だと思っていたあの頃(遠い目)。
これから原作を読むという方や、どんなお話だったけ……と復習したいそこのあなたに、初期エピソードをお届けでゴンス!
(講談社 手塚治虫漫画全集「どろろ」あとがきより)
あちこちにかいたことですが、ぼくは人一倍負けん気が強く、たとえば漫画でも、ある作家が一つのユニークなヒットをとばすと、おれだっておれなりにかけるんだぞ、という気持ちで同じジャンルのものに手を出す、おかしなくせがあります。
というわけで、「どろろ」は、水木しげる氏の一連の妖怪もののヒットと、それに続く妖怪ものブームにあやかって(?)作り上げた、いうなれば、きわものです。
しかし、最初の十回ばかりは、ぼくも本心からこの作品にのってしまったのです。珍しく時代もの、それも中世を舞台にした因果応報もの、ということが意欲をかき立てました。主人公の二人に自分ながら惚れぬいたのも、めったにないことでした。六、七回めのあたりには折りこみ口絵もはいり、それには水木氏ばりに、登場妖怪たちをずらりとならべたりしました。(中略)
「どろろ」というタイトルがなぜ生まれたかというと、ぼくの子どもが、どろぼうのことを片言で〝どろろう〟といったことからできたのです。
ところで、おかしなことにアメリカの日本漫画のファンがこの「どろろ」が大好きで、ぼくの会った何人かの青年は、手塚漫画でいちばん好きだといってくれましたし、このあいだ行ったサンジエゴの漫画大会で、ぼくにサインをたのんだ娘などは、百鬼丸の絵をかいてやったら、本当に涙をうかべて「I love him!」というのです。うれしいけど、おかしなものですね。
異色時代劇『どろろ』は、物語もさることながら、そこに登場する個性豊かなキャラクターたちの人気が高い作品です。過酷な運命に立ち向かう百鬼丸と、明るく元気などろろのコンビは、現在でも多くの手塚ファンに愛されています。今回ご紹介する「発端の巻」と「百鬼丸の巻」では、百鬼丸の生い立ちと成長、そして相棒どろろとの運命的な出会いが描かれます。
「発端の巻」では、百鬼丸の父親・醍醐景光が、天下取りに協力してもらう代償として、四十八の魔物にあるものを捧げる契約をします。この契約が、これから生まれてくる百鬼丸の運命を大きく変える結果となるのです。
そして「百鬼丸の巻」では、悪さをしてリンチにあっているどろろを、偶然通りかかった百鬼丸が助けたことから、この2人のコンビがスタートします。そして、どろろに話して聞かせる形で、百鬼丸の成長の物語が展開する事になります。
百鬼丸とは何者か? 彼があてのない旅に出たのはなぜか? そしてその行く先々に必ず妖怪が現れるのはなぜなのか…? その答えは、すべてこのプロローグに込められています。そして読者は、おどろおどろしい「どろろ」の作品世界へと、一気に誘い込まれるのです。
インパクト絶大なこちらの一コマ。どろろも思わず驚愕していますが、どう見ても気絶したっておかしくないレベルです。
なぜ、こんな身体になったのか。百鬼丸が自らの生い立ちを語ることで、自分に着いてくることがいかに危険なことかをどろろに教え、あきらめさせようとします。なにも目玉を取り出さなくても……と思いますが、いまから伝えることが真実であることを身体を張って証明するとともに、わざとどろろを怖がらせることで遠ざけようとしているようにも見えます。トラウマになりそうなシーンですが、百鬼丸なりの優しさのあらわれなのかも知れません。
百鬼丸:
ここで知らされる驚愕の事実。それは百鬼丸がまだ14歳の少年だということ。
さらっと、「生まれて十四年もすりゃ……」とか言ってますけど、普通の14歳は心の目なんて開けません。生まれながらにして特殊な人生を歩むことを運命付けられ、それゆえに不思議なちからを持ち合わせている百鬼丸。是非、本編を追っていただき、生きるため、真っ向から運命に抗う彼の姿に括目していただきたいです!