わかっちゃいるけどむずかしい

ストーリー・解説

神奈川新聞（神奈川新聞社）　1976年1月1日　掲載

ヒゲオヤジの家に、彼の友達という男がやってきた。なんでも、戦争中と同じ生活をずーっと今まで続けている男だという。ヒゲオヤジいわく、「今年はひきしめの年」。節約の知恵を学ぶために招いたそうだが…。
いつの時代でも、「昔はよかった」「昔は何でも知恵や工夫でのりきったものだ」というような、過去を礼賛するムードがあるものです。掲載当時の日本は高度経済成長による好況も落ち着き、物価が庶民の生活を圧迫する時代でした。
とはいえ戦時中と比べればずっと豊かで、「ぜいたく」な時代であったといえます。一家の大黒柱としては、これからの物価高に備えて、気を引き締めたいお正月だったのかもしれません。