じゃっくが庭に豆を蒔くと、豆の木がぐんぐん伸びて雲に届きます。雲の上には大男の住む城があります。じゃっくがしのびこむと、そこには金の卵を産む鶏がいました。持ち帰るとお母さんは「それはうちから盗まれた宝物だわ」と言いました。じゃっくは再び豆の木を登って巨人の城へ行き、金の竪琴を奪い返してきます。それもまたじゃっくのいえから盗まれたものだったのです。けれど竪琴が鳴りはじめて巨人が目を覚まし、じゃっくを追いかけはじめました――。
文章は久米元一氏によるもので、手塚治虫は絵のみの担当となっています。ジャックが豆の種を手に入れるまでのいきさつをバッサリとカットし、巨人の城からジャックが持ち帰ってくる宝物を、すべてジャックの家から盗まれたもの、というふうに語り買えているのは、読む子供たちにジャックを騙す悪い大人たちや巨人の城から宝物を盗み出すジャック、という原典には眉をひそめる人もいるだろう、という配慮からでしょう。