その駅の売店には『えきほす』という咳止めの薬が置かれています。小瓶が四つと大瓶がひとつ。大瓶のえきほすは、早く誰かに買ってもらいたいのに、値段が高くて大きいので誰も買ってくれる人がいない。小瓶はどんどん売れて行くのに、大瓶は売れ残ったまま、ひとりさびしい時間を過ごしている。けれどある日、急病の子供を抱えた母親が走ってきて、高くても大きくてもいいから、とにかく咳止めの薬をくださいと売店のご主人に頼んだ。さあ、いよいよぼくの出番だ。大瓶のえきほすは、自分を待っている病気の子供のために張り切って買われて行きます。
幼い子供にお薬を服ませるのは本当に大変な苦労です。そんな時、この「えきほす」くんのお話しを聞かせてあげたらいかがでしょう? お薬がどれだけ子供たちのために働きたがっているのかを知ったら、きっとムズがる子供も「あーん」と大きなお口を開いてくれるかもしれませんよ。