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虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」

虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」

 4月1日から13日、新宿紀伊國屋書店本店にて開催された株式会社ジュエリーカミネ「手塚治虫ジュエリー絵画展&手塚治虫グッズ展」のもようをご紹介します。
 展示では、『鉄腕アトム』『ブラック・ジャック』『リボンの騎士』など、手塚キャラクターのジュエリー絵画が並び、販売されました。





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◎ジュエリー絵画とは

虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」


 ジュエリー絵画とは、熟練した職人がひとつひとつ手作業で宝石を敷き詰めて制作する絵画です。
 通常、絵画は熱や紫外線に弱く、色の変色が起こってしまいますが、ジュエリー絵画では熱や紫外線によりダメージを受けにくい天然石を用いるため、日焼けによる変色がほとんど見られず、いつまでも美しさを楽しむことができます。手塚作品をジュエリー絵画として、世代を超えて受け継ぐことが出来るのです。

 一般的な宝石画は、ジュエリーの一粒が大きいものが使われており、いわゆるモザイク画のような粗さのあるものが主流でした。
 そこで、ジュエリー絵画では手塚治虫の原画を忠実に再現するために、うすいガラス板に線画を描写し、そのガラス上の主線に沿って宝石を敷き詰めるという、特別な製造工程を編み出しました。
 そのため表面には凹凸がなくなり、主線に沿って宝石を敷き詰めてゆくことで、繊細な色彩を表現することが可能になります。


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使用しているジュエリーの一部


 ジュエリー絵画にはルビーやオパール、ラピスラズリなど約30種類の天然石を使用。これらの宝石を荒く砕いたり、パウダー状に加工したものを敷き詰めていきます。
 決められた種類の中で、パーツによって宝石を混ぜることにより原画に近い色を出しています。



●展示のようす

会場には、60点もの作品がズラリ!
ジュエリーに生まれ変わった手塚キャラクターをご紹介します。



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『ジャングル大帝』
レオの白い たてがみ は、マザー・オブ・パールとオパールによってつくられており、角度によってキラキラと輝きを放ちます。



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『リボンの騎士』
サファイアのマントやリボンも、宝石のもつ色味が存分に活かされ深みのあるグラデーションで表現されています


虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」

作品ごとに、どの部分に何の宝石が使われているか説明が添えてあります。



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『鉄腕アトム』
プルートゥのメタリックな面割り部分はラピスラズリ、ジェイド、オパールが使われています。宝石で作られているからこそ、ロボットの硬質感すら伝わってくる出来です!



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『ブッダ』
原画では一色で塗られている文様部分も、何色もの宝石によって作られ煌びやかに。オリエンタルなインド文様と宝石の相性は抜群に良いです。



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『火の鳥』
『火の鳥』のジュエリー絵画は、鳳凰とゆかりのある建造物である金閣寺と平等院へ、また東日本大震災の被災地へ、復興のシンボルとして寄贈されています。
 2014年には宝塚市立手塚治虫記念館にも寄贈され、現在はエントランス「リボンの騎士 王宮風ホール」に常設展示されています。



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『ブラック・ジャック』
絵画を見ながら、手塚作品と親しんだ思い出を懐かしむ方が多くいらっしゃいました。 『ヤング ブラック・ジャック』のアニメを見て原作を知ったという若いお客様もご来場されたとのこと!



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会場にはiPhoneケース、メガネクリーナーなど、ここでしか手に入らないジュエリーカミネとのコラボグッズも販売されました。



●ジュエリー絵画制作のポイント

ジュエリー職人の方に、絵画の制作についてお聞きしました。 制作する視点から語られる、ジュエリー絵画のこだわりとは……?


――手塚治虫の原画をジュエリー絵画化するにあたり、苦労した点を教えてください。


 原画の雰囲気を出来るだけ忠実に表現することを考え、下絵の段階でアトムやブラック・ジャックなどの人物の輪郭を手書きと同じタッチで線を引きました。これは、一本一本線を引く緻密な作業です。
 その為、通常一つの作品を作るのに約2ヶ月かかります。そして、さらに大きいサイズの作品となると3ヶ月かかります。


――特にこだわりの箇所はどこですか?


 顔の表情が変わらない様にする為に、まつ毛一本一本を原画とおなじように再現することです。顔の表情は、少しまつ毛の長さが変わるだけで、雰囲気が変わってしまいます。
 とくに『リボンの騎士』、サファイアの優しい表情が壊れないように細心の注意を払いました。
 そして色の再現性です。ジュエリーは、一つとして同じものがありません。全て違います。そのジュエリーを一つ一つ職人の手で原画により近い色の石を探して貼り付けていきます。これは、とても時間がかかり、根気のいる作業です。


(左)原画 (右)ジュエリー絵画


――手塚治虫ジュエリー絵画ならではの魅力をお聞かせください。


 手塚治虫先生の名作を不朽のジュエリー絵画にて表現させて頂きました。手塚先生の作品は、親から子、子から孫まで読み継がれている人達が多くおられます。
 世代を超えて読み継がれる作品をジュエリー絵画にすることで、おじいちゃんが好きだった『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』などの名作を家で飾ってもらい、ご家族皆さんで楽しんでいただけます。
 そして50年100年と時が経っても色あせることのない絵画を、家代々の宝物にしてもらいたいと思っています。


――ジュエリー絵画への想いを一言お願いします!


 私どもジュエリーカミネは、手塚治虫先生の大ファンです。手塚先生は莫大な作品を描かれていますが、全ての作品には「命の尊さ」というテーマが根底にあります。だから、どの作品を読んでも感動があり、飽きがきません。そのため、世界中の多くの人々の心を打つのだと思います。日本が世界に誇る手塚治虫先生の作品を「ジュエリー絵画」で作製させて頂きとても嬉しく思っています。
 手塚治虫先生のこの「命の尊さ」を「ジュエリー絵画」を通して、日本そして世界の人々に少しでも伝えることが出来れば幸いです。



●ジュエリー絵画監修のポイント

お次は、監修を担当した手塚プロダクション社員より、監修のポイントを聞きました。
手塚キャラクターを再現するため、監修にも並々ならぬ情熱が込められています。


――ズバリ、監修で力を入れた箇所を教えてください。


 一番は、顔の出来です。可愛くあるべきものが可愛く仕上がっていないと、いくら宝石の輝きがすばらしいものであっても、手塚治虫とのコラボレーションの意味がありません。納得のいくまで何度も監修を重ね、ファンの皆さまに親しみのある手塚キャラクターの可愛さを追求しました。
 第一工程となる、板に線画を転写する段階から、細かく修正をお願いしました。ベースとなる主線なので、手塚のタッチが失われていないか、パーツの配置に狂いはないか、キャラクターのまつげや目・鼻など顔のパーツの線は、少しでもずれていると途端に人相が変わってしまうので、特に注意を払って監修しました。


――色彩についてはいかがですか?


 元になった原画は水彩で着色されたものですから、水彩の重なりが生み出す微妙なグラデーションや筆独特のタッチがあります。それらを限られた色のジュエリーでどう再現するかが難しいところですが、そこは先方の職人の方にお任せしました。背景にみられる色の重なりは、砂状に加工したジュエリーを何種か使用、水彩で塗るように何色も重ねて、原画に近い色を出していただきました。


――ジュエリー絵画のみどころを教えてください。


 ベースの線が描かれていない各パーツの影や頬の赤みなどは案内線がなく、影の範囲、赤みの具合といった調節は、職人の方のセンスが肝となっています。ベースは同じですが、職人によって出来上がりにもひとつひとつ違った“味”があります。
 手作りだからこそ、同じものはふたつとない一点ものであるというのもジュエリー絵画の魅力のひとつといえます。


虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」

(左)原画 (右)ジュエリー絵画




●手塚眞トークショー「父、手塚治虫の想い出」

 4月3日には、特別ゲスト・手塚眞によるトークショーが行われました。
 部下は怒れても子どもは怒れない!? 父としての手塚治虫のエピソードをご紹介します。


虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」


 僕が生まれた頃には、手塚治虫はすでにものすごい売れっ子で、あらゆる漫画雑誌で連載を持ち、頻繁に講演活動などに飛びまわったりと寝ている間もないような生活をしており、平均睡眠時間は4時間程でした。
 60歳という若さで亡くなっていますが、普通の人の3倍の仕事量をこなしていたので、そういう意味では、人の3倍生きたとも言えるでしょうね。
 その分、家族との時間は本当に少なかったです。家族よりも、職場の人たちのほうが手塚治虫との思い出がたくさんあるのではと思うぐらいなので、父との思い出を語るのは正直難しいです。家の敷地内で仕事をしているにも関わらず、父と顔を合わせるのは唯一夕食時だけという毎日で、忙しい時期になると夕食時でさえ顔を出さなくなってしまいます。

 そんな忙しい中でも、子どもたちの誕生日などにはレストランで食事をしようと提案してくれたりと、家族サービスをしようと努めてくれましたね。予約までしてくれるのですが、仕事が忙しすぎてなかなか時間通り来れないことが多かったですが……。19時に約束をしていて、良くて20時、下手したら21時とか。これは時間にルーズということではなくて、単純に仕事が終わらなかったんですね。家族も大事だけれど仕事も大事だということも僕ら家族はわかっていますから、来れなくてもしょうがない、となるわけです。でも、本人は家族を悲しませたくないからと、5分でも行くから先に食べていてくれ、と言ってくれました。その5分のために、猛スピードで漫画を描くわけです。皆が一通り食べ終えて、デザートになってやっと父が到着して、大急ぎで食べてみんなで閑談し、30分ほどで仕事に戻ってしまうんです。
 授業参観に行くといっても来れなかったり、家族旅行にも来れなかったことがあります。それを嘘をついたとはいえないですけれど、やはり子どもからみれば「お父さん嘘ついた」ということになってしまうんですよね。それを本人はすごく気にしていたみたいで、次こそはちゃんと約束を守ろうとする誠実な父としての一面がありました。


虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」

マコとルミとチイより。子どもたちから嫌われたくないという治虫お父さんの切なる願いが伝わってくるひとコマ。


 ところがその一方で、非常におっちょこちょいなところもあり、早とちりもあれば思い込みが激しいところもありました。真面目だけどドジを踏んでしまう、これがまた絶妙なバランスなんです。とてもシリアスな場面だったのに、突然現れてそれまでの真面目なシーンを台無しにしてしまうヒョウタンツギというキャラクターがいますが、まさに父本人がそういう感じなんですよ。真面目なことを言って、すごい先生だと思われた直後にドジを踏んでしまう。大事なベレー坊をどこかに置き忘れてしまうこともよくあったそうです。こういうところが愛される先生という理由のひとつだったのかもしれません。

「天才」と呼ばれる人は、厳格であったり、人に干渉しない、クールだとかそういうイメージが一般的にあると思いますが、手塚治虫はそれらの印象とは真逆の人間でした。人が大好きで、誰にでも腰が低くて、いたずら好きで、賑やかなことが大好きで。家中の置物にいたずらをして母に怒られていることもありました。 ですから、愉快で、楽しくて、あたたかいお父さんというイメージが強かったですね。
 どうやら父は、性格的に子どもを怒ることができなかったようです。自分の子どもであっても他人の子どもであっても、子どもが大好きだから怒れない。仕事場に子どもたちが入って遊びだしてしまったときは、決して直接子どもを怒らず、他の部屋へ連れて行ってくれないか、と母に頼んでいたようです。

 そんな父に1度だけ怒られたことがあります。父の古い貴重な単行本を持ち出して、ページの隅に落書きをしていたら、「全部消しなさい、こんなところに描いたらだめだ」と一喝されました。ほかにも描いていないかと問われたときに、怖かったので思わずこれ一冊だけです、と答えてしまったのですが、実はもう一冊にも落書きをしていたんです。後にそれが見つかってしまった時に「マコ、嘘ついたね。」とニコニコと優しく言われました。すごい剣幕で怒られるよりも、怖かったのをよく覚えています。これが唯一怒られた思い出です。


虫ん坊 2016年5月号 特集1:手塚治虫ジュエリー絵画をご紹介!&手塚眞トークショー「父、手塚治虫の思い出」

自分の部下にはよく怒鳴り散らしたり、しょっちゅうヒステリーを起こしていたという手塚先生ですが、やっぱり子どもはうまく叱れないようです。


 誰にでも腰が低かったと言われていますが、かといって決して諂っているということではなく、人に対してとても優しくて、そしてものすごく気を遣うんですよね。自分がこう言ったら相手はどう思うか、面白がってくれているかな、悲しませていないか、ということをとても気にかける人だったのです。ものすごく人の心にデリケートに接し、理解しようという人だからこそ、ああいう作品が描けるんですよね。
 手塚治虫の漫画といえば、「命」「宇宙」「科学」などと壮大なテーマを想像するかもしれませんが、それ以前に「人の心」を常に根源として描き、そこに「命の尊さ」「科学」といったことを乗せて作品が完成されているのです。人の心を理解しようとする、そういう姿勢が描かれていることが、手塚治虫の漫画が長く親しまれるなによりの秘密であると思います。本人がそれだけ寛大な、それこそブッダのような心の持ち主だったんです。 だから僕は、父を「優しい天才」と呼んでいます。


●ジュエリー絵画について一言

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 漫画のキャラクターをジュエリーで表現するというのは、世界でもあまり例のない試みです。ジュエリー絵画は手塚治虫本人の原画を使っており、本人のタッチを残した状態で仕上げていただいています。とても珍しく、世界に通用するアートだと思います。 
 日本の漫画は、世界ではまだまだ一部の人にしか知られていません。 こうして漫画をアートとして世界にアプローチしていくのは、多くの人が日本の漫画に興味を持つきっかけになるのではないかと思います。



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