小松左京 コミック--過去・現在・未来--
今回は小松左京と手塚治虫が『ポーの一族』をはじめとする少女マンガについて語り合っています。
種村季弘 --異界へのロマン--
幻想文学に造詣の深い哲学者、種村氏とともに手塚治虫が歌舞伎をはじめとする日本の幻想物語について考察しています。歌舞伎には人間が内に秘めた「決してかなわぬ夢」が内包されていると解く手塚治虫の言葉に、思わずなるほどとうなずいてしまいます。
萩尾望都 --少女SF作家はなぜ少ない--
手塚治虫にあこがれてマンガ家となり、数々の傑作、名作をものにしている萩尾望都嬢を、立派な同業者として迎え、その作品について語る手塚治虫のまなざしがとてもやさしい、そう感じさせる対談です。ふたりは少女マンガにおけるセクシャリティや、SF作家レイ・ブラッドベリのこと、さらにはマンガ家に原作を提供するゴースト・ライターのことなど、縦横無尽な話が展開して行きます。
鶴見俊輔
評論家にして哲学者の鶴見氏とともに、異文化との交流、共存について論じ合う対談です。「ボードレールを読んで、ボードレールをしのぐものを書こうとしたところに、日本の文化の危険がある」と鶴見氏は語ります。もっといいものを、ではなく「自分なりの」でいいのではないか。なぜならすべての文化は共通の根を持っているのだから。そう語る哲学者の言葉に「なるほど」と深くうなずく手塚治虫の姿がとても印象的です。
立川談志 --天才は傲慢である--
天才落語家と天才マンガ家の対談は、ディズニーのことから自然破壊のことまで軽やかに現代を論破して行きます。
牧美也子
松本零士夫人の漫画家、美也子さんと、関西出身のマンガ家同士という気安さで、大阪の思い出と大阪の文化について語ります。
巌谷國夫 20世紀の印象
フランス文学者、巌谷氏は開口一番、こう言います。「今日は手塚治虫に手塚治虫現象について語ってもらおう」と。そして手塚治虫は自分の口で手塚マンガが世界に与えた影響を語って行きます。もちろん謙遜しながらなので、自分と感性の似通った映画などに否定的な見解を述べていたりするのも面白いです。
手塚 眞 --おや子対談--
息子であり映像作家でもある眞氏について、厳しい言葉でその作品を論じようとしながらも、厳しくなりきれずに、つい笑みを浮かべてしまう。そんな父親の愛情がひしひしと伝わってくる、そんなほのぼのとした印象の対談です。
『続虫られっ話』潮出版社(1995年)