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虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!

虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!

潮出版社から5月20日、発売されるコンビニ向け単行本・カジュアルワイド『ブッダ』2巻に、現在大人気の"聖人コメディ"、『聖(セイント)☆おにいさん』の作者、中村光さんのインタビューが掲載されるとのこと!
虫ん坊では、そのインタビュー現場に潜入、そのもようと、掲載インタビューには載らなかったこぼれ話などをご紹介いたします!


関連情報:

虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!

潮出版社 カジュアルワイド『ブッダ』発売
中村光さんインタビューは5月20日発売の2巻末に収録されています!


中村 光なかむら ひかるさんプロフィール】

虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!

1984年4月21日生まれ、静岡県出身。血液型O型。2001年「月刊ガンガンWING」から『海里の陶』でデビュー。そして02年、デビュー作を含めたコメディ短編集『中村工房』が発売される。04年より電波系ラブコメディ『荒川アンダー ザ ブリッジ』を「ヤングガンガン」で連載!

06年からは『聖☆おにいさん』をモーニング増刊「モーニング・ツー」で連載開始し、新たなジャンルを拓く。


【刊行中の単行本】
『聖☆おにいさん』1〜6巻(以下続刊・講談社)
『荒川アンダー ザ ブリッジ』1〜11巻(以下続刊・SQUARE ENIX)
『中村工房』全3巻(SQUARE ENIX)



◎ 実は手塚治虫とは浅からぬ縁が

虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!

 2009年の手塚治虫文化賞を受賞するなど、最近大注目のマンガ家の一人である、中村光さん。『聖☆おにいさん』では、主人公の一人、『ブッダ』が下界で『ブッダ』を読んだことがきっかけで、手塚作品にはまってしまうエピソードが印象的です。
 手塚文化賞のスピーチでも、「ブッダも喜んでくれていると思います!」とおっしゃっていた中村さんに、手塚治虫作品について伺いました。


―― 手塚作品との出会いはいつでしたか?

中村:小学校の低学年のころ、家のトイレに置いてあった『ブッダ』を何冊か読んだのが初めです。小学校の図書館に手塚治虫作品がたくさん置いてあって。『アドルフに告ぐ』とか『奇子』とかも、読みました。

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―― 手塚作品で、『ブッダ』以外にお好きなものはなんですか?

中村:『火の鳥』は印象に残っています。女性が植物に変身してしまう「宇宙編」は、怖い話だな、と思って、忘れられない作品です。
 怖い話は忘れられなくなってしまうために、何度も確認したくなっちゃうんです。それでさらに忘れられなくなるんです。「どうしてあんなに怖いことになったんだろう!?」ってふと思い出して、作品を確認すると、経緯もものすごく怖かったりして……。
 怖い話が特別好き、というわけではないのですが、怖いゆえに何度も確認して、忘れられなくなる、という感じです。


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―― 手塚治虫の作品は、たくさん読んでいますか?

中村:小学校の図書館にあった作品は全部読みました。あと、友達の家で、書庫がある家があって、そこに全部手塚作品がそろっていて。友達の家に行くたびに、書庫にこもって読みふけっていたので、かなり読んでいると思います。
 手塚作品って、装丁もカッコいいじゃないですか。秋田文庫の『ブラック・ジャック』とか、リアルな絵が使われていて、あのシリーズは好きです。


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 『ブラック・ジャック』を初めて読んだときは、短編映画みたいだな、と思いました。タイトルからして、ミステリーの小説みたいな、おしゃれなタイトルだったりとか。タイトルの意味が作品の最後に分かったりして。一話一話、学校の休み時間に読んでいたので、いつも「はやくもう一話読みたい!」って思っていました。
  ああいう短編が描ける漫画家にあこがれていました。手塚先生以外では、星野之宣ほしのゆきのぶさんとか。短編でしっかりまとまっていて、海外の小説みたいな形になっているのには、あこがれました。


◎ 愉快な中村さん一家

 『聖☆おにいさん』で、ほんわかした平和な雰囲気を描き出す中村さん。家族の仲がとっても良いことも、作品に影響を与えているそうです。
 デザインや陶芸、仏画などを手がけるお父さんを始め、家族みんながマンガ好き、というのもうらやましい家族です。ご家族のお話を伺いました。


―― 『ブッダ』は家の蔵書で読まれた、ということですが。

中村:『ブッダ』はもともと、兄の蔵書だったんです。私の家族では、マンガを買う"担当"があって。兄は、古い作品の担当なんですよ。あと、星野之宣さんとか。


―― 中村さんは、かわぐちかいじさんのファンでもある、と伺いましたが。

中村:それも、兄の影響があるのかも知れません。私の家族は、母と姉と私が三人で、女性のほうが人数が多かったので、兄は私を男性側に引き入れたかったのかな? と。
 私が、男性的な作品を好きだ、ということが分かってからというもの、そういうものばっかり貸してくれたりして、私に読ませたりして。兄と話すときは、男っぽい言葉遣いになってしまうのですが、そういうのもすべて、兄のせいだと思いますね(笑)。


―― 『聖☆おにいさん』のブッダやイエスは、草食系というか、心優しい感じですが。

中村:家族の男性陣が、わりとそんな感じなんです。父も、兄もそうです。おしゃべりでずっとキャッキャしてられるタイプ、というか。
 男らしいものももちろん、好きなんですけど、男らしい話をしながら「すごくかっこいいよね!」とかいえる男性なので……(笑)。姉の旦那さんもそういう感じですね。


―― 『聖☆おにいさん』のブッダやイエスにも、モデルはいるんですか?

中村:イエスは父に似ていますね。体型や髪型が特に。父はむかしヒッピーだったので、若いころの父のイメージです。
 父はいまでこそ落ち着いていますが、昔はちょっとやんちゃな人だったようです。ビートルズが好きで、イギリスまで入って、あの有名な横断歩道で一人で写真を撮ってきて「おれ、ビートルズになれた!」とか言ってポストカード作ってみたり。


―― イエスがろくろセットを買ってしまう、というエピソードがありますが、あれはやはり、陶芸もするお父さんのイメージですか?

中村:いえ、あれは確か、テレビでろくろセットを買って、持っている人たちを紹介している番組があったんです。「釜がついていて、家でも焼けるんですよ!」って言ってたりして。
 うちには大きい穴釜があるので、そこまでしてろくろを引きたい気持ちがよく分からなくって、「なんでそんなに?」って思ったんですよ。
 その後、気になって、ろくろセットについてインターネットで調べてみたら、それを持っている人のブログなんかがみつかって。作品をアップしたりとかしているのを読んで、それがエピソードになったんです。

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―― では、ブッダのシルクスクリーンも、そういう感じですか?

中村:シルクスクリーンは、私が中学生のころ、美術部でやっていたんです。何回かやったんですけれども、すごく地味で面倒な作業で。ブッダってそういうの好きそうだな、と思って。
 ブッダはTシャツに文字をプリントしてますが、私も着ちゃってたんですよね。作っちゃうと着ちゃうんですよね。冷静に見ると変なのに……。


―― 観察眼が鋭いのは、やはり末っ子だからでしょうか?

中村:それはよく言われます。姉や兄の様子を見ていて、「あれは危険だからやめておこう」とか学びました。観察眼というか、へまをしないように勉強をしている、という感じでした。


―― 教会やお寺に行かれるのは、ご家族の影響があったりしますか?

中村:父が仏画や陶器を作るので、父の知り合いに住職の方が多い、というのはあります。そんな方々から、花祭りの時に「手伝いに来て」って言われて、いろいろな手伝いをさせてもらったりして。私自身、信心深いほうだとは思います。
 実家の近くにある中禅寺とか、奈良の興福寺にはよく行きました。お寺におまいりに、というよりも、行事に呼んでもらって、茶飯をいただいたり、甘茶をいただいたりして帰る、っていうのが、幼いころの記憶として残っています。


◎ 手塚『ブッダ』の面白いところは?

 手塚治虫の『ブッダ』には、『聖☆おにいさん』のブッダを描く際に、かなり影響を受けている、と語る中村さん。ブッダの気品のある美貌も、手塚版のイメージだとか。他にもアナンダやマーラ、スジャータなど、手塚版『ブッダ』でもキーパーソンとなるキャラクターたちがまた違った形で登場しています。好きなシーンや、キャラクターについても伺いました。

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―― 『ブッダ』の中で好きなキャラクターは誰ですか?

中村:一番はやはりブッダです! 他では、ミゲーラは好きですね。カッコいいな、と思います。初めて読んだ小さいころは、怖いな、と思っていたんですが。
 私がブッダを大好きなので、なんとなく、タッタやアナンダといった、ブッダのことが大好きなキャラクターたちの目線で、読んでいると思います。


―― 『聖☆おにいさん』では手塚治虫版『ブッダ』と違うところもありますね。たとえば、悪魔・マーラが男性だったりとか。

虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!

中村:手塚先生は『ブッダ』に躊躇なくお色気の要素を入れてきていますよね。ミゲーラとの初恋や、ヤショダラ姫とか。マーラもセクシーな女性にしていますが、私はギャグ作品ということもありますし、なんとなくお色気の要素を扱うのは難しいな、と思ったので、マーラを男性にしてしまったんです。
 『聖☆おにいさん』では、なるべく、女性のキャラクターは出さないようにしています。ヤショダラ姫とか、マグダラのマリアとかは、出したくないわけではないのですが、イメージがしにくいですね。
 マンガを読むときもそうですが、せっかくファンになった男性に、ヒロインみたいな女の子がくっついている、と思うと、ぜんぜん楽しくないんですよね。だから自分のマンガでも、女性キャラはなるべく出したくない、というか。


◎ さいごに

 ギャグマンガ・『聖☆おにいさん』でブレイクした中村さん。シリアス作品もギャグ作品も描かれますが、特にハイブロウなギャグセンスが光っています。
 そんな中村さんに、手塚治虫のギャグについて、伺いました。


―― 手塚治虫のマンガで「面白いな」と思うところはありますか?

中村:手塚先生の独特な描き文字が印象的です。どの作品だったかは忘れましたが、軍隊がわーっと迫ってくるシリアスなシーンに、さりげなくへんな描き文字がまぎらせてあったりとか。群集のシーンもそうですよね。ストーリー上ではあくまでまじめなシーンなのに、すみっこのほうで変なことを言っていたりとか。たぶん、笑わせようとしてるんだろうな、って。ああいうところが面白いな、って思います。

虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!

虫ん坊 2011年6月号 特集2:潮出版社カジュアルワイド『ブッダ』発売記念!「聖☆おにいさん」 中村光さんインタビュー!


 シリアスなシーンに限って、ヒョウタンツギが出てきたり、とか。小さい頃は、ああいうことはやってほしくないな、せっかく、かっこよかったのに、って思っていましたが、今は「手塚先生もやんちゃしていらっしゃったんだな」って思えて、好きなところです。
 あと、わざと読者にばれないように、隠すようにして変なネタが描いてあるのなんかに気づくと、すごくうれしいです。


「アナンダとブッダの関係」のように手塚先生をリスペクトしています、と語ってくれた中村さん。今後の新作も楽しみにしています!


―― 今回は、お忙しいところありがとうございました!


©中村光/講談社




【参考情報!】


 中村光さんのインタビューが収録された、カジュアルワイド『ブッダ』2巻は、5月20日、全国コンビニエンスストア等で発売です!
 1巻は映画『手塚治虫のブッダ ―赤い砂漠よ! 美しく―』森下監督のインタビューも掲載!



<関連リンク>

潮出版 カジュアルワイド版『ブッダ』商品ページ
http://www.usio.co.jp/html/buddha/index.html


中村光さん オフィシャルサイト
http://www.nakamurahikaru.com/


『聖☆おにいさん』オフィシャルサイト(講談社)
http://morningmanga.com/lineup/25

 





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