アニメアニメ

作品紹介

バチカンからイタリアの国営放送を通して手塚治虫に「ぜひ聖書をアニメにしてくれ」という依頼が来ました。クリスチャンではない手塚治虫が描く聖書の世界。それを観たいというリクエストだったようです。手塚治虫はその依頼に応えて、二年もの歳月を費やしてパイロット・フィルムを完成させました。それはノアの箱船神話を描いたもので、手塚治虫自身がシナリオはもちろん原画まで描くという情熱で作品作りに臨んだのです。けれど、やはり制作途上で本人は「神の下に召されて」しまい、作品は出崎統監督に引き継がれ完成することになります。

クレジット

(C)NTV/RAI

WOWOW/24分/カラー/26本
手塚プロダクション、日本テレビ放送網株式会社、イタリア国営放送
(日本語版)1997年4月1日~1997年5月9日 月曜~金曜(祝日・5月8日を除く)7:00~7:30・18:00~18:30

キャスト

アダム:有本欽隆
イブ:寺内よりえ
ロコ:田中真弓
カイン:北川勝博
アベル:宮本充
ノア:藤本譲
アブラハム:加藤精三
イサク:岩永哲哉
ヨセフ:家中宏
モーゼ:玄田哲章
マリア:天野由梨

スタッフ

原案、構成:手塚治虫
著作、製作:日本テレビ放送網株式会社、イタリア国営放送
制作:株式会社手塚プロダクション
企画:岡田晋吉、倉田勝弘、松谷孝征、Luciano Scaffa
脚本:株式会社手塚プロダクション
プロデューサー:高岸正巳、三浦姫、武井英彦、中村正雄
音楽:服部克久
キャラクターデザイン:手塚治虫、瀬谷新二
作画監督:吉村昌輝、杉野昭夫、小林準治、しまだひであき
美術監督:岡田和夫、斎藤雅巳
監督:出崎統
録音制作:株式会社オーディオ・プランニング・ユー、APUスタジオ
音響監督:小林克良
監修:今道瑶子(聖パウロ女子修道会)
プロデューサー:岩佐芳博、久保田稔
制作担当:桑原智

サブタイトル

1 天地創造 1997/4/1

神は言われた。「光あれ」こうして、光があった--。何も形をなさない混沌の宇宙に、神が「秩序」をもたらして行く。神は天と地を分け、陸と海とを分け、大地に海に空に生き物を創造して行く。七日間で神は世界を創造した。そしてはじめての人間が神の姿に似せて作られる。アダムとイヴである。

2 カインとアベル 1997/4/2

エデンを追放されたアダムとイヴは労働と出産の苦しみを罰として与えられる。アダムは額に汗して必死に働かなくては食べ物を得ることが出来なくなり、イヴは死ぬほどの苦しみと痛みの中で、子を出産する。カインとアベル。神が弟のアベルを可愛がっていると嫉妬した兄のカインは、アベルを襲って殺してしまう。土を耕す者、カインはそして、呪われた者となった。

3 ノアの箱舟 1997/4/3

人類は地に満ちた。しかし増えるにしたがって神を冒涜するようになり、堕落して行った。神はこれを罰するため、地上を洪水で洗い清めると決める。神はノアに命じて箱舟を作らせ、生き物たちをひとつがいずつ箱船に乗せるよう命じた。ノアは神を信じない者たちに笑われながらも懸命に巨大な箱舟を作り、動物たちを船に乗せて行った--。そして、地上に大洪水が襲ってくる。

4 バベルの塔 1997/4/4

神に近づこうとする人間たちは空へと向けて塔を築いて行った。神に手が届く。そう過信する人間たちの思い上がりを罰するため、神はバベルの塔を倒壊させ、人間たちの言語を地域ごとに分断し、互いにコミュニケーションを取れなくしてしまう。

5 父アブラハム 1997/4/7

年老いても子供に恵まれなかったサラは「子どもの誕生」を神に祈り続けていた。そんな妻を見てアブラハムは「神にだってお前に子供を産ませるなんてことは出来ない」と笑った。そのアブラハムに神が語りかける。「神に不可能など ない。一年後にサラには必ず男の子が生まれているだろう」と--。

6 ソドムとゴモラ 1997/4/8

悪徳が栄え、堕落した人間があふれる都市、ソドムとゴモラ。この退廃と神への冒涜に満ちた町が神の怒りの中で破滅して行く。ロト夫婦とふたりの娘たちは、信仰篤き者たちだったので「山へ逃げなさい。ただし町を振り返ってはいけない」という神の声を受ける。しかし破滅の中で轟く阿鼻叫喚の声に、ロトの妻は思わず振り返ってしまう。そして、彼女は神との約束を破った罰として、塩の柱とされてしまう。

7 イサクとイシュマエル 1997/4/9

神はアブラハムに言われた。「あなたの子孫はサラの息子イサクによって伝えられる」と。そしてアブラハムと関係したもうひとりの女ハガルの息子、「イシュマエルもひとつの国民の父とする。彼もあなたの子であるからだ」とも言われる。--この神話がユダヤ民族の国家イスラエル建国の強い動機付けとなっている。

8 アブラハム、イサクを捧げる 1997/4/10

神はアブラハムに自分の息子を神への生贄に捧げよ、と命ぜられる。アブラハムはそんな恐ろしいことは出来ないと思うのだが、神の言葉に逆らうこともまた出来ない。アブラハムは息子の命を犠牲にしてでも、神に忠実であろうと決断し、息子のイサクを生贄に捧げる。彼の掲げた剣がイサクの胸へと振り下ろされようとしたその時、神の御使いは言った。「その子を殺すな。あなたが神を怖れる者であることが証明された」神は神に我が子を捧げることも厭わなかったアブラハムを人類すべての父親として称える。

9 ヨセフの夢占い 1997/4/11

ヨセフは神の夢を見た。神から特別に愛されていると見えるヨセフを、他の兄たちは妬んだ。兄たちはヨセフを殺してしまおうと企むのだが・・・。

10 ヤコブ一族の再会 1997/4/14

妬みは何も生み出さないと悟り、ヨセフと兄たちは和解した。そしてヤコフが語る神との対話の内容を兄たちは畏まって聞くようになった。兄弟が絆を深め、いつしかヤコフはエジプトを収めるものとなって行く--。

11 モーセの誕生 1997/4/15

ファラオは、自分を倒し、世界を治める新しい王が産まれた、というしらせを受け、恐れおののいた。そして「産まれたばかりの男の子をひとり残らず殺せ」と全国民に命じた。しかしひとりの男の子は衛兵たちの目を逃れて生き延びる。それがモーセだった。

12 砂漠の火 1997/4/16

成長したモーセは神を畏れる敬虔な人間になっていた。そんなモーセが羊の群れを連れて荒野の奥に入って行った時、彼は砂漠に燃え上がる不思議な炎の中から神の御使いである天使の声を聞いた。「モーセよ、靴を脱ぎなさい。ここは聖なる場所です」と--。

13 モーセとファラオ 1997/4/17

ファラオは自分こそが民の上に君臨する神であると信じていた。しかし民はファラオよりも偉大な王、天上の神を信じ、敬っていた。アロンはそんなファラオに「イスラエルの神がこの地を去れと言われた」と告げる。ファラオは激怒した。私こそが真実の王だ。それなのにイスラエルの神などというものに何故従わなければならんのだ! と。

14 エジプト脱出 1997/4/18

神の声を聞き、イスラエルの民を導くものとなったモーセにファラオの軍が襲いかかってくる。モーセは神の声の命ずるままに民を率いてエジプトを脱出して行く。後ろにはファラオの軍勢、前は紅海。進むも退くも出来ないイスラエルの民。モーセは神の奇跡を祈った。すると、紅海が二つに割れ、海に道が作られたのだ。

15 十戒 1997/4/21

モーセとイスラエルの民はシナイ山の麓に辿り着いた。モーセはさらなる神の声を受け取るべくシナイ山へと登った。その山頂で彼は神から十の戒めを受け取ることになる。

16 イスラエルの裏切り 1997/4/22

山へ登ったままモーセが戻ってこないので、イスラエルの人々は神がモーセを守ってくれるようにと祭壇を作り、祈った。祈るのには対象物か必要だと彼らは神の雄牛を像にして祈った。そんな人々を見て、神は山頂にいるモーセに告げるのだ。「すぐに山を降りよ。イスラエルの民は堕落した」。神は神以外のものを祭り、偶像を拝むことを厳しく禁じていたのだ。

17 約束の地 1997/4/23

神はモーセに言った。「これがあなたの子孫に与えると私がアブラハムやイサク、ヤコブに約束した土地である。私はあなたにそれを見せた。しかしあなた自身はそこへ足を踏み入れることは出来ない」と。その言葉のとおり、モーセは約束の地の手前で息を引き取ることになる。

18 エリコ 1997/4/24

約束の地エリコへと近づいたイスラエルの民が目にしたのは鉄壁の壁に囲まれた要塞都市だった。これでは誰もエリコの町へは入れない。そう思うモーセの子、ヨシュアへと神の御使いは言った。「私はエリコとその王と勇者たちをあなたの手に渡す。町の周りを七日間、回りなさい。七人の祭司に雄羊の角で作った角笛を吹き鳴らさせなさい。七日目に壁は崩れるであろう」その言葉に従い角笛を携えて城壁の周りを回り始めるイスラエルの民に、エリコの軍勢は首をひねっていた--。

19 初めての王サウル 1997/4/25

主は約束どおり、イスラエルの民に国を与えた。そして神はあらゆる敵からイスラエルの民を守り続けていた。しかし神に守られたイスラエルの民へと向けられる攻撃の手はますます強くなって行く。その頃のイスラエルは十二人の兄弟たちがそれぞれにリーダーとなり、十二氏族に分かれていた。しかしこれより先は民族を統一する王が必要だと思われた。そしてイスラエルの民に最も尊敬されているサムエルに王を選んでもらうこととなった。サムエルは言った。王を選ぶということは、王が命ずるままに兵士となったり奴隷となったりすることもあると覚悟するということだ。それでも良いのか、と。

20 サウルの敗北 1997/4/28

サウル率いる軍を攻め落とすべく、他国は執拗な戦を仕掛けてくる。そのひとつひとつに勝利を収めたサウルは民の尊敬を集め、そしていつしか傲慢になっていった。やがて戦いだけに明け暮れる王となるサウルだったが、ついにペリシテ軍はサウルとその息子たちを追い詰め、息子たちから先に殺していった。それに絶望したサウルは地面に立てた剣の上に自らの体を投げて刺し貫き、死んだ。

21 ダビデ王 1997/4/30

サウルをイスラエルの王としたことを悔いた神は、ベツレヘムに住む美しい羊飼い少年ダビデを新しい王とする。ダビデは主に見放されたサウルを慰めるために美しい音色で竪琴を奏でてやっていた少年だった。ダビデはまた勇敢な戦士であった。彼はシオンの要塞を陥落する。そしてこの要塞を中心に自らの勢力を強めて行く。彼こそは神に守られた万軍の長であった。

22 ソロモンの王国 1997/5/1

ダビデの子、ソロモンは類まれなる知性の持ち主であり、人の心の機微にも通じていた。それゆえ民からの信望も厚い名君となった。しかし年を経て後、神への愛を失い、ソロモン神殿を建て、城の外でなら偶像を拝むことまで許すようになっていた。ソロモンは十戒に背いたのである--。

23 バビロン捕囚 1997/5/2

ソロモンが築いた王国エルサレムは攻め込む軍勢に陥落した。国を追われたイスラエルの民は再び帰る場所も行く当てもない流浪の民族となった。イスラエルの民、ヘブライ人はバビロンに囚われ、奴隷として移住させられる。ヘブライの歴史を綴った巻物を大事に守っていたのはエゼキエルである。彼はいつか必ず神の愛が我が民族の上に戻ってきてくれると信じていた。イスラエルの民は神の言葉に背いたことを悔い、もう一度、神の掟を敬う生活を取り戻して行く。

24 奴隷からの解放 1997/5/6

バビロンの王たちはヘブライ人たちがイスラエルの神だけを信じ続けていることに懸念を感じていた。バビロンの神マルドゥクを信ぜよ! 王たちはヘブライ人に命じた。しかし神のお告げが下される。バビロンはメディアとペルシャとに分割されるであろう、と。そしてイスラエルの民は再び約束の地へともどされるであろう、と。「主は言われた。お前たちがどの地に散っても、私はまたお前たちを呼び戻すであろう・・・」

25 砂漠の預言者たち 1997/5/7

砂漠を放浪するひとりの預言者がいた。彼はヘブライ人たちが、堕落し、神の掟に背こうとしていることに心を痛めていた。しかし、もうすぐ、すべてが変わり、神から再び世界に広く伝えられる声が届くだろうと感じていた。ある夜、天使ガブリエルがナザレに住む15才のマリアのもとに降り立った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むだろう。その子をイエスと名づけなさい。その子は偉大な人となり、いと高き方の子と呼ばれるだろう・・・」と。そのお告げの通り、マリアは処女懐妊した。

26 イエスの誕生 1997/5/9

ナザレからベツレヘムへとマリアは旅していた。ヘロデ王がユダヤ人たちからも税金を徴収すると決め、全員の住民登録を求めたためだった。身重のマリアにはつらい旅だった。しかし、体の中に聖なる命が宿っているのだという使命感で、マリアはつらさに耐えていた。マリアと夫のヨセフはいとこのエリザベトの家へと着く。その家にも赤ん坊がいた。名はヨハネ。マリアはこの家の馬小屋で男の子を出産する。空に予言の星が輝く夜のことだった--。



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