手塚治虫と東映動画のコラボレーション第三弾。中国、西洋の次は日本の代表的な物語に挑戦です。手塚治虫は原案と構成を担当しました。といっても、今度もまた手塚治虫の描きたかった物語は東映動画の意向とは合いませんでした。手塚治虫は当初、『森の忠臣蔵』というタイトルで絵コンテまで執筆していたのですが、企画会議の果てに路線が変更され、完成した作品には手塚治虫のアイデアはあまり採用されていない、という結果になったのです。さて、物語は忠臣蔵といっても46匹の犬たちが戦うのは主君の仇、というわけではありません。野良犬ロックは動物園に住むトラのキラーに母親を殺され、その復讐を誓っていました。これにやはりキラーの暴虐ぶりに頭を痛めていた町の犬たちが加勢に加わるのです。お殿様の仇、ではなく自分の母親の仇、としたことで子供たちが無理なく感情移入できるストーリーとなりました。また、同時にこの設定の変更は戦争の悲惨さを体験している手塚治虫が、どうしても「お殿様=自分の国」のための戦い、ということは描きたくない、という思いが現れているのかもしれません。
(C)東映アニメーション
東映系封切/81分/カラー・東映スコープ
東映動画/1963年12月21日
ヴェネチア国際児童映画祭オゼエラ・デ・ブロンド賞
ロック:堀絢子、木下秀雄
シロ(ロックの母):水木蘭子
ラビ(ウサギ):伊藤牧子
リマ(リス):山本喜代子
キラー(トラ):西村晃
アカミミ(キツネ):加茂喜久
ゴロ:佐藤英夫
カルー(娘時代):本間千代子
ヌキタ(タヌキ):大村文武
ロン:芳川和子
灯台の少女:堀絢子
製作:大川博
企画:吉田信、大坊五郎、飯島敬
原案、構成:手塚治虫
脚本:飯島敬、白川大作
演出:白川大作
監修:山本早苗、薮下泰司
美術:鳥居塚誠一、沼井肇
作画監督:大工原章
原画:熊川正雄、楠部大吉郎、森康二、喜多真佐武、勝井千賀雄、彦根範夫、奥山玲子、小田部羊一
動画:生野徹太、堰合昇、勝田稔男、福島信行、小林和子、斎藤智、香西隆男、森英樹、金山通弘
トレース:進藤みつ子、刈谷貞子、湯沢加代子
彩色:青木栄子、関口雅子、岩田径子
特殊仕上:藤井武
仕上検査:小椋正豊
色彩設計:浦田又治
背景:千葉秀雄、片倉和子、山崎誠、伊藤英治
タイトルデザイン:児玉喬夫
演出助手:池田宏、山本寛巳
撮影:杉山健児、吉村次郎
録音:森武、石井幸夫
編集:稲葉郁三
効果:森敬二
記録:菅原節代
制作進行:上野寿夫
音楽:渡辺浦人
主題歌「わんわんマーチ」作詞:佐伯孝夫 作曲:中村八大 歌:デューク・エイセス
「わんわん子守歌」作詞:佐伯孝夫 作曲:渡辺浦人 歌:松尾和子