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虫ん坊 2016年9月号 特集2:田んぼが巨大なキャンバスに!
「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで

虫ん坊 2016年9月号 特集2:田んぼが巨大なキャンバスに!
「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで

 田んぼをキャンバスに見立て、色の異なる稲を植えて水田に巨大な絵や文字を描く田んぼアート。小山市では、2011年度から参加型の田植えイベントに取り組み、今年も島田、下生井、絹の3会場で実施しています。
 昨年までは小山市のご当地キャラクターを起用していましたが、2016年は手塚治虫作品から代表作の『ブラック・ジャック』、『ジャングル大帝』、『鉄腕アトム』が絵柄に選ばれました。
 今年は「アトムを描こう! おやま田んぼアート」と題し、5月22日には、一般参加者のほか在日ナイジェリア大使館などアフリカ5カ国の大使館関係者12人と留学生13人を含む約900人が集まり田植えが行われ、見ごろを迎えた7月16日には3会場をバスで巡る見学会を開催。それぞれの会場は3000人を越える人々に鑑賞されました。
 なぜ手塚キャラが田んぼアートに起用されたのか。そこには、手塚プロダクションとアフリカ、小山市の意外な繋がりが……!田んぼアートのようすとインタビューをお届けします。

おやま田んぼアートオフィシャルサイト:https://oyamatanboart.com/




●各会場のようす

〜島田会場〜

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「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで

 約一万平方メートルの島田会場に描かれたのは、『ブラック・ジャック』。家でくつろぐブラック・ジャックとピノコの様子が見事に再現されています。
 スタッフの方によると、3つの絵柄のうち一番の力作だそう。そのかなりの迫力に、圧倒される虫ん坊スタッフ一同。


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「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで



〜絹会場〜

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 小山市と結城市の両市は友好都市を結んでいるため、5月に行われた田植えには結城市内の小学生約160人も参加。
 子どもたちの田植えの成果が、田んぼのキャンバス上を溌剌と飛ぶアトムの姿になりました!


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「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで



 絹会場には特製やぐらが設置されており、高さのある視点から、ダイナミックな風景を楽しむことができました。

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「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで




下生井 しもなまい 会場〜

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「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで

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 約八千平方メートルの田んぼを元気いっぱいに駆けるレオ!会場の反対方向には渡良瀬遊水地があり、360度雄大な自然を見渡すことができます。



●田んぼアートとは

「アトムを描こう!おやま田んぼアート」について、関係者にお話を伺いました。


虫ん坊 2016年9月号 特集2:田んぼが巨大なキャンバスに!
「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで

小山市美田東部土地改良区
事務局長 高瀬孝明さん


小山市美田東部土地改良区
朝倉加代子さん



―――

小山市での田んぼアート発足のきっかけをお聞かせください。


高瀬:

 小山市では農業用水水源地域保全対策事業という、農業用水を守るためにはどうしたらよいのか、農業用水や水源林の役割や重要性を広める事業が2010年から2014年までの4年間設けられていました。
 農業用水の安定的な供給と国土の保全のためには、水源地域における森林が大きな役割をもっています。水の恩恵を受けている下流域の農家や地域住民の皆さんに、森林整備の重要さ、水源地域の現状や課題についてもっと理解を深めてもらいたい。    
 田んぼアートを始めたのは、この事業を市民に広めるためにはじめたイベントの一環でした。おかげさまで、今年で6年目を迎えます。


―――

6年目ですと2011年が田んぼアートの最初の年になりますね。以前にも事業を広めるための活動はしていたのでしょうか。


高瀬:

 4年間の事業のうち、1、2年目は思川おもいがわ の上流にある森林地帯に行き、水源の見学や、水源地域で植林体験、思川の生物調査などさまざまな体験イベントを開催しました。
 農業用水を一番必要とするのは田んぼであるので、それならば田んぼを使って農業用水水源地域保全対策事業を広めるためのイベントができないかという発想で、3年目から田んぼアートを始めました。
 農業用水水源地域保全対策事業の実施期間は2014年に終了していますが、このイベントは市民からも好評で、そのうえ他県からの参加者も多く、このまま終わらせてしまうのは惜しいということで、田んぼアートは事業が終了しても続けていくことになりました。今や、小山市の恒例行事のひとつになっています。


―――

広大な田んぼにキャラクターが見事に描かれていますが、アートができるまでの作業工程を教えてください。


高瀬:

 田んぼに絵を落とすのは、平面的に落とす場合と、遠近法で落とす場合があります。平面に落とすと、かなり高い所から眺めないと絵の全体図が見えません。
 昨年までは田んぼの側を通る両毛線からの視点にこだわっており、電車ならば十分な高さもあるだろうと平面法で描いていたのですが、先の方がどうしてもゆがんで見えてしまって、遠近法での描画に変えました。遠近法であれば高いところからでなくても絵がきれいに見えるため、今年からはじめて思川堤防からの視点に変えています。


朝倉:

 平面法は人間が絵を描くのと一緒で図柄をそのまま拡大して、田んぼに描けるのですが、遠近法となると高さを決めてその視点から扇形に絵を広げて描かなければなりません。青森の田舎館市のような高いところから見下ろす田んぼアートも遠近法で描かれていますが、小山市で使用している会場は堤防と低めなところから見学するため田んぼとの高低差があまりなく、遠近法をより駆使しないと作れないんです。


高瀬:

 工程としては、まず、田んぼに描く絵柄を決めます。その絵柄を、栃木県土地改良事業団体連合会(通称:県土連)という上部団体に絵柄を納品します。県土連で土地の高さを計算し、遠近法のソフトで絵柄を伸ばし、それを島田会場のブラック・ジャックの場合、4000以上の点へと描き起こしていきます。これが設計図となるわけです。
 この設計図上に、田んぼアートのどの部分に何色の稲を植えるかの区分けを記していきます。
 そして、この設計図を元に測量機械で指示を出し、人々の手でひとつひとつ田んぼに点を打っていきます。


―――

田んぼにアタリとなる点を打つのは、手作業なのですね!


朝倉:

 葦の捧をつかい、水田に4000点以上をひとつずつ打ちます。ブラック・ジャックが描かれたこの島田会場は、農業の専門家たちが3日間かけてこの下描きとなる点を打ち込みました。
 指示を出す係の人は、測量のレーダーを置いたところから、「次は何千番の点を打ってください〜もっとこっち!」とトランシーバーを使い、水田に点を打つ組の人たちに点を打つべき場所を正確に指示していきます。
 でもだんだん気分が乗ってきてしまって、トランシーバー関係なしに叫びながら指示してしまったり……(笑)最終日には声も枯れてしまうぐらいでした。


高瀬:

 アタリの点が打ち終わったら、まずは農業の専門の方が図柄の細かい箇所を植えていきます。ある程度稲が育つまで色がでないため、田植え時に使う稲はすべて同じ緑色なんです。そのため、色を植え間違えないようにそこはプロにお任せしています。    
 一般参加の方は、ある程度絵柄部分を植え終わった後、比較的簡単な部分の稲を植えていただいたという流れですね。これが5月22日に開催された田植え会でした。


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虫ん坊 2016年9月号 特集2:田んぼが巨大なキャンバスに!
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5月19日、プロによる図柄部分の田植えが終わった下生井会場と、田植え会のようす
(写真提供:太陽インダストリーアフリカ)


―――

使用している稲には、どんな品種があるのですか。


高瀬:

 ゆきあそび(白)、べにあそび(赤)、むらさき米(黒)、あかねあそび(橙)、とちぎの星(緑)の5種類を使用しています。小山市内に限らず、田んぼアートで使用する稲は、全国的に同じ品種を使用しています。でも、今回はどうしても黄色の稲である黄大黒が手に入りませんでした。


朝倉:

 寒いところでしか育たない品種なので、黄大黒はこの地域ではうまく成長しないんです。種を増やしても良いのですが、どうしても種を取るまで育たず、残念ながら黄色い稲はなしになりました。


高瀬:

育った稲から毎年種を取るのですが、穂の中には種が1割ほどしかなく、それをすべて取り除くのは至難の技です。色つきの品種はコンバインで脱穀ができないため、稲刈りをして脱穀し種を取るまですべて手作業で行います。


朝倉:

 むらさき米は古代米で、これは食べられます。下地になっている緑色は、とちぎの星という、2014年に登場したばかりの新しい栃木県オリジナル品種です。


高瀬:

 それぞれ成長するにつれ色の出る稲なので、苗の時点ではどの品種も全部似たような緑色をしています。そのため、田植えの時には自分が手に持った稲の色を忘れないようにしないといけないんですよ。
 絵の部分を植えるときには、色を間違えないようにかなり気をつけました。


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育つと白くなる「ゆきあそび」と「とちぎの星」は育つまでは、どちらも緑色で見分けがつかない。「べにあそび」と「むらさき米」も大きくなって色が分かれる。苗の時は先が色づいているだけで、どちらも同じに見える。


朝倉:

 育ってから、あそこの色間違えてる! ということもよくありますよ。


―――

間違えたところはどうするのでしょうか。


高瀬:

あまりにも違いすぎるところを見つけてしまったらそこは植え替えます。よく見ると、ピノコの前髪の部分の色を間違えてますね……。


朝倉:

 両毛線から見えるピノコはとてもきれいに出来てますよ。


―――

島田会場には、もうひとつ田んぼアートが用意されていましたね。


朝倉:

 両毛線は、小山市の小山駅から群馬県前橋市の新前橋駅までを結ぶ路線です。
 今回、島田会場には、メインのブラック・ジャックのほかにもこの田んぼのすぐ横を通る両毛線沿いにもうひとつ田んぼアートをつくりました。これは、小山市立豊田中学校の生徒さんが農業の職場体験の一環として植えたもので、両毛線に乗って窓から見て楽しんでいただける位置に作っています。
 両毛線思川駅から小山駅間の間にありますので、お帰りの際にはぜひ、電車に乗ってアートをお楽しみください。


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上空から見た、両毛線沿いにあるピノコの田んぼアート。ピノコの上には先ほど紹介した遠近法で描かれたブラック・ジャックが。視点を変えると、こうも違って見える。


―――

普段、田んぼアートの管理はどのようにされているのでしょうか。


高瀬:

 会場となるこの土地を貸してくださった地主の方に管理をお願いしています。
 田んぼによって、水の管理や除草などさまざまな違いがあるので、そこは一番土地のことに詳しい地主さんにお任せするのが安心です。
 同じ緑色にみえても、専門家がみれば稲の些細な色の違いを見分けられるんです。出穂があると、緑が濃くなったりどんどん稲の色味が変わってきてしまうので、それを防ぐために水を抜いてこれ以上成長しないようにして色味の調節をしていただいたり、害虫駆除などをお願いしています。


朝倉:

 3会場とも違う地主さんなので、それぞれ田んぼアートを管理していただいているのですが、管理以外にもお手伝いをしてくださったり、来年は何の絵を描くの? と毎年楽しみにしてくださっています。地元の人達の田んぼアートに対する認識も、市ぐるみで盛り上げるお祭りのような一大イベントというふうになってきていて、嬉しいですね。


―――

田植え会、見学会に参加された方の反応はいかがでしたか。


朝倉:

 毎年好評をいただいています。お子さん連れのご家族での参加が多くて、第1回目の田んぼアートイベントからずっと来てくれているご家族もたくさんいらっしゃいますよ。  
 第1回目の時はベビーカーに乗っていた子が、今日会ったらカキ氷を食べながら歩いているのを見かけて、びっくりしてしまいました。私達もその子の成長を見るのが毎年楽しみになっています。


高瀬:

 田植えに参加してくれた子どもたちは、『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』を知らない世代も多いだろうと思っていたのですが、案外反応が良くて驚きました。小さい子でも「アトムだ!」って喜んでくれて、やっぱり手塚先生の作品は幅広い世代に浸透しているんだなと改めて実感しました。私たちが小さい頃に見ていた手塚先生の作品をこういう形で現代の子どもたちと共有できるというのは嬉しいことですよね。
 見学会の今日は、各会場で「今年の田んぼアートはかなり見ごたえがあるね!」と声を掛けていただいて、アトムたちを選んで良かったなとしみじみ感じています。


朝倉:

 過去5年間田んぼアートイベントを開催してきましたが、人を集めるためには、何かキャラクターを描くのがいいだろうということで、昨年までは小山市のご当地キャラクターを起用していました。
 さらなる観光客の増員を望んで、3年目からは以前の会場とは違う、駐車場のある田を新たに会場として使用したり、人寄せをするためにはどうすればよいのか、模索を重ねながら毎年開催していたのですが、今年は初めて版権キャラクターを起用したということで手塚先生のファンの方などいつもの参加者に加えて県外からの参加が大幅に増えました。
「ブラック・ジャックのあの部分を植えました」と声を掛けてくれた手塚ファンの方もいましたよ。



●小山市と手塚プロダクション、アフリカ諸国の意外な関係!?

 小山市の田んぼアートに手塚キャラクターが起用されるに至ったのは、「土壌用環境資材」と「日本のアニメーション」をアフリカへ輸出している貿易会社、株式会社太陽インダストリーアフリカが、仕事を通じて親交のあった手塚プロダクションと小山市との仲介を担ったからなのです。
 そこで、株式会社太陽インダストリーアフリカの代表取締役社長である伊藤政則さんにもご登場いただき、手塚キャラクターを起用した理由、手塚プロダクションとアフリカ、そして小山市との関係についてお話を伺いました。


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株式会社太陽インダストリーアフリカ
代表取締役社長 伊藤政則さん



―――

今年、田んぼアートに手塚治虫キャラクターが起用された経緯を教えてください。


朝倉:

 去年の稲刈りが終わったタイミングで、太陽インダストリーアフリカの伊藤さんのほうから、アフリカの留学生が農業体験を出来るところはないか、というお話をいただきました。それならばぜひ田んぼアートイベントに参加していただきたいと思い、留学生の参加を承諾しました。
 その流れで、伊藤さんから来年は田んぼに手塚治虫先生のキャラクターを描いてみないかという提案をいただきました。


伊藤:

 なぜ私が手塚治虫先生のキャラクターを選んだかというと、それには色々と過程があります。まず、手塚プロダクションさんとは以前仕事でご一緒させていただいたことがあるんです。


―――

『鉄腕アトム』のリメイク版である『ろぼっとアトム(原題:Little Astro Boy)』(2014年)ですね。


伊藤:

 弊社では、アフリカの子供達に日本のアニメから夢や希望を教わってほしいという願いのもと、日本のアニメーションをアフリカに輸出しています。 手塚プロダクションは、日本のアニメを海外にも進出させたいという意気込みが一番強かったので、ぜひ一緒にアフリカの子どもたちに向けたアニメ作品を作りたいと思い、実現されたのが『ろぼっとアトム』です。 この作品はナイジェリアの民放テレビ局、「チャンネルズTV」と手塚プロダクションの共同制作作品です。制作にあたり、手塚プロダクションの新座スタジオで、ナイジェリアの研修生が実際にアニメのカットを描くという体験をしました。これが、アフリカと手塚プロダクションとの最初の接点となりました。 私自身が小山市出身で、朝倉と同窓なんです。小山市でアフリカの留学生が農業体験をということで縁を感じ、今回田んぼアートの図柄にアフリカにも進出したアトム達を使用できないかと考えました。


―――

さまざまな繋がりがあり、今回実現した手塚田んぼアートなのですね!


伊藤:

 また、手塚治虫先生をいろいろ調べていくと、自然や虫が好きで、昆虫図鑑を描いていることを知りました。田んぼの水を守るにはどうしたらよいか、自然を守る我々の思いと手塚先生の自然に対する思想がマッチするのではないかということも起用に至った理由のひとつです。
 そして、今年はアフリカ開発会議が初めてアフリカの地で開催される、日本とアフリカの掛け渡しとなる記念すべき年でもあります。


―――

アフリカ開発会議とは?


伊藤:

 日本が主催で開催する、アフリカにおける開発をテーマにした会議です。5回目までは東京や横浜で開催されていましたが、6回目となる今年は、ケニアで開催されることになりました。これは、日本とアフリカの交流の中で記念すべきことです。


―――

だからキャラクターの横に描かれたアフリカ大陸が描かれているのですね!


伊藤:

 そうです。今年の田んぼアートには、日本とアフリカを繋ぐという意味を込めてアフリカ大陸と「TICAD VI」の文字を入れました。 「TICAD VI」は、「アフリカ開発会議(アフリカ開発における国際会議)=Tokyo International Conference on African Development」の略語です。



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「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで

上田んぼアートに描かれた「TICAD VI」の文字とアフリカ大陸。


―――

5月22日に行われた田植えには、アフリカからの留学生のほかに、大使も参加されていましたね。


伊藤:

 在京アフリカ外交団という組織におやま田んぼアート体験のことを連絡し、そこから東京にあるアフリカ大使館に一斉通達をして大使をお呼びしました。今日の見学会にも、大使がお見えになっています。
 また、アフリカから来ている留学生の中にはABEイニシアティブという制度があり、そこにも通達を出し、田植えを学びたい留学生の参加を呼びかけました。
 アフリカの田園事業は、日本のように水を張って苗を植えていくという技術を持ち合わせておらず、基本的には直播栽培で、植えるというよりも、バラバラと種を撒くという方法をとります。
 水田という形で管理したこともないし、機械植えもしたこともないので、彼らにとって田んぼに絵を描くというのはなおさら夢のようなことだったので、すごく興奮して取り組んでくれました。
 本来、大使は裸足になって歩いたりする人たちではないのですが、みんなと一緒に裸足になって田んぼに入り、楽しんで田植えを体験していただけました。



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田植え会に参加した留学生や大使館の人たち。当日は、機械植えによる実演講習もあった。
(写真提供:太陽インダストリーアフリカ)


―――

田んぼに初めて入った留学生たちの反応はいかがでしたか?


伊藤:

「こんなヌルヌルしたところ気持ち悪いと思ってたけど今は楽しい!」とかなりはしゃいでいました。ズブズブと泥の中に入って、積極的に田植えを学ぶ姿勢が印象に残っています。
 彼らは田植え自体初めての経験なので、一直線に苗を植えられず、所々空間が開いていたのですが、そこは日本人の参加者の方が穴を埋めるようにきれいに植えてくれて、日本人の几帳面さに目を見張るシーンもありました。
 農業を学ぶだけではなく、田植えを通して、勤勉で几帳面な“日本人の魂”も学べたと大喜びしながら感心していました。
 今日はコンゴ共和国の大使が来ているのですが、「田んぼアートは写真で見たことはあるが、これから自分の目で見に行きたい。日本の農業技術が素晴らしいからこそ、こんなに見事なアートが完成される。日本のすべてを学び、コンゴ共和国でも田植え技術を広めたい。」と仰っていましたよ。



高瀬:

 自分たちが農業に費やした時間と労力が、きちんと生産としてあがってくるというところを田んぼアートイベントを通して学んでいただければと思います。日本の農業技術を持ち帰って、アフリカ農業の将来に役立ててほしいですね。



―――

田植え・見学会を終えて一言お願いします。


高瀬:

 農業の大切さ、農業用水の重要性を広めていこうという思いで活動してきましたが、田んぼアートを通してより多くの人に伝えられたのではないかと思います。今年は、国外からの参加もあり、日本の農業を世に広めたいという私の夢にも一歩近づいたという実感があります。
 これからも、小山の魅力の一つとして、田んぼアートに力をいれて活動していきたいと思います。


伊藤:

 近年は子供達の農業離れを懸念していたので、このイベントで子ども達の農業に対する興味関心を引き寄せられたのではないかと思います。親世代子世代、みんなが知っているキャラクターだからこそ、子供達も興味深々で参加してくれました。このイベントが、農業の後継者育成、そして、アフリカの農業の活性化にも繋がってくれれば嬉しいです。




●帰りは両毛線で

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 小山市の緑豊かすぎる田園風景に囲まれているうちに取材に来たいうことを半分忘れ、すっかり夏休み気分を味わった虫ん坊スタッフ。駅のホームに座りながら夏の日差しを浴び広大な緑を目の当たりにしていると、井上陽水の「少年時代」が頭の中で流れるのでした。
 帰りは、先程のインタビュー時に教えていただいた思川駅から小山行きの電車に乗ってピノコの田んぼアートを撮影して帰ることに。
 両毛線は40分に1本しか来ないので、乗り逃しに注意です!
 乗車して、小山方面に発進しほどなくすると、撮影ポイントに入ります。電車はなかなかの速度で進んでいくので、撮り逃さないようにしっかりカメラを構えます!
 両毛線から見た風景、動画でお楽しみください。


虫ん坊 2016年9月号 特集2:田んぼが巨大なキャンバスに!
「アトムを描こう!おやま田んぼアート」ができるまで


 小山市田んぼアートは、稲刈り会のある9月中旬までは自由に観賞することができます!穂が付くと絵柄がそれまでとは変わって見え、穂の色も変わっていきますので、デザインが美しく見えるのは穂が付くまでとなります。
 今後は、9月25日(日)に稲刈り会を予定。手塚グッズも販売します! この田んぼアートが一体どんな姿に変わるのか!? 実り多き秋の小山にぜひともお越しください。



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 稲刈り会のくわしい日程は、おやま田んぼアートオフィシャルサイトでご確認ください。



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