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虫ん坊 2011年3月号 特集1:“Tezuka Characters by O-Jirou” イラストレーター おーじろうさんインタビュー

虫ん坊 2011年3月号 特集1:“Tezuka Characters by O-Jirou” イラストレーター おーじろうさんインタビュー

大きな頭と目玉がインパクトあるデザインにデフォルメされた、手塚キャラクター商品『ムギュムギュボール』が、1月下旬に発売になりました!
デフォルメキャラクターをデザインしたのは、イラストレーターのおーじろうさん。『チビかわいい』をコンセプトにしたキャラクターを制作し、さまざまな媒体で活躍しています。
今月の『虫ん坊』では、この“Tezuka Characters by O-Jirou”について、インタビューしました! おーじろうさんの意外な経歴も明らかに…!!



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● 小さい頃から、マンガが大好きでした

虫ん坊 2011年3月号 特集1:“Tezuka Characters by O-Jirou” イラストレーター おーじろうさんインタビュー

 幼いころからマンガが大好きで、大人になった今でも、たくさんのマンガを読んでいます、というおーじろうさん。


「いまでも、ジャンルを問わずにいろいろなマンガを読んでいますね。根っからのマンガっ子なので、マンガの神様、ともいえる手塚先生とコラボレーションができるなんて、夢みたいな感じです」
  と語るおーじろうさん。読んでいる漫画は古今東西老若男女ここんとうざいろうにゃくなんにょ問わず、というから、相当なマンガ好きとお見受けします。


 手塚治虫作品に初めて出会ったのは、小学生のころで、5つ上のお兄さんの蔵書がきっかけ。


「まず初めにハマったのは、『ブラック・ジャック』だったと思います。あとは『三つ目がとおる』とか。ワルの魅力じゃないですけど、ダーク・ヒーローが好きで」


 一見、冷たそうに見えるブラック・ジャックが意外と人情家だったり、普段は絆創膏ばんそうこうで三つ目を隠している写楽が、絆創膏が取れた瞬間、天才的な悪のヒーローに変身したり。手塚作品の、意表をつくような展開や設定にわくわくしました。


虫ん坊 2011年3月号 特集1:“Tezuka Characters by O-Jirou” イラストレーター おーじろうさんインタビュー

 手塚治虫のキャラクターとのコラボレーションがきまったきっかけは、なんだったのでしょうか?


「昨年、『東京国際アニメフェア』というイベントに出展をしていたんです。そこで、手塚プロダクションの方にご挨拶させていただいて。後日、自分で企画を作って持ち込んだら、お話が進んでいった感じです」


 それ以前にも、おーじろうさんは、日本動画協会が運営していたキャラクター作品投稿サイト『OPEN POST』に作品を投稿していました。


 大好きな『三つ目がとおる』の写楽をデザインしたTシャツデザインが、「100Tプロジェクト」という企画の一枚に選ばれ、商品化されたことも! このころから“Tezuka Characters by O-Jirou”のデザインのコンセプトにちかいデザインが描かれていたんですね。


● 手塚作品の魅力はここ!

 率直に、おーじろうさんにとっての手塚作品の魅力について、聞きました。

「やっぱり、タイトルや表紙の絵からは想像もできないような、いい意味での『期待を裏切る』展開です! キャラクターはもちろん魅力的で、ビジュアルも考え抜かれた、親しみやすい感じなのに、哲学的だったり、深いテーマを扱ったり、当時の社会や世相せそう風刺ふうししていたり……。よく言われますけど、今のいろんなマンガのベースとなる表現がつまっていて、やっぱりすごいと思いますね」

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『ビッグX』扉絵より。鋼鉄のようにタフで、ビルよりも大きな体を手に入れることが出来る薬『ビッグX』を巡る活劇もの

 最近はまっているのは、『ビッグX』。コラボがきまってからというもの、手塚作品のまだ読んだことのないものをひとつずつ読んでみてるそうですが、最近であって一番のヒットだったとか。


「初め僕は、表紙の絵から、ヒーローがひたすらさまざまな敵を倒していくような割とシンプルな話だと思ってたんです。でも、ぜんぜん違っていました。もっとぜんぜんシリアスな話で、政治的な風刺も入っていて。そうかと思うと、ミサイルを基地から大根のように引き抜いたり、戦車を両脇に抱えて武器にしたり、みたいな笑える場面も出てくるバランス感覚がすごいですよね」


 そんな手塚キャラクターをデフォルメしてみて、一目でそのキャラクターと分かるようなパーツがはっきり描かれているデザインの巧みさにおどろき、思ったよりすんなりデザインが決まったそうです。


「特徴がハッキリしていて、紛らわしくなく、それを描けば、ああ、あのキャラか、と分かるのはやっぱりすごいですよね。僕はもう、手塚先生のキャラクターをそのまんまデフォルメしただけです」


● 実は元ボクサー!?

 おーじろうさんご自身の話も、伺いました。出身は大阪府枚方市。イラストは5年ほど前から描き始めたばかりというから、驚きです!


「実は、デザインやイラストを描くようになる前には、プロボクサーでした」
 ボクシングをはじめたのは中学生から。ジムに入ってトレーニングをつづけていくうちに、プロになろう、と思いはじめました。


「ジムに所属するプロボクサーが身近にいて。自然に『あんな風になれたらかっこいいなあ』と、目指すようになりました」


 フェザー級でプロデビューを果たすも、プロの世界は厳しく、試合に勝てない日々が続きました。とうとう、所属ジムから解雇宣告が……。


「解雇されてからしばらくは、何もやる気が起きなくて。バイトをしたりしながら過ごしていたのですが、そのうちに趣味でイラストを描き始めるようになりました」


 もともとマンガ好きだったおーじろうさん。描いたイラストをWEBサイトで発表し始めたところ、それを見た人から広告用のイラストの依頼を受けたことがきっかけで、イラストレーターとして仕事を始めました。


「なんか、運が良かったんでしょうね。ボクシングで挫折ざせつしてるところを神様が拾い上げてくれたみたいな。出版物向けのイラストや、広告向けのイラストを数点描いているうちに、商品がやりたい、と思うようになって。2年前に、東京に出てきました。メーカーさんは東京にたくさんありますから」

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 東京で開かれる『ギフトショー』に出展するようになったのも、2年前から。それでも初めは、なんの実績もなく、あてもなかったそうですが…


「初めて商品化がかなったのがこの“どうぶつシリーズ”の「ムギュムギュボール」でした。ギフトショーの会場で発売元のクリエイション・コムの方にお声がけいただいたのがきっかけです」


 初商品化の「ムギュムギュボール」はおーじろうさんにとっても感慨深かんがいぶかい商品です。そういえば、今回の“Tezuka Characters by O-Jirou”も第1弾は「ムギュムギュボール」からになりましたね!


「その後は自分でいろいろなメーカーに営業をかけたりして、僕のキャラクターを気に入ってくれるところを探しています」


 作りたいものの企画をメーカーさんに見せて、気に入ってもらえるところ、やりたいことを組んでくれる会社を開拓し、徐々に商品化の実績も出来てきた、といいます。営業に行ってもなかなか実現しないこともありますが、へこたれずにどんどん、提案を持ち込んでいます。


「ボクサー時代に培ったものは、根性かもしれませんね(笑)。そう考えると、ボクシングの世界にいた事も無駄じゃなかったんだな、と思います」


● コンセプトは「にぎやかで楽しく!」

虫ん坊 2011年3月号 特集1:“Tezuka Characters by O-Jirou” イラストレーター おーじろうさんインタビュー

 “Tezuka Characters by O-Jirou”で、今後やりたい商品はなんですか?


「実はすでに、アパレル(Tシャツ)は決まっていて、スマートフォンケースと、お菓子の商品化の話も来ています。他にはやっぱり、立体物がやりたいですね! ぬいぐるみとか、フィギュアとか……」


 フィギュアの商品化もいろいろ提案を持ち込んでいますが、なかなか実現は難しいようです。ここをご覧のメーカーの方、ご興味があったら、ぜひお声がけください!


 おーじろうさんのデザインのコンセプトは「にぎやかで楽しく!」。たしかに、大きな目と顔のフレンドリーな表情はさることながら、カラフルな色使いが印象的。みんなが「おっ!」と驚いたり、意表をつかれるようなものを作りたい、と考えています。


虫ん坊 2011年3月号 特集1:“Tezuka Characters by O-Jirou” イラストレーター おーじろうさんインタビュー

※上の2点の写真の商品は、開発中のものです。実際の商品とは異なる場合があります。

「手塚作品にはまだまだ魅力的なキャラクターがいっぱいいるので、“Tezuka Characters by O-Jirou”ももっと増やして行きたいですね。『おっ このキャラクターきましたか!』といわれるようなマイナーキャラにも挑戦したいです! 手塚先生のキャラクターのデフォルメには賛否両論さんぴりょうろん、あると思いますが、僕も、愛とリスペクトをもって取り組んでいますので、温かい目で見守っていただければ」


 おーじろうさん、お時間いただきありがとうございました!




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