■なぜマンガ原作の監督作品が少ないのですか? 高橋:いや、本当のことを言っていいものかどうか……。演出がね、下手なんですよ(笑)。 虫プロ時代に、演出家の人と自分の力というものをつい比べて、「(自分は)演出が下手だなあ」という思いがありましてね。なるべくやらないようにしてきたんですよね。でも虫プロにはもともと演出部員として入りましたから、「下手だからやらない」って言うと、アニメーションをやめなきゃいけないんですよ。だけど、アニメ界の周辺でゴロゴロしていたもんですから…そんな時に、TVオリジナルの仕事が開かれたんです。そうすると、演出の前に"物語を作っていく"っていう作業がありますよね。そこで、自分としては「オリジナル作品の方が自分に向いている」と思ったんですね。そういう判断があって、マンガ原作の演出が少ないんです。 でもまあ、この仕事に入ったのは、手塚先生に憧れて虫プロに入った、ということがありますから、原点に戻ったみたいな気持ちがありますね。 |
■「火の鳥」の原作は、監督が虫プロで仕事をされていた頃から連載されていましたが、当時から読まれていましたか? 高橋:もちろん「COM」に連載されていた頃から読んでましたね。その後「COM」が終わって連載も色んな雑誌に移りましたけど、「火の鳥」はずっと読ませてもらってました。 ■原作についてはどんな印象を持たれていますか? 高橋:人気マンガと「火の鳥」というのを少しわけていたんじゃないかな、って気がしますね。手塚先生は、マンガに対しては色んな考え方をしていたと思うんですよ。でもやはりマンガ家ですから、人気をすごく気にしていたと思うんです。ですから、他の商業誌ではなく、「COM」で連載としたということは「人気に左右されない作品作りをしたい」と考えたんじゃないかな、と僕は思ってるんですけど。手塚先生はエンターテイメントをはずしたことはないと思うんですけど、自分の思想というか、一番切実に考えているようなことを、より色濃く、素直に乗せられるものとして描いていたんじゃないかと思いますね。 |
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