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虫ん坊 2014年8月号 特集2:手塚タイトルがコントに!? お笑い芸人 ツィンテル インタビュー!

 7月16日にTezukaOsamu.netで突如公開された「ブラック・ジャンク」は皆さん、もうご覧になりましたか??
 名づけて「空想コミックバラエティ」! 若手お笑い芸人・ツィンテルのお2人に、手塚マンガのタイトルからコントを考え、披露してもらう、という番組です。
 30代のお2人、マンガにはそこそこ詳しいものの、さすがに160タイトル400巻(全集ベース)もあるタイトルを見ると、知らないものもかなりあるそうですが…??
 手塚プロ本社で某日行われた「ブラック・ジャンク」収録前に時間をいただいて、ツィンテル 勢登 健雄さん、倉沢 学さんにまずはお話を聞きました!

 関連情報

「ブラック・ジャンク」

マセキ芸能社・ツィンテルプロフィール

Twitter:

勢登さん

倉沢さん



●「ブラック・ジャンク!?」

ツィンテル 勢登健雄さん(左)、倉沢学さん(右)

――最近、テレビを見ていると、結構芸人さんがマンガにリスペクトしていらっしゃったり、紹介してくださったり、ということがありますよね。こないだは『しゃべくり007』で名倉潤さんが『きりひと讃歌』を紹介してくださったり。

倉沢学さん(以下、倉沢): 芸人は結構、マンガが好きな人たくさんいますよ。

勢登健雄さん(以下、勢登): ぼくも『ブラック・ジャック』は全巻家にそろってます。あんまり、単行本は集めないんですけどね。手塚先生の作品って、手元において何度も読み返したくなるじゃないですか。『ブラック・ジャック』はまさにそういう感じで。


――『ブラック・ジャック』の読者が増えますね! ……でも、実は結構ご存じないタイトルがいっぱい、あるそうですよね。

勢登: 企画のはじめに、全作品のリストを見せていただいたんですけど、こんなにいっぱいタイトルがあるなんて思いませんでしたね。改めてすごいな、と思いました。

――実は、倉沢さんには少し前から手塚プロダクションにバイトに来ていただいているんですよね。そのご縁で、今回の企画が立ち上がった、と聞いてます。

倉沢: そうなんですよ。でも、バイトに入っていると言っても、仕事ですから、業務中にマンガを読むことはあんまりないですよね…。企画については手塚プロから「せっかくのご縁だし、なにか作品をレコメンドするようなご協力をいただけないか」というような感じでお話をいただきましたが、ほんとに僕たちがやってもいいのか、とはじめは思いました。畏れ多い、というか、怒られるんじゃないか、と。熱愛されているファンの方も多いと思いますし。


「ブラック・ジャンク」のトークの撮影は手塚プロダクション内で行われます。撮影は小島フェニックスさん(右)

――それほど手塚マニアじゃない方の目線がいいんだとおもいます。

倉沢: もちろん、やるんだったらリスペクトをこめてやろう、ということで、お話をいただいた後で作家や構成の人間に相談してみたら、5人で俳優をやっていたころの仲間でもあり、いまは単独ライブの演出なんかもやってもらっている小島フェニックスから今の形に近い企画案が出てきました。そのあと、パイロット版を作ってみて、手塚プロの方に見てもらって、いいんじゃないか、ということになりまして、今の形になりました。

――前後にトークもついていて、短いバラエティ番組に仕上がっていますね。コントがやっぱりメインで。

勢登: やっぱり僕らの得意であるコントがやりたい、というのがあって。初めは、作品の内容にあわせた形というのもアイディアはあったのですが、そうするとキャラクターを演じなくちゃならなかったり、ストーリーをふまえなくちゃならなかったりするので、もっと自由に、「タイトルからの印象」だけでやろう、となりました。


お題を与えられて、「うーん… なんだろう…」

――先ほど、リストをご覧になった、という話もありましたが、やっぱり、面白そうなタイトルを選んでいらっしゃるんでしょうか?

勢登: ぱっと見じゃ、正直、どんな話だか分からない、っていうのもたくさんありましたね。第1回の「0マン」とか、まさにそうです。

倉沢: タイトルだけじゃあの内容は想像できませんよね。いちばん「これは分からんね」となったやつは「上を下へのジレッタ」です。なにが上を下へなのか、ジレッタってなんなんだ? と。これもいずれやりたいですね。

勢登: 最近のマンガは、タイトルで読みたい気持ちにさせるのがかなり計算されていて、タイトルを見たらなんとなく内容が分かるようになってる作品も多いじゃないですか。手塚先生はそういうのあまりお考えじゃなかったのか、タイトルだけだとけっこう「なんだ?」ってなるようなものが多いので、難しいですけど、面白いですね。


●「0マン!」

――で、「0マン」ですが。

勢登: あのネタはタイトル一発ですぐぱっ、と浮かびました。「なにもないやつ」というアイディアから、じゃ、何がないんだ、というふうに倉沢と製作スタッフとでどんどん連想していって、取捨選択をして、ああいうふうに落ち着いた、という。

――収録はどれぐらいの時間でやるんですか?

倉沢: ネタによりますが、「0マン」は7、8回リテイクしました。ライブ感を出したいので、編集とかはしないので、NGなら頭からやり直しです。

勢登: 撮ってる小島が笑っちゃったりとかもありましたけど、だいたい、テンポが気になるとか、言いにくかったり、分かりにくかったりするセリフを変えたり、というような感じで何度か撮りなおしましたね。
 結構作っている間は真剣勝負で、険悪なムードになったりすることもありますよ。


マンガを熱心に確認する倉沢さん、あえて読まない勢登さん。

――笑いを作るにも戦いはあるんですね……。ところでコメントでは、倉沢さんも「0マン」について「知らなかったですね」とおっしゃっていましたが、ホントに知らなかったんですか?

倉沢: 本当です! お題に選んだあともあえて先入観を入れないように、読まないようにしました。実は次の作品は結構メジャーなタイトルで、ぼくらもはじめから予備知識があったし、内容も知っていたので、逆にどうしようか、考えましたね。結局、タイトルの音の響きだけでネタに持っていった感じです。

――その後、「0マン」は読んで見ましたか?

倉沢: ぼくは読みました。

勢登: ぼくは…読んでません(笑)。読んでみます!


――連載当時のメイン読者は多分小学生だったんだろうと思いますが、連載は1959年ですから、読んでた人は今65歳ぐらいですよね。

勢登: そんなになるんですか!

倉沢: 小学生向けにしてはけっこう、難しい内容ですよね。スケールが大きいし、人種問題を彷彿とさせるところがあったりとか、革命のシーンがあったりしますし。

勢登: 手塚先生の作品って、どんな作品にも必ずしっかりとしたメッセージがこめられてますよね。イラストが可愛いから子どもにもとっつき安そうに見えるけど、ふたを開けてみると深い、というか。

――勢登さんはリッキーの可愛さにすごく食いついてましたね。

勢登: 可愛いですよ。可愛いキャラ、良いですよね!


●手塚治虫のギャグはシュール!

――先日、お2人の第五回単独ライブ「FAKE」も拝見したんですが、SFネタとか、パロディネタが結構入ってましたね。ジブリのとか…。「ブラック・ジャンク」以前からそういう方向性はあったのでしょうか。

倉沢: そうですね。一時期、マンガやアニメの「あるある」ネタにこだわっていたことがあって、話題になったり、問題作、と言われた作品はチェックしてました。
 「FAKE」で新作として出したコントの中に、時間が何度も戻るネタがありますが、あれはちょっと前に流行っていた「涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメから発想しました。
 主人公の女の子が、夏休みがずっと終わってほしくない、と思ったことから、8月が何度も繰り返される、っていう…。
 当時ネットで話題になっていたので、原作を見て、これはコントになりそうだな、と。

――SFネタは結構お好きなんでしょうか。

倉沢: けっこう好きです。手塚先生はSFマンガのパイオニアでもありますよね。


――お2人はお仕事以外の娯楽で、マンガやアニメ、映画をご覧になるんですか?

勢登: 倉沢よりもぼくのほうがマンガ好きかもしれないですね。映画も好きです。作り手のエゴが出ているような、偏った作品が好きですね。マニアックな作品がけっこう好きで。

――倉沢さんは映画のシーンの完全コピーが特技、とプロフィールにありますよね。

倉沢: 映画は好きですね。仕事のために見る、というようなこともありますが、単純に好きで見ることも多いです。


――お2人の笑いは、大人向けというか、マンガやアニメのみならず、いろんな予備知識がある人の方が楽しめる笑いのように思ったのですが…。

倉沢: 以前は、時事ネタやそういう、ある世代にしか分からない、というようなネタは避けようと思っていたんです。どの世代が見ても笑えるようにしたり、もっというと、外国人が見ても笑えるような普遍的なネタを考えたりしていたんですよ。結婚式とか、お化けとか。どこの国でもあるようなものですよね。でも、ある時期から自分たちが共感できたものについては、取り入れてもいいんじゃないかなと思うようになって。まずは、やっている僕らが楽しめれば良いや、というふうになりました。

勢登: ストーリーには必ず、「王道パターン」みたいなものがあるじゃないですか。子どもの頃に見ていたアニメだったり、マンガだったりから「こういうのが王道だ」というのが出来上がって、いつしかみんなの共通認識になっていますね。それをずらすことで笑いが生み出せるじゃないですか。
 マンガそのものも、誰もが共感できるようにストーリーや表現が練り上げられていますから、そういう意味でもすごく参考になりますね。手塚先生なんて、王道中の王道ですから、とても勉強になりますね。


――マンガの表現方法の基礎を築いた人、という感じですよね。…ところで、手塚治虫のギャグについては、どう思いますか? ギャグを生業にされる方としては…

勢登: シュール、ですよね! 意味もなくヒョウタンツギを出したりとか、慣れるまで時間がかかりましたね…。『ブラック・ジャック』みたいなまじめなマンガでも出てくるから、正直結構戸惑いはありますね。

倉沢: 手塚先生にもギャグマンガってあるんですかね?


――ありますね。……大人向けの風刺漫画、みたいなやつとか。

倉沢: へええ! ちょっと読んでみたいですね!

勢登: でもきっと、メッセージ性はあるんでしょうね。

――まさにそうですね!


●「いつかは当てたい!」

服を変えて、「ブラック・ジャンク」別の回のショット。スケジュールの関係で、2回分を一気にとりました。

――手塚ファンが多く見ていると思いますが、今後はこの動画から、新規の手塚ファンが増えたらいいな、と思います。

倉沢: 手塚ファンにとってはもどかしいようなコントかも知れませんが、僕らのコントはコバカにしながら楽しんでいただければうれしいです。また、僕らのファンで居てくださる方たちには、ぜひこれを機会に、手塚作品に興味をもっていただき、読んでいただければと思います。

勢登: 若い人たちとか、マンガにあんまり興味がない人にも、ぜひ見てもらいたいです! 何回続けられるか分かりませんが…。


――そんなことをおっしゃらず、ぜひ全集収録の160タイトルは制覇していただきたいです。

倉沢: 一度くらいは考えたコントで内容を当てに行きたいですね。ぜんぜん知らない作品のコントから、セリフなのか、ストーリーなのか、作品にこめられたメッセージなのか、なにかが当たればぼくとしては「やった!」ってなりますね。

――じゃ、それまではあえて作品は読まないでおいたほうがいいかもしれませんね。今後の更新もよろしくおねがいします!




 「ブラック・ジャンク」は次回は8月1日更新です! 次はいったい、どの作品が登場するのか!? 今後もツィンテルの心の琴線に触れた手塚タイトルが続々登場しますよ!! お楽しみに♪
 ツィンテルのお2人の近日のスケジュールは、マセキ芸能社のWEBサイトからご確認ください。


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