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ストーリー

古傘の妖怪・雨ふり小僧と少年の友情を描いた感動のファンタジーです。山奥の分教場に通うモウ太は、町の本校で、田舎者と馬鹿にされいじめられていました。そんなある日、モウ太は、橋の下で古傘の妖怪と出会います。雨ふり小僧と名乗ったその妖怪は、モウ太の願いを3つかなえる替わりに、モウ太のブーツが欲しいとせがみます。そしてその願いを聞いてもらううち、ふたりは仲良くなっていきました。そのとき、分教場が火事になってしまいます。モウ太は雨ふり小僧に、3つ目の願いとして、火事を消してくれと頼みます。雨ふり小僧は必死で火を消しました。しかし、その直後にモウ太の家の引っ越しが決まり、モウ太は約束を忘れて、雨ふり小僧を橋の下に待たせたまま、山を降りてしまいました。それから40年後、大人になったモウ太は、突然、雨ふり小僧との約束を思い出しました。

解説

1975/09 「月刊少年ジャンプ」(集英社) 掲載

手塚治虫は、長編作家であるばかりでなく、短編作家としても素晴らしい作品を数多く描いています。中でもこの『雨ふり小僧』は、名作として高く評価する人の多い作品です。西洋の悪魔が、契約を絶対に守るのと同様に、日本の妖怪も、約束は必ず守ると言い伝えられています。『雨ふり小僧』は、そんな、妖怪と人間の約束をテーマとしています。大切な約束を守り続けた雨ふり小僧と、約束を忘れてしまった少年。その狭間に生まれた小さなドラマは、何度読み返しても大きな感動を呼びます。ちなみに、雨ふり小僧というのは、日本の伝説や民話に登場する妖怪ではなく、手塚治虫が考えたオリジナルの妖怪です。

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