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虫ん坊 2017年10月号 特集1:手塚治虫×冨田勲×初音ミク クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木渉さんインタビュー

虫ん坊 2017年10月号 特集1:手塚治虫×冨田勲×初音ミク クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木渉さんインタビュー

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 佐々木渉さん


 2017年9月6日にリリースされた『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』は、手塚治虫生誕90周年、冨田勲生誕85周年、さらにボーカロイド「初音ミク」の発売から10周年を迎えることを記念して企画され、発売前から話題となっていた作品です。
 「初音ミク」が手塚作品でラップ?! 更に「リボンの騎士」や「どろろのうた」をカバー?! しかも、生演奏でジャズベース! い、いったいどういうことだ……。
 居ても立ってもいられなくなった虫ん坊スタッフは、「初音ミク」の開発者、佐々木渉さんを直撃! いままでにない時空を超えたコラボに迫ります!


佐々木渉さんプロフィール:

初音ミク 開発プロデューサー/音声チーム・マネージャー
1979年、北海道・札幌生まれ。2005年にクリプトン・フューチャー・メディア株式会社に入社し、2007年に歌声合成ソフトウエア「VOCALOID2 初音ミク」の企画・開発を手掛ける。その他「鏡音リン・レン」「巡音ルカ」シリーズなどの開発も担当。



初音ミク Sings“手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”SPECIAL XFD MV





「初音ミク」について


虫ん坊 2017年10月号 特集1:手塚治虫×冨田勲×初音ミク クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木渉さんインタビュー


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ボーカロイド(メロディーと歌詞を打ち込むだけで歌ってくれるソフトウエア)が誕生した頃は一般的にはまだ珍しいものだったと思うのですが、10年前、「初音ミク」が発売された当初の反応はどのようなものだったのでしょうか。


佐々木 渉さん :
(以下、佐々木)

2007年の開発当時の音楽市場は、“アニソン”だったら“アニソン”、“J-pop”だったら“J-pop”とはっきり分類され、ジャンル毎に距離を置く風潮が強かったように思います。そこに人間ですらない謎の音声合成ソフト「初音ミク」が登場したわけです(笑)。お茶目で朗らかな彼女の歌声は、みなさんにどう受け入れられるんだろうと期待と不安が入り混じった状態でした。
 当初の反応としては、ちょうど、テクノポップユニット・Perfumeさんが売れ始めた直後だったこともあり、褒められるでもけなされるでもなく、「なんかPerfumeっぽいよね」とよく言われていました。
 特にミクの初期のファンは、常々、パソコンに向き合っているIT系やプログラマーといった、インターネットに近い人たちが多かったんです。「ニコニコ動画」や「YouTube」が登場したての頃から曲を聴いているような彼らがまず好きになってくれたことで、一般層には“ネットで流行っている初音ミク”というところが話題となり、どんどん浸透していった。初音ミクを使ってくれたり、モチーフにして作品を作るクリエイターも増えていった。そこが大きかったですね。


―――

確かに、そういった動画投稿サイトが現れて、みんなが「初音ミク」を使ってアップロードしたところから火がついた感じがします。はじめはどのような曲が投稿されていたのでしょうか。


佐々木 :

黎明期は、昔の曲が好きで「初音ミク」に歌謡曲をカバーさせたり、ゲームボーイやファミコンにリアルタイムで触れていた世代が、ゲームの音楽を「初音ミク」に歌わせたりして盛り上げてくれました。並行して、「みっくみく」のようなオリジナル曲も増えていきましたね。
 いまのように10代の女の子のファンが多く付いたのは、2008年の半ば頃な気がします。「ボカロP」といわれる、ボーカロイドを活用してオリジナル楽曲を作る人々がたくさん現れている事が話題となり、その火付け役だった「メルト」など100万再生を達成した楽曲の登場がひとつのターニングポイントでした。

「メルト」・・・ryo作詞作曲による有名な「初音ミク」のオリジナル曲。2007年12月7日に「ニコニコ動画」投稿され、2015年8月7日には1000万再生を達成した。


―――

「初音ミク」がこれだけ世間に受け入れられた理由をどうお考えですか。


佐々木 :

とにかくタイミングが良かったんだと思います。「ニコニコ動画」さんとイラストコミュニケーションサービス「Pixiv」さんも今年10周年を迎えるんですけど、これも狙ったわけじゃなくまったくの偶然で。
 あの頃は急速にパソコンやソフトウエアもどんどん安く手に入るようになって、インターネット上にすぐ作品を公開できるようになり、頑張れば自分でも出来るんじゃないかって、クリエイティブなオタクの人たちが注目してくれた。
 本当に夢みたいな話なんですよ。だって、自分が知らない間に誰かがすばらしい曲を作って、投稿サイトにアップして、気付いたら人気が出て騒ぎになっていた。
 最初はまさか、ここまで流行るとも思っていなかったですし、今回こうして、「初音ミク」が手塚治虫さんや冨田勲さんとコラボする未来はまったく思い描けませんでした。


『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』について


虫ん坊 2017年10月号 特集1:手塚治虫×冨田勲×初音ミク クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木渉さんインタビュー


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今回の企画は、もともと冨田勲さんと「初音ミク」のコラボをしていた日本コロムビアさんから、またなにか面白いことをやりましょう、と提案されたところから始まったそうですね。


佐々木 :

シンセサイザー音楽のレジェンドで絶大な影響力のある冨田勲さんとマンガの神様と呼ばれる手塚治虫さんとコラボするというプレッシャー、冨田さんが手掛けた手塚さんのアニメ作品の原曲の完成度が高い分、「初音ミク」を使ってどうまとめれば受け入れてもらえるのか、相当思い悩みました。


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発売前からスポーツ新聞に掲載されるなど、冨田さんが手掛けた手塚アニメの原曲を「初音ミク」が歌う異色のコラボと話題になっていた本作ですが、リリース後の反応はどうですか。


佐々木 :

いままでの「初音ミク」にはない内容のCDなので、困惑されている方も見受けられましたが、そういった驚きの部分も含めて楽しんでくださっている方が居てくださるのが大切だと思っています。
 聴いてくれた方のツイッターを見ると、「良いと思うんだけど、一回聴いただけじゃ捉えきれなかった」とか、「よくわからないけど、泣いてしまった」みたいな、そういう感想が多くて、感覚的に聴くのがちょうどいいんでしょうね。
 演奏もジャズ寄りの変わり種だったのですが、ジャズ畑の評論家の先生や熟練のライターさん、音楽の専門家の方々にも好評でした。佐藤允彦さんのアレンジの妙と、バンドの演奏能力、ボーカル勢の不思議な存在感が合わさっても、ジャズ的なオーガニックなまとまりになっているのが良かったのだと思います。


―――

ジャズベースにするという方向性は最初から決まっていたのでしょうか。


佐々木 :

最初からではなく、ファンの方からのTwitterのリプライがきっかけでした。
 このプロジェクトの僕のつぶやきに対して、「佐藤允彦さんが手掛けた虫プロの曲も聴きたいな」というリプライがあったんです。「佐藤さんって、あのジャズピアニストの佐藤さん?!」って(笑)
 佐藤さんがジャズ界の名ピアニストだというのは……僕が高校生の頃からファンだったので、もともと知っていたんですけど、手塚さんのアニメの音楽を佐藤さんが手掛けていたことはこのときまで知らなくて。直感的に、これはうまくカチッとハマるんじゃないかと思いました。
 早速、連絡先をご存じだった日本コロムビアさんからコンタクトを取っていただき、快諾していただきました。
 あのリプライがなかったら、まったく違うジャンルの作品になっていたかも知れません(笑)


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「初音ミク」が歌うだけではなく、実際の人物と一緒にMCをつとめるのも初の試みと伺いました。ゲストとして登場する辻真先さんや手塚るみ子とのトーク部分を取り入れた理由について教えていただけますか。


佐々木 :

まず、収録曲を先に決めていったのですが、猛々しい男性ボーカル曲を避けたせいもありトータルの時間が1枚のアルバムにするには短すぎるという問題が浮上しました。
 そこで、周年を祝う記念すべきアルバムですし、手塚さんと冨田さんが一緒にお仕事をされていた当時を知る方に、経歴や人柄、楽曲についてなどのバックグラウンドをお話いただけたら、よりドラマティックな作品になるのではとトークパートを取り入れることにしました。
 早速、ゆかりのある人物を探していたところ、Twitter上で詳しい方がいるという話になりまして。それが辻真先さんだったんです。結果的にご参加いただけることになり、ストーリー構成と脚本を担当していただけることになった訳です。
 CDのライナーノーツにもありますけど、辻さんは経験も豊富で実際に手塚・冨田両氏と熟知の仲なわけですよ。さらに、手塚さんの長女・るみ子さんをゲストにお迎えし、お二方にミクと会話をしていただくことで、初めて両氏に触れるミクファンの若い層にもフレンドリーに受け止めやすくなり、スッと入りやすくなるんじゃないかと思いました。


―――

歌唱の面でも声優の前田玲奈さんが参加することで、バーチャル・シンガーとリアルなシンガーが交錯するという面白い仕上がりとなっていますね。


佐々木 :

いつものミクの声ではなく、かといってジャズシンガー路線でもなく、可愛らしくも、声は高くなり過ぎないようにして、音色は艶感を持たせようとしました。歌い方のテクニックも従来の方法とは変えていこうと話し合い、そのあたりも考慮したラインナップとなっています。
 ミクが楽しそうに歌ったりしゃべっているようにしたいと考えていたので、感情的な声に聴こえるよう、トークパートは藤田咲さん、ミクのコーラスとボーカル部分を前田さんに演じていただきました。いわば、ミクの “歌の先生”ですね。
 「リボンの騎士」は一度、冨田さんが宮沢賢治の世界を音で描いた「イーハトーヴ交響曲」でミクが歌わせていただいたこともあり、なんとなくイメージが想像できたんですけど、その他の曲は完成形がまったくわからない手探り状態のまま、まるで博打を打つような感じで進めて行きました。


―――

楽曲がどう完成していったのか気になるところですが、現場ではどのように収録されていったのでしょうか。


佐々木 :

佐藤さんには「ミクが佐藤さんに合わせていきますので、あまりカッチリせず、演奏もフィーリングで良いので自由に作ってください」とお伝えして、前田さんには、「いまはミクなんですけど、ミクの前田さんが歌った部分はあとからミクになりますので、いまはこういう感じで歌ってください。楽しそうに、伸びやかに」とかお話させていただきながらセッションを重ねていきました。ミクは現場に顔をださないので、ややこしいんですよね(笑)
 面白かったのが、ミクとの写真を撮るときに、カメラマンの方が「ここにミクが出ますから、ここにいる体でみなさん、にこやかにお願いします!」って一生懸命説明していた場面です。撮られているみなさんの頭上に「?」マークが見えました(笑)


虫ん坊 2017年10月号 特集1:手塚治虫×冨田勲×初音ミク クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木渉さんインタビュー

レコーディング風景の写真。「初音ミク」が居ると想定して撮影された。


佐々木 :

「初音ミク」はその場にいないのに、「初音ミク」のために歌ったり演奏しているという不思議な状況下でも、ナチュラルにのびのびと演奏していただいたからこそ、現場のふんわりした空気そのものが良い意味で音にも現れている気がします。もともと「リボンの騎士」の歌も「どろろのうた」もアニメの世界の楽曲なので、ふんわりしているくらいの方がむしろ実際のアニメの世界に近いカタチなんじゃないかな。
 よく知られた日本のアニメの名作とボーカロイドの「初音ミク」、初顔合わせで参加してくださったクリエイターたちの手探り故の初々しさもミックスされている。そこが面白いし、不思議な魅力のある作品となっています。


虫ん坊 2017年10月号 特集1:手塚治虫×冨田勲×初音ミク クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木渉さんインタビュー

こちらは通常盤のCDジャケット。


佐々木 :

ジャケットも感慨深いですよね。いまのミクが手塚先生タッチで描かれた昔のミクを見ているっていう構図なんですけど、本当は手塚タッチのミクも新たに描かれたわけだから、いまのミクでもある訳です。時代が進んでいるところと逆行しているところと、いまを見つめているところと、時間軸がアベコベになっている。色々な要素が混在しているところが、このイラストで象徴されている気がします。


天然系バーチャルアイドルを目指して


虫ん坊 2017年10月号 特集1:手塚治虫×冨田勲×初音ミク クリプトン・フューチャー・メディア 佐々木渉さんインタビュー


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佐々木さんのツイートに、初音ミクの歌い方について、新宿2丁目のオネエさまにダメ出しをされたとありましたが(笑)


佐々木 :

ちょうど、「初音ミク」の10周年を記念した「マジカルミライ」というイベントがあった日で。終わったあとに、「東京ジャズ」に寄って渡辺貞夫さんのライブを見て、CDを一緒に作ったスタッフとでなぜか新宿2丁目に足を運びました(笑)
 とても口には出せないような下ネタが飛び交うなか、オネエさまたちと音楽の話をしていたんですが、途中、お仕事の話になり、「初音ミク」を手掛けていると言うと、まずは、安室奈美恵さんとミクがコラボしたときの曲について、「ちゃんと絡んで、安室ちゃんのライブに出たりすればよかったのに!」とダメ出しをされました。
 「歌手のMay'nちゃんがお店に来て一緒にデュエットしたことがあるのよ」という自慢や2丁目のボカロ事情も挟みながら、「私としては、ミクちゃんのこの天然ぽくヘラヘラ歌うところをどうにかした方が良いと思う」と厳しいことも言われ、続いておもむろに「メルト」の映像を流し始めて、「わかる? この部分がヘラヘラしているのよ」という丁寧な解説付きでご指南を受けまして。ひたすら「調整します、検討します」と言い続ける、珍事件がありました(笑)


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ボーカロイドの登場は、手塚治虫が描いてきたロボットとの共存の一端にあてはまる気がするのですが、これから先「初音ミク」はどのような進化を遂げると思いますか。


佐々木 :

「初音ミク」とはなんなのか、いろんなクリエイターさんと関わりながら、理解していくことに精一杯で、ミクのチャームポイントを分析しきれないまま、10年間があっという間に過ぎ去っていきました。
 10年経って思うのは、技術の進化のお陰で人間が一生掛かっても聴ききれない音楽や動画がすでにネット上に存在するいま、ひとりひとりの人間がなにを聴いて何を観るかを選ぶ時代になったということです。
 ミクがもっと選ばれるように、もっと象徴的な存在になれるようにするにはどうしたらいいか、と考えたときに、若者受けするボカロならではの曲だけではなく、手塚アニメの歌のような曲や、「ゆりがごのうた」や「どんぐりころころ」のようなシンプルで身近な童謡だったり、あるいは子守唄だったり、リラックスしたときに口ずさむような歌やメロディを色々なボーカルアレンジでやさしく歌えるような存在になっていかないといけないと思いました。


―――

いままでのミクのイメージとは真逆ですよね。どうしてそう思われたのでしょうか。


佐々木 :

確かに細かなメロディや、高度な技術を扱えることは格好良いけれど、もっとシンプルなフィーリングを大切にして原点回帰することも大切だと思うんです。ちゃんと拙く……もしくは幼く歌えるようになるのも必要だと思っています。格好良い歌も歌えるけど、小鳥みたいに「ピヨピヨ」と、かわいらしく歌うこともミクならできるかも知れない。
 技術的に進化していくだけではなくて、リラックスした退化を極めた天然系バーチャルアイドルを目指したいですね。完全に妄想ですけど(笑)


―――

「ボカロP」のトレンドが童謡や子守唄になる日も近いかもしれませんね。


佐々木 :

長く「初音ミク」とつきあってくれている「ボカロP」で、「Nyan cat」を作ったdaniwell(ダニエル)Pさんや「ぽっぴっぽー」を作ったラマーズPさんという方々がいて。彼らは、感覚的に「架空のキャラクターがこういうことをしたなら面白いんじゃないか」とか「こうした方がかわいいんじゃないか」とか、J-POPとは違った、ピュアなポップスをミク達にぶつけてくれました。
 論理的に音楽を勉強する方法もありますが、曲を作ること自体はいろんな部分を機械が補完してくれる未来がやってくると考えたときに、結局最後は、好奇心旺盛に面白いことを感じ取ったり、いままでにないものにチャレンジする力が重要になってくるんじゃないでしょうか。そのためにも、普段からいろんなエンターテインメントやインターネット上のコンテンツのバリエーションを楽しんで、自分の感覚を鍛えることが必要だと思います。


―――

最後に今後の活動について教えてください。


佐々木 :

今後の展開として、『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』のライブイベントを開催できたらと思っています。こちらもきっと楽しめるはずです。
 他のミクのライブと違う、例えば、さだまさしさんばりに長いMCを挟みながら(笑)、あの不思議なスタジオの空気を臨場感たっぷりに生演奏でお届けできたら良いですね。


『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』のここがアツイ!


―――

収録曲について、佐々木さんにライナーノーツ風に語っていただきました!


『リボンの騎士』編

01.オープニング:『リボンの騎士』から「リボンの騎士」(オリジナル)
03.『リボンの騎士』から 「リボンの騎士(王子編) 」初音ミク
05.『リボンの騎士』から「リボンのマーチ」初音ミク&前田玲奈


もしミクが『リボンの騎士』などのオールドスクールなアニメで描かれるような華やかな舞踏会で楽曲を歌ったら……。こういうイメージになるのかなと思います。
特に「リボンのマーチ」は、イヤフォンでは、左右から別々にミクと前田さんの声が流れ、スマホなんかのスピーカー越しに聴くと、一体化して聴こえるので、シチュエーションによって聴こえ方が違うのも聴きどころです。ミクと前田さんのこの曲は特に評論家から人気がありますね。


TALK編

02.初音ミクTALK 1 ~初音ミクです、こんにちは!
04.初音ミクTALK 2 ~手塚治虫先生&冨田勲先生の紹介
06.初音ミクTALK 3 ~「ジャングル大帝」の紹介
09.初音ミクTALK 4 ~ゲスト・スピーカー:辻真先さんを迎えて
11.初音ミクTALK 5 ~ゲスト・スピーカー:手塚るみ子さんを迎えて


トーク部分はすべて曲間に収録しました。手塚アニメにも携わっていた辻さんが、脚本の内容も手塚さんの世界観に絶妙に寄せて書いてくださったおかげで全体的に統一感がでた気がします。
「初音ミク」のような特に設定のない女の子について書くこともなかなかないと思うんですけど、癖があったり自己主張をしない、シンプルな存在というキャラクターの輪郭がより表れていて、改めてすごい演出だなと思いました。


『ジャングル大帝』編

07.『ジャングル大帝』から「アイウエオ マンボ」初音ミク
08.『ジャングル大帝』から「ぼくに力をおとうさん」初音ミク&重音テト


「アイウエオ マンボ」がきっちりまとまって完成したことが、このCDの大きな要となりました。マンボのリズムにミクならではの朗らかなノリがうまく重なり、彼女がいちばん楽しそうに歌っている曲となった気がします。
「ぼくに力をおとうさん」には、「重音テト」が参加しています。手塚さんが作り上げたマンガやアニメの世界観と「にちゃんねる」の掲示板から誕生した重音テトというキャラクターのギャップも面白いですし、ユーザーのクリエイティビティというのを更に象徴化しているのがテトなので、リアリティを持って、手塚さんとのコラボに彩りをそえてくれたと思います。


12.『ジャングル大帝』から「ジャングル大帝のテーマ」初音ミク、重音テト&前田玲奈


こういうコーラスがメインの曲は、歌が入らない分、いちばん原作やアニメが浮かびやすいんじゃないでしょうか。
逆に、これができるんだったら、アカペラの曲があっても良かったのかなとか、今後のミクの新しい挑戦に繋がるヒントや可能性をいちばん感じたのが「ジャングル大帝のテーマ」です。
ミクとテトと前田さんの3人でコーラスを歌っているんですが、3人で歌っているというよりは3つの声色が重なって鳴っているような感覚が味わえて、そこもすごく面白いと思います。


『どろろ』編

10.『どろろ』から「どろろのうた」初音ミク


日本コロムビアの担当さんイチ推しの曲が「どろろのうた」でした。
最初は“ホゲタラポン”とか“ポケポケ”といった擬音の突き抜けた表現に対して「これ、どうやってミクらしく歌わせればいいんだろう」と頭を抱えましたが、もう、フィーリングでいくしかないなって(笑)。恥ずかしがらずに「こういう躍動感なんです!」ってアピールしていこうと。
スタッフと「これって、妖怪ウォッチの世界観の元祖みたいなものだよね」という話をしていたんですけど、できあがったものを聴いて、日本の妖怪文化と『どろろ』の世界観、人間でも妖怪でもない「初音ミク」の相性は面白いと改めて気付かされました。


RAP編

13.スペシャル・エンディング:全ての手塚作品へ敬意を。初音ミクより、ラップに乗せて


最初はファンの方々に怒られるんじゃないかって思っていました(笑)
ラップって、アメリカでは市民権を得ていますけど、アニメファンとは遠いイメージがまだありますし。
ただ、最後の締めの部分には、「初音ミク」としてこの作品に関わらせていただいた自分たちなりのメッセージをラップに込めたいと思いました。
ボカロも含めた、自分たちが好きなアニメ・マンガカルチャーの土台となった手塚治虫さんの作品をご紹介しながら、開拓者たちが次々に生み出してくれたたくさんのアニメやマンガ作品があるからこそ、いまの二次創作文化を楽しめているんだということをミクに代弁してもらうとしたんです。彼女は意識や自我がない存在だからこそ心に響くかもしれないと。
技術も、いちばん実験的なことにチャレンジした曲です。
ボーカロイドって、音がつながるようになめらかに歌うことは得意なんですけど、ひとことひとことキレがよく発音するのには向いていないんです。
音の区切り方とか強調の仕方は、一回「初音ミク」の音声を波形にしてから、丸3日間くらい掛けてヒップホップ好きのスタッフと細かく調整していきました。


関連情報

◆初音ミク公式ブログ
【CD・DVD等】『初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”』好評発売中!
http://blog.piapro.net/2017/09/mon170908.html

◆冨田勲 日本コロムビアサイト
初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”
http://columbia.jp/tomita/newrelease.html

◆第71回企画展 「初音ミク×手塚治虫展―冨田勲が繋いだ世界―」展
会 期:2017(平成29)年7月1日(土)~10月23日(月)
http://tezukaosamu.net/jp/news/n_2194.html

◆Amazon.co.jpでも発売中!
初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で"(初回限定盤)
初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で"(通常盤)



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