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虫ん坊 2017年10月号 特集2:41人41色の「くまモンのいる風景」! プロジェクトディレクター 本田恵理子さんインタビュー

虫ん坊 2017年10月号 特集2:41人41色の「くまモンのいる風景」! プロジェクトディレクター 本田恵理子さんインタビュー

マインドクリエイターズ・ジャパン株式会社 代表取締役 本田恵理子さん。
銀座熊本館 くまもとサロンASOBI・Barにて、くまモングッズに囲まれながらお話を伺います。


 あのくまモンが、41名の作家とコラボレーション!
 2017年9月より、熊本地震の復興支援を目的とした「くまモンのいる風景」プロジェクトが始動しました。「手塚治虫」も、コラボ作家の1人として参加しています。
 今回の虫ん坊では、企画プロデューサーであるマインドクリエイターズ・ジャパン株式会社 本田恵理子さんにお話を伺います。
 漫画家、イラストレーター、ゲームクリエイター、それぞれの作風とくまモンの融合となったこの企画には、復興支援の目的だけではなく、日本の漫画文化を愛する本田さんの熱い想いが込められていたのです。




―――

「くまモンのいる風景」プロジェクトの立ち上げにはどのような背景があったのでしょうか。


本田恵理子さん:
(以下、本田)

東日本大震災があった2011年の秋、フランスのバンドデシネ(フランス語圏のマンガのこと)作家たちが集まって、日本の復興支援を目的とした『マグニチュード9』というイラスト集を自費出版しました。
フランスでは日本のマンガを指す語として「manga」が使われていて、欧州一の「オタク大国」と呼ばれるほどに、彼らは日本の漫画やアニメが大好きなのです。自分たちの得意とするアートで日本へエールを送りたいという思いのもと、ブログに寄せられた約2,700点の作品の中から選ばれた250点の作品が掲載された『マグニチュード9』は、初版は数週間で売り切れ、売り上げの一部は被災地に義援金として送られ、原画展示販売会の売り上げは全て寄付されました。
その一年後、フランスからの応援メッセージへのお返しという思いを込め、私たちマインドクリエイターズ・ジャパンの企画のもと、安齋肇さんやしりあがり寿さん、藤原カムイさんなどの日本の著名作家50名を招いた『マグニチュード・ゼロ』というイラスト集を出版し、京都国際マンガミュージアム、渋谷、鎌倉の長谷寺、お台場での展示を行いました。
『マグニチュード9』からプロジェクトに参加したフランスの作家たちや関係者は大変喜んでくれましたし、Jean-Claude MézièresやMarc-Antoine Mathieuといった著名バンドデシネ作家が『マグニチュード・ゼロ』から新たに作品を描き下ろして下さいました。

虫ん坊 2017年10月号 特集2:41人41色の「くまモンのいる風景」! プロジェクトディレクター 本田恵理子さんインタビュー

イラスト集『マグニチュード・ゼロ』。タイトルには、ゼロからやりなおすという意味が込められている。


本田:


今回は、熊本地震の復興支援として「くまモンのいる風景」プロジェクトを立ち上げました。本の出版のみならず、グッズ販売、展示会も行います。『マグニチュード・ゼロ』を見てくださった通信販売大手の株式会社ディノス・セシールのご担当の方が我々の取組みに興味を持ってくださって、「熊本県はどうですか?」と企画を提案してくださったのがはじまりです。ディノス・セシールさんではもともとアート作品を取り扱っていたということと、ご担当の方が漫画・アニメ好きということで、そこから「くまモンのいる風景」の立ち上げに繋がりました。   
日本の最近の潮流では、漫画やアニメ、秋葉原系イラストなどが盛り上がりを見せているので、前作のようなアートに特化したものよりも、漫画家さんや、ゲームクリエイターの方たちと一緒に何かアプローチしていこうと考えました。
前作の『マグニチュード・ゼロ』は、バンドデシネ作家や油絵作家が中心となって構成されていましたが、「くまモンのいる風景」には、日本のアニメ・漫画・ゲームイラストに絞っており、手塚治虫先生の他、41名の作家さんに参加していただいています。


―――

41名もの作家とくまモンのコラボレーションは、他ではなかなか見ることができないですよね。手塚治虫のほかには、どんな方が参加するのでしょうか。


本田:


一部のご紹介になってしまいますが、漫画家さんですと、原哲夫先生、北条司先生、山田ゴロ先生、吉崎観音先生といった漫画家の先生の他藤真拓哉先生、ア・メリカ先生など、ゲーム等を中心として活躍されるイラストレーターの方にもご参加いただきました。きれいな阿蘇山のカルデラと、美しい熊本城を必ず取り戻そうという願いを込めたテーマのもと、作家の先生方のもつ世界観と熊本の風景、そしてくまモンを描いていただいています。

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吉崎観音さんは熊本出身。キャラクターデザインを手掛けた『けものフレンズ』のサーバルと代表作の『ケロロ軍曹』のケロロがくまモンと熊本市動物園へ!

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 ア・メリカさんの作品。阿蘇山の風景をバックに、くまモンとあか牛がのんびり。


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手塚治虫は、どういう経緯で参加に至ったのでしょうか。


本田:


京都の友人から手塚プロダクションの著作権事務局局長・清水義裕さんと繋がりのある方を紹介していただき、飲みながらお願いしたところ(笑)アポをとって頂けることになりました。また、『マグニチュード・ゼロ』にもメッセージを頂いているモナコMAGIC(モナコ・アニメ・ゲーム・インターナショナル・コンフェレンス)の主催者である事業パートナーのセドリック・ビスカイからも、以前より手塚プロダクションとおつきあいがあり、こういう企画があるんだけど、誰か頼める先生いないかな? と相談したところ、「手塚治虫先生はどうかな?」と。 
「えっ!? あの手塚先生!?」
「手塚先生と一緒に仕事するのは君にはまだ早いよね」というジョークを飛ばされつつ(笑)、最終的にはご参加いただくことになり、喜んでもらえました。
手塚プロダクションさんの本社へ伺ったときは、憧れの手塚キャラクターに囲まれて感激してしまって、数秒、言葉を失ってしまいました。それぐらい私の中で手塚先生は大きい存在なのです。

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手塚治虫キャラクターに囲まれたくまモン。


本田:


私自身、幼い頃から漫画が大好きで、学生の頃は少年漫画、青年漫画とありとあらゆる週刊誌を読んでいましたし、手塚アニメを見て育ったのももちろんですが、父と兄が医者なので、家にはバイブルとして『ブラック・ジャック』が全巻そろっていて、手塚先生の漫画も常に身近にありました。
それに『ブラック・ジャック』は、引っ越すたびに愛蔵版を買っていたので、何回買ったかわからないくらいです(笑)。やっぱり、幼い頃から読んでいた作品は、手元に置いておきたいと思ってしまいますよね。……そんな手塚先生からも今回寄稿いただけて、本当に嬉しかったです!
「くまモンのいる風景」は、こういう縁が縁を呼んで……という感じで、草の根運動的に作家の方との繋がりを作っていきました。


―――

どういうふうに今回参加された作家さんたちと繋がりを持てたのか、気になります。


本田:


京都に「Bar ZIPANGU」という、漫画家を育てる・漫画文化を通じて繋がるというコンセプトを掲げたバーがあったのですが、このバーは北条司先生と、原哲夫先生が株主の株式会社ノース・スターズ・ピクチャーズ(以下、NSP)が事業の一角で開いていたお店なのです。残念ながら8月末で閉店してしまい、文字通り伝説のお店となりましたが、そこに何度か通っているうちにバーテンダーの方と仲良くなりました。その方がNSPの社員さんだったので、恐る恐る「今回こんな企画があるのですが、原先生に描いていただけたりしませんか」と話をしてみたら、「やってくれると思いますよ!」と。即アポを取って頂いて、NSPの本社がある吉祥寺に汗だくで行って、熱を込めてプロジェクトについて語ったところ、北条司先生と、原哲夫先生もご参加いただくことになりました。初恋が『シティーハンター』の 冴羽 獠さえばりょうだった私としては、「やった!!」の一言に尽きます(笑)。

虫ん坊 2017年10月号 特集2:41人41色の「くまモンのいる風景」! プロジェクトディレクター 本田恵理子さんインタビュー

虫ん坊 2017年10月号 特集2:41人41色の「くまモンのいる風景」! プロジェクトディレクター 本田恵理子さんインタビュー

原哲夫先生の作品(左)と北条司先生の作品(右)。

虫ん坊 2017年10月号 特集2:41人41色の「くまモンのいる風景」! プロジェクトディレクター 本田恵理子さんインタビュー

石ノ森章太郎先生原作のコミカライズを担当していた、山田ゴロ先生の作品。


本田:


それから、新宿のゴールデン街など、文化人や作家さんたちが集まるバーなどに編集担当に行ってきてほしいと頼み、さまざまなひととひととの繋がりでご縁をいただきました。
『マグニチュード・ゼロ』のときも、イラストレーターさんのライブや飲み会に参加してプロジェクトの相談をしたところ、周囲の方に声をかけて下さり、お仲間のアーティストの方々が寄稿してくださいました。このような縁が繋ぐ、想いが繋ぐ出会いが重なっていきました。そういった意味でも今回も濃いメンバーが揃っています。


―――

草の根運動という意味がわかりました(笑)。飲み屋で出会って参加に繋げる、というのは面白いですね。


本田:


そうですね。飲み屋に限らず、人が集まるところはパワースポットだと、今回は特に身に沁みました。メールでのやりとりといったビジネスライクなコミュニケーションだけではなくて、みんなで吉祥寺に集まって食べて飲んで、という泥臭いやりとりから生まれる縁というのもこれはこれでアリなんじゃないかな、と。こうやって、人が集まるところから、クリエイションやおもしろい企画が生まれると思うのです。
弊社から事前にお願いした先生方もいらっしゃいますが、自らその場に飛び込んで、漫画が好き・アニメが好きという気持ちで人との交流のきっかけができるという、アートが持つピュアな部分をもっと大切にしたいというのが私の理念のひとつとしてあります。


―――

本田さんはアートを中心とした復興支援活動をなさっていますが、その理念があっての活動なのですね。


本田:


復興支援ももちろんですが、私たちの活動のテーマとして「文化の継承」というものがあります。
『マグニチュード9』を私たちに届けてくれたバンドデシネ作家もそうなのですが、手塚先生の作品を読んで育った作家たちが世界中にいて、現代のクリエイティビティを動かしていると思うのです。世界でこれから育っていくクリエイターや作家の方は、手塚先生をはじめとした有数の漫画家が残した日本のマンガ文化、その財産を知る必要があり、大切にしていかなければならない。そして、受け継いでいかなければならないものだと思っています。

虫ん坊 2017年10月号 特集2:41人41色の「くまモンのいる風景」! プロジェクトディレクター 本田恵理子さんインタビュー


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日本にいると、ここまで手塚治虫の影響があって、育っている人たちがいるという事実をダイレクトに感じることはあまりないかもしれませんね。


本田:


だからこそ、世界を巻き込んで日本の文化を世に繋げられるような企画をやっていきたいという思いがあり、今回の「くまモンのいる風景」もモナコのMAGICなどのイベント出展や、海外での展示を予定しています。
マンガやアニメでの交流は、エンタメとしてだけではなく、心の交流の手段のひとつだと思うのです。言葉がわからない同士でも、アニメに出てきた言葉だけで交流できてしまう。『マグニチュード・ゼロ』でバンドデシネ作家と交流した時にそういったシーンが実際に起きることが多くあって、やはり漫画やアニメの力はすごいな、と常に感じていました。
支援復興のためだけではなく、マンガ・アニメの持つ力を後世にも伝えていきたい、そしてそこから生まれる新たな交流の礎になるようなものをこれからも作っていけたらと思います。「くまモンのいる風景」が、その一端を担うプロジェクトとなるよう、国内での展示にとどまらず海外での展示、作品の商品化など、これからさまざまな展開をしていく予定です。41人41色の「くまモンのいる風景」をぜひともお手にとってみてください!



関連情報


■イラスト集「くまモンのいる風景」
2017年9月25日発売
ディノスのショップサイトにて、予約受付中:https://www.dinos.co.jp/art
Amazon、その他書店でも取り扱い予定



■取材協力 
銀座熊本館 
くまもとサロンASOBI・Bar

東京都中央区銀座5-3-16 銀座熊本館2F

熊本県の名産品を使った本格的な熊本の郷土料理を楽しめるお店です。
たくさんのくまモングッズが迎えてくれます!
http://kumamotokan.or.jp/index.php



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