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ストーリー

おじいさんが助けた鶴が若い娘の姿になって戻ってきます。鶴はせっせと機を織り、見事な反物を作ってくれますが、その機を織っている姿だけは見ないでくださいとおじいさんとおばあさんに頼みます。――けれど、おじいさんは好奇心にかられて機織の光景を覗いてしまう。そしてひとつの夢が終わります。娘は鶴の姿で去って行き、おじいさんたちは何か大切なものを永遠に失ってしまうことになるのです。

解説

『鶴女房』という題で有名な民話を題材にしたわずか三ページの絵物語です。ひとりの若い男、という原典の設定を子どもたち向けに「おじいさんとおばあさん」というふうに変更しています。この物語で手塚治虫が描いているのは「鶴を助ける」人間のやさしさと「たったひとつの約束さえ守れない」愚かさが矛盾することなく同居している人間の不可思議さです。鶴が人間の姿に変身する、というファンタジーよりも、どうして人間はこんなにも不可思議なのだろう、というほうに手塚治虫の興味は向いているようです。

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