――SYSTEM7のお二人は『火の鳥』のどのような部分が特に好きなのでしょうか。
手塚:ミケットはムーピーがお気に入りです。人間の欲しいままの形になって、幸せを与えてくれる、ユニークなキャラが好きみたいですね。シングルのカップリング曲『Moopie Love』は、まさにムーピーの名がタイトルに付けられています。
彼らの中では、手塚治虫のユニークさというか、描かれてるテーマはディープなのに、つねにかわいらしいもの、コミカルなものが入ってくる、それがすごく不思議で、すごく魅力的に感じてるようです。それと、今回のアルバムで面白いのは、彼らの視点。例えば、『SCRAMBLE』という曲があるのですが、これは「宇宙編」に登場する無重力ディスコのことで、あの場でかかってるサウンドを想像して作ったそうで、曲中に漫画の台詞「スクランブルをはじめます」という音声をわざわざ日本語で入れてます。また、『WOLF HEAD』という曲は、「太陽編」からイメージした曲なんですが、カルト教団の怖さとか、ストーンヘンジに描かれた太陽神と日の丸の関連性について、とても関心を示していて、また「この作品は戦闘をテーマにしているので、力強い曲にした」と言っています。確かにアルバムの中でも特に力強い、アグレッシヴな曲になっています。創作の背景を聞いていると、「そんなところに視点がいったの?」と、すごく感心させられます。
それから、「ヤマト編」では、オグナが火の鳥の前で笛を吹くシーンがすごく好きだったり、また「鳳凰編」では、両腕を失った我王が大自然を前に、「なんという美しい世界だろう…」とつぶやくシーンをとりあげ、彼らは「この言葉に全てが集約されるだろう」と言ってました。

――ジャケットは日本のデザイナーがデザインされていますね。
手塚:デザイナーの安東茂樹さんは、若い頃に友人とユニットを組んでサイケデリックなグラフィックアートを作って発表していた人で、私もその作品にあこがれていたんです。今回は『火の鳥』をサイケデリックなトランスワールドに持っていこうと思い、発売元の倭響レコードがたまたま安東さんと親しかったので、声をかけてもらいました。
安東さん自身、最初は手塚治虫の原画をどこまで壊していいのか、躊躇もあって、悩んでいたのですが、「手塚治虫の火の鳥を自分なりに消化して、吐き出すくらいでいいですから。安東さんらしさをアピールしてください」とお願いしました。最終的なデザインは、SYSTEM7にも「グレイト」と言ってもらえました。

――アルバムに収録されているボーナス映像というのはどのようなものですか?
手塚:それは「Hinotori」という曲のPVになります。新進気鋭のアニメ作家・保谷ひばりさんと、迫田悠さん、渡部暁さんの3人による「ムー℃マジック」というユニットが制作した、じつに斬新で美しいCG映像です。
「スペースシャワー」などで放映されるかもしれないので、街中でみかけることもあるかもしれません。携帯向けにも配信を予定しています。
――どうもありがとうございました。

●SYSTEM7からもコメントをいただきました
カレンダー ◎『火の鳥』を読んだ感想
初めて私達がこの素晴らしい手塚治虫氏の『火の鳥』のストーリーを読み始めて、その物語の奥深さと作者のイマジネーションのスケールの大きさに心を奪われてしまいました。
また深く重みのあるストーリーに対しての作者の繊細で優美、そしてユーモア溢れる表現に強く感銘を受けました。『火の鳥』のストーリーは、多様性に富んだ表現方法で過去と未来を旅し、時に喜びに溢れたエピソードがあり、時に恐ろしいほどのストーリー展開の中で、「生命と死」そして「再生」を見事に描写しており、この物語が太古の歴史から、遥かかなたの未来の宇宙への旅へと簡単にジャンプしてしまう舞台設定に感動を覚えると共に、この手法と作品のテーマは、部族的なリズムと未来的なサウンドによって成り立つ「テクノ・ミュージック」に置き換え表現する事が出来ると確信しました。そしてとりわけ、幸せな時や悲しい時でもこの物語を潜在的に覆い包む『火の鳥』の力強い意思と感情を感じる事が出来、『火の鳥』の美しいまでの力とマジカルな歌声、そして感情を、音楽で祝い表現する事が私達の心よりの願いでもあります。

***Your impression from reading “Hinotori”
From the first time we started reading Tezuka Osamu1s wonderful Hinotori
stories we were captivated by the depth and scale of the author1s
imagination, and also by the delicacy and humour with which he can deal with
deep and heavy subjects. The Phoenix stories portray, in a variety of ways,
travel through time and space, life, death and rebirth - sometimes with
episodes of great joy and sometimes with great suffering. We are powerfully
struck by the way the stories can jump from tribal ancient history into the
far distant future of space travel, and we can see how this can perhaps
relate to techno music with its mix of tribal rhythms and futuristic sounds.
And above all we recognise the underlying benign overseeing force of the
Phoenix, with which a powerful emotion is felt that is both happy and sad at
the same time. It is our wish to celebrate the power, the magical voice and
the emotion of the Phoenix in music.

◎手塚治虫ファンへのメッセージ
私達が出来る事と言えば、この手塚治虫氏の根源的なメッセージ『生きとし生けるもの全てを愛す…』それを繰り返し体現する事。私達のこの『火の鳥』に対する音楽でのトリビュートが手塚治虫氏のメッセージを国境や、平和への障壁のない世界へと伝える事の助けになるように願っています。

***Message for Tezuka fans
All we can do is repeat the fundamental message of Tezuka Osamu:- “Love all
creatures! Love everything that has life!”- with our sincere hope that
through our musical tribute to The Phoenix we can help convey Tezuka Osamu1s
message to a world without borders or barriers to peace and understanding.

【リリース情報】
■マキシシングル『HINOTORI』

発売日:2007年8月22日
価格:1200円(税込み)

収録曲
1.HINOTORI
2.Moopie Love(Mirror System Tripswitch remix)
3.Alpha Wave(Plastikman Acid House Mix)
■アルバム『Phoenix』

発売日:2007年10月24日
価格:2730円(税込み)

収録曲
1.HINOTORI
2.SPACE BIRD(collaborate with JAM EL MAR)
3.SCRAMBLE(collaborate with SLACK BABA)
4.MASATO ETERNITY(collaborate with JAM EL MAR)
5.SONG FOR THE PHOENIX
6.STRANGE BEINGS(collaborate with DAEVID ALLEN)
7.CHIHIRO 61298(collaborate with SON KITE)
8.MAKIMURA-SPACE PILOT(collaborate with MITO)
9.WOLF HEAD(collaborate with EAT STATIC)
※ボーナス映像「Hinotori」収録
■SYSTEM 7 PHOENIX TOUR '07
10/13(sat) 名古屋RADIX
10/14(sun) 渚音楽祭
10/20(sat) 大阪TRIANGLE
10/21(sun) 東京LIQUID ROOM
Tour Info ; http://www.wakyo.jp/