ハッピーハロウィン!! 10月のお祭りといえばハロウィンですよね!
というわけで、今月の「オススメデゴンス」は、『ブッキラによろしく!』をご紹介します。
手塚治虫晩年の少年マンガで、テレビ局に住み着いた妖怪・「ブッキラ」が主人公。
手塚治虫オリジナルの妖怪たちもたくさん登場しますよ!
「ブッキラによろしく!」は、TV局、ダメ女、グレムリンの三つをくっつけて考えたものです。
本来は「グレムリン」みたいな妖怪SFものにするつもりだったんですが、それにTV局のアイディアを入れて、「ばるぼら」のようなダメ女を出したんです。三つ目のようなダメ男はずいぶん描きましたが、ダメ女は少なかったでしょう。なぜダメ女を出したかというと、スリラードラマに出てくる女性はたいてい、キャーキャーこわがるくせにわざわざこわい所に行ってみる。バカというか単純というか、そういう世間知らずのくせに何かと首を突っ込みたがる女の子を出したら面白いんじゃないかと思ったんです。
東西テレビで売り出し中というタレントの根沖トロ子はとんだダイコン。時代劇に出ても、クイズ番組に出てもろくな演技ができないどころか、酷い失敗ばかりをしています。そのくせテレビ局の人々は、そんなトロ子をやけに大切に扱います。トロ子のようなイモタレントをどうしてそんなに大事にしているんだろう? 疑問に感じた三流ゴシップ誌「クロスカウント」の記者、間久部緑郎ことロックが根沖トロ子の秘密を探りはじめます。ロックがやっとトロ子から聞き出したのは、13号スタジオに住み着いているという「ブッキラ」のこと。ブッキラは何と小さな妖怪で、13号スタジオで番組を収録するときは「恋人」のトロ子がいないと、彼が決まっていたずらを働くというのです。
タレントどころか、何をやらせてもダメなトロ子ですが、性格はかなりしたたかで、あのロックですらたじたじ。ハム・エッグ演じる番組プロデューサー・仁古見宇呑をゆする初登場時こそ『バンパイヤ』の間久部緑郎らしい雰囲気をかもしていたあのロックが、トロ子と行動するようになってから、どうにも三枚目に落ちてしまうのだからたいしたものです。
勇敢でかわいらしいブッキラ、可憐で小さいのに頼りになる、と言うところはアトムやレオを彷彿とさせますが、ブッキラのくしゃくしゃ頭とどんぐり眼は、前回ご紹介した『ルードウィヒ・B』のルネの小さいころにも似ているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?