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虫ん坊 2011年10月号 オススメデゴンス!:『ミッドナイト ACT.30(第3巻ACT.7)』

 『週刊少年チャンピオン』で連載中の『ブラック・ジャック 青い未来』。原作『ブラック・ジャック』の「その後」の姿を扱う作品ですが、手塚治虫自身が描いたブラック・ジャックのアナザーストーリー、といえばやはり『ミッドナイト』でしょう。
 『ブラック・ジャック』と同じ、『週刊少年チャンピオン』で連載され、主人公ミッドナイトはどこかブラック・ジャックを思わせるアンチヒーロー。言ってみればブラック・ジャックの「後輩」のようなキャラクターです。
 そんな、「先輩」と「後輩」の共演が楽しめる「ミッドナイト」、ブラック・ジャックのファンの方は必読!ですよっ!


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読みどころ:

虫ん坊 2011年10月号 オススメデゴンス!:『ミッドナイト ACT.30(第3巻ACT.7)』

 「ミッドナイト」はあの「ブラック・ジャック」、「七色いんこ」の活躍の場だった週刊少年チャンピオンに、1986年5月2日号から1987年9月18日号まで連載されました。「ブラック・ジャック」同様、この作品にもしばしばスター・システムが効果的に導入され、ストーリーの巧みさとの相乗効果でよりいっそうの感動を生んでいる佳作がいくつか存在しますが、このACT.30もまたそういった例の一つです。


虫ん坊 2011年10月号 オススメデゴンス!:『ミッドナイト ACT.30(第3巻ACT.7)』

 ある路地裏でミッドナイトが出会ったみすぼらしい身なりの老人は、手塚漫画にさほど詳しくなくてもなんとなくどこかで見た顔だな? と思わせる風貌の持ち主。大きな鼻と頭の横に残った白髪、おなかが出っ張り気味の丸っこい体つきは、「鉄腕アトム」でお茶の水博士として有名なあの老紳士に間違いありません。ただし、科学省の長官らしくいつもおしゃれな背広姿のお茶の水博士とは似もつかず、顔つきはくたびれ、髪の毛は伸び放題。


虫ん坊 2011年10月号 オススメデゴンス!:『ミッドナイト ACT.30(第3巻ACT.7)』

 これこそがスター・システムの醍醐味で、特にお茶の水博士のように、もう読者のほとんどがそのキャラクターの人となりをよく知っているのを逆手にとって、わざとそのキャラクターにそぐわない役柄を当てはめるというのは、ただの意外性以上に、思わぬ効果を生み出してくれます。冒頭たったひとコマ、お茶の水博士演じる老紳士が登場しただけで、読者はあの元気で朗らかな「鉄腕アトム」の博士を思い出し、あんなに良い人がどうして…などと胸の痛む感慨をいだくことになるのです。


虫ん坊 2011年10月号 オススメデゴンス!:『ミッドナイト ACT.30(第3巻ACT.7)』

 このACT.30では、大人になったアトムとウランという、これまた意外で珍しいキャラクターも登場します。「鉄腕アトム」連載開始から30年あまりが過ぎた1986年、ひょんなところで同窓会のように久しぶりに顔をあわせたアトムたちとお茶の水博士。不朽の名作「鉄腕アトム」の永遠の輝きと共に、年齢を重ねることは決してないアトムたちですが、もし二人が人間で、30年後に顔をあわせることがあれば、こんなエピソードもありうるんじゃないか、とふと読者に感慨を抱かせてくれる『ニクイ』仕掛け、ともいえそうです。








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