広い宇宙のどこかに地球とそっくりの星があります。地球と違うのはその星の人間たちには尻尾があって、尻尾の大小で身分の高い低いが決まっている、ということ。その星にある日、ロケットに乗った地球人がやってきます。地球人から尻尾があるのは動物だけで高等動物に尻尾はないと聞かされたビス・ビス・ビス星の人たちは下等動物とだと思われては恥ずかしいと、大慌てで尻尾を隠します。
尻尾の大小で身分が決まる。そんな世界を舞台にしながら手塚治虫が語るのは、他人に対して見栄を張ることの馬鹿馬鹿しさです。どんなときも素直に自分をさらけ出すのが、いちばんすばらしい。そんなメッセージが伝わってくるのは、あの名作童話『裸の王様』と同じですね。