手塚治虫がマンガについて熱く綴ったエッセイが集められています。人間のやさしさを持ったロボット、アトムというキャラクターを生み出すまでのいきさつはとても興味深い一文ですし、手塚治虫流のマンガの描き方(アイデアからシナリオの作成、キャラクターの配役と続く手順など、まるで映画かお芝居を作るかのような手順なのだ、ということ)など、これから漫画家を志す人たちにとっては大いに参考になる文章ではないでしょうか。また『バンパイア』の連載をはじめた頃、「駄作だ!」という非難が巻き起こったことに対する「手塚マンガはこれからどこを目指して行くのか」といった決意表明の一文など、とても読み応えがあります。また『のらくろ』や横山光輝とか松本零士とか大友克洋といった同業者たちについて語った文章などもマンガファンには無視できない文章でしょう。
(本書は大和書房より刊行された『手塚治虫ランド』(1977年)、『手塚治虫ランド2』、マガジンハウスより刊行された『手塚治虫大全1』(1993年)をもとに再編纂されたものです)