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虫ん坊 2013年5月号 特集1:『ブラック・ジャック創作秘話 〜手塚治虫の仕事場から〜』3巻発売記念! 漫画 吉本浩二さん・原作 宮崎克さんインタビュー!

『ブラック・ジャック』の時代を中心に、手塚治虫の仕事ぶりや周辺の人々の悲喜こもごもを描いたノンフィクション漫画『ブラック・ジャック創作秘話 〜手塚治虫の仕事場から〜』。伝記的な手塚治虫伝ではなく、どこかほのぼのした吉本浩二さんの絵柄と、インタビューなどの取材に基づいた宮崎克さんの原作で描かれるイキイキとした手塚先生の姿が印象的です。初めは一話完結の予定だったというこの作品も、4月8日に第3巻が発売され、ますます勢いに乗っています! 一昨年の手塚治虫ファン大会では、ゲストとしてトークショーも開催されましたので、そちらをご記憶のかたも多いのでは。
 今月の虫ん坊では、改めてお二人にインタビューし、『ブラック・ジャック創作秘話』創作秘話を聞き出したいと思います!

 関連情報:

秋田書店

『ブラック・ジャック創作秘話 〜手塚治虫の仕事場から〜』 第3巻


吉本浩二さんインタビュー 宮崎克さんインタビュー



●『ブラック・ジャック創作秘話』について

マンガ家の先生も多く登場する『ブラック・ジャック創作秘話』。なかでもわたべ先生のこのお話はジーンとします。

――宮崎先生が原作を手がけることになった経緯を教えて下さい。

宮崎克さん(以下、宮崎): 「ブラック・ジャック」の特集で「創作の実話を描かないか?」という編集部の企画で、原作依頼を受けました。

――初めてお仕事のお話を聞かれた際には、どのように思いましたか? 伺うところ、「短編は苦手、ノンフィクションは売れるとは思わなかった」とのことですが…

宮崎: 「ノンフィクションは難しい」というのが本音です。嘘をつくのが上手いから作家になったのに嘘がつけないわけですから(笑)。

――第1回の原作を書かれた後、どんな心境でしたか?

宮崎: 最初は読み切り一話だけの予定でした。ただ取材した方々が、熱っぽく語って下さるので、一話だけでは書ききれず、もう一話書かせて欲しいと、編集長に頼みました。


“口の堅い”編集者・青木和夫さん。

――取材中のエピソードで、印象的なことはありましたか?

宮崎: 取材に応じてくれた方が、みんな熱心に語ってくれるのにまず驚きました。クールな印象がある漫画家先生が時に涙ぐんで語った時は、こちらもグッときました。

――どなたにインタビューした時が一番もりあがりましたか?

宮崎: 皆さん本当に熱心に語ってくれましたよ! 手塚先生のテンションの高さ、カリスマ性が、死してなお残っているという感じです。

――また、話を引き出すのが難しかったのは、どなたの時でしたか?

宮崎: 秋田書店(チャンピオン)の青木さん!(笑)。
 昔気質の編集者は、内幕を暴露するものじゃない、編集者は黒子で語ってはいけない。そんな気質を持っている気がします。

――インタビュー以外にはどのような取材をされましたか?

宮崎: 手塚治虫の評論。そして作品も読み返しました。中には子供の頃に読んだもので懐かしくもおもしろく、参考資料として読んでいるのに、つい「読者」になってしまったことも多かったです。


――事情があって泣く泣く採用しなかったエピソードはありますか?

宮崎: 「これは描いちゃダメだけど」「ここだけの話だけど」と前置きして語る話のほうが面白く、泣く泣く採用しなかったエピソードは多いですよ。

――吉本先生とはどういうコミュニケーションを取られていましたか? ことに絵柄を褒めていらっしゃいましたが、その他に吉本先生でよかった、と思ったことはありますか?

宮崎: 吉本先生も一緒に取材しましたので、コミュニケーションはよかったです。
 吉本先生が描くことに決まったのは担当氏の強い推薦があったからで、最初はノンフィクションなのにリアルでない絵柄には、僕は疑問でした。けれど、一話目のネームを読んだ時、非常に面白く、吉本先生でよかったと思いました!

――『ブラック・ジャック創作秘話』のお仕事を手がけることで、「糧」になったことはありますか?

宮崎: 「神様」でさえこれだけ努力してるんだから、「人間」の僕はもっと頑張らなくては、と思いました! 本当にこれが実感です。


●宮崎先生ご自身について

新潟ゆかりのマンガ家と言えば、赤塚不二夫先生。『ブラック・ジャック創作秘話』にも登場しています。

――小説家を目指され、ミステリがお好きと伺いましたが、現在のお仕事に役に立っているな、と思っている子供の頃や学生の頃の趣味や習慣はなんですか?

宮崎: やはり読書。そしてジャンルは関係なく総ての創作作品を楽しむことではないでしょうか。

――マンガ原作者をしていて、楽しいな、と思うことは?

宮崎: 漫画は発行部数が多く、電車の中や外で読まれることも多いので自分が書いた作品を読まれているのを見かけた時、率直に嬉しい気持ちになります。

――小説を書きたいな、というお気持ちはありますか? 今後マンガ原作以外のお仕事の予定はありますか?

宮崎: 実は、小説は数冊書いています(あまり売れませんでしたが)。
 クリエーティブな仕事現場にかかわっていることが楽しいので、ジャンルはあまり関係ないと思います。ただ、時々「アンカー」である漫画家さんを羨ましいと思う時がありますが。

――面白いお話を思いつくために、日頃習慣にされていることはなにかありますか?

宮崎: クリエーターにとっては、目に映るもの耳に入ってくるものなど、五感で感じること総てがメッセージだと思います。

――ご出身でもあり、現在もお住まいのある新潟の一番いい所もしくは魅力を教えてください。

宮崎: 雪が降ることです。野球少年だった頃は、雪が降り積もって野球ができなくなって、退屈なのでしかたなく渋々嫌々(笑)、読書をする習慣が身についたので。新潟出身のマンガ家が多いのは、降雪量と無関係ではない気がします。


●手塚治虫に関する印象について

『ザ・クレーター』表紙

――手塚治虫作品との初めての出会いは何時頃でしたか?

宮崎: 「鉄腕アトム」のアニメ! 小学校の時、マーブルチョコレートに入っていたアトムシールを集めるのが流行って、下敷きなどの文房具にやたら貼り付けるので、学校で禁止になったのを覚えています。僕はいまでもアトムの絵を描けます(小学校レベルですが)。手の記憶というのは忘れないものですね!

――初めて読んだ作品の、その時の印象はどのようなものでしたか?

宮崎: 市立図書館で読んだ「ザ・クレーター」だと思います。
 怖くて、今でもよく覚えています。

――手塚作品で一番好きな作品はなんですか?

宮崎: よく受ける質問ですが、その時々で答が違います。今は「ブラック・ジャック」と答えていますが(笑)、「火の鳥」と答えたり「ブッダ」と答えた時もありました。その時々で全部、本心です!逆にいうと、何と答えても本心が入るところが、手塚治虫の偉大さではないでしょうか。


――リメイクでまんがシナリオを、ともし企画が持ち上がったら、どれを一番手がけてみたいですか?

宮崎: 良いお手本がたくさんあるので、リメイクしやすさは「ブラック・ジャック」だと思います。
 また、当時マネージャーだった松谷さんが、手塚先生から「火の鳥」の構想を聞いています。その話を伺っているので、続きを書いてみたいと夢想するのは、「火の鳥」!!
 でも、小心者の僕はいざとなったらどちらも書けないと思います。それは神の領域ですから!!


(C)Masaru Miyzaki/Koji Yoshimoto 2013




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